絵・美・死
突発的に開かれてしまう「秘密のビデオ会」。
今回で 第19回だったかなあ、と思います
……たぶん。8月23日(火)に鑑賞したのが、
2012年のアメリカ映画『ABC・オブ・デス』です。
原題は『THE ABCS OF DEATH』です。
世界選抜26人の監督に、アルファベット各26文字の付く
タイトルで、“死”を表現してもらおう――
という課題が与えられた訳ですね。死がテーマなので、
生命の宿命やら、宇宙の盛衰やら、エントロピー増大による
熱的死などに想像力は向かってもよさそうなものですが、
基本的に、B級ホラーの垂れ流し状態です。
1作品ほぼ5分程度の短さの中にも、頭の悪さが窺える作品が
多数ですが、中には きらりと光る佳作も埋もれているのです。
日本人監督も3人参加していまして、
26エピソードの監督名と各タイトルは以下のとおり。
☆
Nacho Vigalondo“Apocalypse(アポカリプス)”
Adrian Garcia Bogliano“Bigfoot(ビッグフット)”
Ernesto Diaz Espinoza“Cycle(サイクル)”
Marcel Sarmiento“Dogfight(ドッグファイト)”
Angela Bettis“Exterminate(駆除)”
井口昇“Fart(おなら)”
Andrew Traucki“Gravity(重力)”
Thomas Malling“Hydro-Electric Diffusion(水電拡散)”
Michel Grau“Ingrown(内向)”
山口雄大“Jidai-Geki(時代劇)”
Anders Morgenthaler“Klutz(不器用)”
Timo Tjahjanto“Libido(性欲)”
Ti West“Miscarriage(流産)”
Banjong Pisanthanakun“Nuptials(結婚)”
Bruno Forzani and Héléne Cattet“Orgasm(オーガズム)”
Simon Rumley“Pressure(重圧)”
Adam Wingard and Simon Barrett“Quack(アヒル)”
Srđan Spasojević“Removed(切除)”
Jake West“Speed(スピード)”
Lee Hardcastle“Toilet(トイレ)”
Ben Wheatley“Unearthed(発掘)”
Kaare Andrews“Vagitus(産声)”
Jon Schnepp“WTF!(カオス)”
Xavier Gens“XXL(ダブルエックスエル)”
Jason Eisener“Youngbuck(ティーンエイジャー)”
西村喜廣“Zetsumetsu(絶滅)”
☆
マルセル・サーミエントの「ドッグファイト」は、ストーリーも秀逸。
被拘束下の生き残りゲーム、ティモ・ティヤハヤントの「性欲」に生唾を呑み、
スルジャン・スパソイェヴィッチ「切除」の映画に対する偏執的な愛情に呻き、
ジェイソン・アイズナー「ティーンエイジャー」でのペドフィリアの描写に唸り
……この4作品は見応えがありました。物語性と描写力を兼ね備えているか、と。
アンダース・モーガンタラーのカートゥーン作品「不器用」、
リー・ハードキャッスルのクレイ・アニメーション「トイレ」も最高で、一服の清涼剤。
アイデアに既視感、語り口もありがちとはいえ、「アポカリプス」、「ビッグフット」、
「サイクル」、「駆除」、「発掘」、「ダブルエックスエル」など、嫌いではありません。
「重圧」と「産声」の狙いは決して悪くないのですが、詰め込み過ぎたかな。
(「オーガズム」の似非アート志向、「アヒル」や「カオス」の自己言及は敬遠しますが)
日本人監督3人の中では、バランスよくまとまっていた「時代劇」に一安心。
他の2人はどうかと言うと、最初からおちゃらけている時の井口昇はどうしようもなく、
真面目になり過ぎた西村喜廣もちょっと、扱いに困るんだよなあ……という感想です。
2人とも決して苦手ではなく、むしろ、追っかけている部類の作家なのですけれど。
今回で 第19回だったかなあ、と思います
……たぶん。8月23日(火)に鑑賞したのが、
2012年のアメリカ映画『ABC・オブ・デス』です。
原題は『THE ABCS OF DEATH』です。
世界選抜26人の監督に、アルファベット各26文字の付く
タイトルで、“死”を表現してもらおう――
という課題が与えられた訳ですね。死がテーマなので、
生命の宿命やら、宇宙の盛衰やら、エントロピー増大による
熱的死などに想像力は向かってもよさそうなものですが、
基本的に、B級ホラーの垂れ流し状態です。
1作品ほぼ5分程度の短さの中にも、頭の悪さが窺える作品が
多数ですが、中には きらりと光る佳作も埋もれているのです。
日本人監督も3人参加していまして、
26エピソードの監督名と各タイトルは以下のとおり。
☆
Nacho Vigalondo“Apocalypse(アポカリプス)”
Adrian Garcia Bogliano“Bigfoot(ビッグフット)”
Ernesto Diaz Espinoza“Cycle(サイクル)”
Marcel Sarmiento“Dogfight(ドッグファイト)”
Angela Bettis“Exterminate(駆除)”
井口昇“Fart(おなら)”
Andrew Traucki“Gravity(重力)”
Thomas Malling“Hydro-Electric Diffusion(水電拡散)”
Michel Grau“Ingrown(内向)”
山口雄大“Jidai-Geki(時代劇)”
Anders Morgenthaler“Klutz(不器用)”
Timo Tjahjanto“Libido(性欲)”
Ti West“Miscarriage(流産)”
Banjong Pisanthanakun“Nuptials(結婚)”
Bruno Forzani and Héléne Cattet“Orgasm(オーガズム)”
Simon Rumley“Pressure(重圧)”
Adam Wingard and Simon Barrett“Quack(アヒル)”
Srđan Spasojević“Removed(切除)”
Jake West“Speed(スピード)”
Lee Hardcastle“Toilet(トイレ)”
Ben Wheatley“Unearthed(発掘)”
Kaare Andrews“Vagitus(産声)”
Jon Schnepp“WTF!(カオス)”
Xavier Gens“XXL(ダブルエックスエル)”
Jason Eisener“Youngbuck(ティーンエイジャー)”
西村喜廣“Zetsumetsu(絶滅)”
☆
マルセル・サーミエントの「ドッグファイト」は、ストーリーも秀逸。
被拘束下の生き残りゲーム、ティモ・ティヤハヤントの「性欲」に生唾を呑み、
スルジャン・スパソイェヴィッチ「切除」の映画に対する偏執的な愛情に呻き、
ジェイソン・アイズナー「ティーンエイジャー」でのペドフィリアの描写に唸り
……この4作品は見応えがありました。物語性と描写力を兼ね備えているか、と。
アンダース・モーガンタラーのカートゥーン作品「不器用」、
リー・ハードキャッスルのクレイ・アニメーション「トイレ」も最高で、一服の清涼剤。
アイデアに既視感、語り口もありがちとはいえ、「アポカリプス」、「ビッグフット」、
「サイクル」、「駆除」、「発掘」、「ダブルエックスエル」など、嫌いではありません。
「重圧」と「産声」の狙いは決して悪くないのですが、詰め込み過ぎたかな。
(「オーガズム」の似非アート志向、「アヒル」や「カオス」の自己言及は敬遠しますが)
日本人監督3人の中では、バランスよくまとまっていた「時代劇」に一安心。
他の2人はどうかと言うと、最初からおちゃらけている時の井口昇はどうしようもなく、
真面目になり過ぎた西村喜廣もちょっと、扱いに困るんだよなあ……という感想です。
2人とも決して苦手ではなく、むしろ、追っかけている部類の作家なのですけれど。
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tag : 映画
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コメンタリー
昨日、就寝前にDVDを再鑑賞。
オーディオ・コメンタリーを聞きながら。
大層な新発見は無かったかも。
自分の目と耳を信じて観ればよいと思いました。
「ドッグファイト」と「*欲」は軒並み高評価です。
オーディオ・コメンタリーを聞きながら。
大層な新発見は無かったかも。
自分の目と耳を信じて観ればよいと思いました。
「ドッグファイト」と「*欲」は軒並み高評価です。
禁じ手
FC2 も一部の単語に規制をかけていることをすっかり忘れていました。
記事中はOKでも、コメント内では不可とか……。
記事中はOKでも、コメント内では不可とか……。