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bockass

ぼくは泣き虫だけれど、この小説本ばかりは
ボロボロ泣けやしないのだがなあ、と溜め息。
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
(=通称“ぼく明日”)は、中途半端に
SFチックな設定に乗れなかったのだと思う。
(以下、ネタばれ有り)



時間が逆に流れている別の世界があって、
5年に1度、やって来る来訪者は40日間だけ
こちらの世界に留まっていられる……
ただし、時間の流れはこちらに準じるため、
(そうでなければ、人間の意識も、
小説的な描写も不可能ですから)真夜中に
強制リセットされます。何て、ご都合主義!
いや、設定自体は、時間が逆に流れるという
非常に古典的ながらも、魅惑的な問題です。
でも、それがぐだぐだした恋愛上の愚痴に
落とし込まれては、何ともやれんなあ、と。
彼女は昨日のことを忘れてしまう、
彼女は明日以降のことを既に知っている
……認識上、知覚上の問題に対して、
心情的な浪花節を持ち込んでくるなよ、と。
主人公・南山高寿が阿呆過ぎて、つらい。
40日後に別れざるを得ない哀しみだけで
よいのではないか? “40日間”という条件に
説得力があれば、それで十分ではないのかな。
京都の「三条大橋」界隈での初デートより、
岡崎公園から白川沿いを歩くシーンが
心に残るのでしたよ。橋の名前は記されず。
       ☆
 平安神宮の鳥居を横切り、通りから一本入った静かな川沿いを歩く。なだらかなカーブをゆっくり進んでいき――ぼくは驚く。
 福寿さんが、石橋の袂にいた。
 ここからだとだいぶ小さく見えるけど、間違いない。通りの邪魔にならない所に立って、川沿いにある黒塗りの小屋をなにげないふうに見ていた。


参考文献:七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説

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ヒロインの姓「福寿」のせいで、
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たまに「考える人」、歴史探偵。
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