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Amputee

本日10時から、「山口歯科」で歯の治療の続き。
前回、第2小臼歯(右下5番)を終えたので、今回から
第2大臼歯(左上7番)。今日は歯型を取って、仮詰め。
押入れの奥から続々と出てきた休眠中の衣類を洗濯
した後、15時半から「餃子のぱくぱく」で軽く呑み喰い。
初読が高校生時で、その後も折に触れ、ページを捲ってきた
和辻哲郎 『古寺巡礼』を先日、通読し直していたところ、
無羈絆な想像力の奔放さに呆れるとともに、若書きだから
こその初々しさに当てられもして、面映い当惑を覚えました。
昔は現物を見ずに、和辻の文章だけで憧憬の念を持って
いましたが、現在は文中の仏像をほぼ観た上での読後感。
大正7年(1918)5月16日から奈良付近の寺々を逍遥した
印象を記し、昭和21年(1946)7月に改訂が行われています。
決して、仏像のみに囚われることなく、建築や絵画にも相当の
紙幅が割かれています。ただ、ぼくの最大関心事は仏像。
       ☆
 香薬師は白鳳期の傑作である。かつて盗難に逢い、足首を切断せられたが、全体の印象を損うほどではない。最初訪れた時はそういう騒ぎのあとで、倉の中に大事に蔵(しま)ってあるとのことであった。その後この薬師像を本尊とする御堂もでき、御厨子(おずし)を開扉してもらって静かに拝むことができるようになった。御燈明(おとうみょう)の光に斜め下から照らされた香薬師像は実際何とも言えぬほど結構なものである。ほのかに微笑の浮かんでいるお顔、胴体に密着している衣文の柔らかなうねり。どこにもわざとらしい技巧がなく、素朴なおのずからにして生まれたような感じがある。がそれでいてどこにも隙間がない。実に恐ろしい単純化である。顔の肉づけなどでも、幼稚と見えるほど簡単であるが、そのくせ非常に細かな、深い感じを現わしている。試みに顔に当たる光を動かしてさまざまの方向から照らして見るがよい。あの簡単な肉づけから、思いもかけぬ複雑な濃淡が現われてくるであろう。こういう仕事のできるのは、よほどの巨腕である。そのことはまた銅の使いこなし方にも現われている。いかにもたどたどしい鋳造の仕方のように見えていながら、どこにも硬さや不自由さの痕がない。実に驚くべき技術である。この香薬師像は近年二度目の盗難に逢った。
       ☆
先月、「新薬師寺」で出逢った複製「香薬師像」の話です。
明治23年(1890)に右手を盗まれ、明治44年(1911)に両手足を
盗まれるも、無事に戻ってきた香薬師像でしたが、昭和18年
(1943)の3度目の盗難で、遂に行方不明となってしまいました。
引用した和辻の文章は改訂時(1946)のもので、足首の切断は
2度目の盗難時であり、「近年二度目の盗難」とあるのは、実は
計3度目の盗難が正確でしょう。どうして、そういう錯誤が生じたか
と言えば、2度目の盗難に際して、新聞報道が行われなかった
という事情が影響しているのかもしれません(発見時には報道有り)。
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テーマ : 仏教・佛教
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 仏像呑む美術建築

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1回目の盗難に遭った年に関して、
参照元が誤っていたようで、訂正しました。
ソースが無いインターネットの記事は要注意。
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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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(自称)。
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