福島・平田村のアスパラこんにゃく
福島・平田村の「道の駅ひらた」で、さわやかな風味が特色の「アスパラこんにゃく」が11月4日から販売されている。同村産のアスパラパウダーがこんにゃくに練り込まれ、1袋300円(120グラム×2袋、辛子酢味噌、わさび付き)。アスパラに続けとばかりに、「自然薯こんにゃく」も既に発売済み。「道の駅ひらた」では、他にも「かぼちゃこんにゃく」など、ご当地こんにゃくシリーズをリリース予定だという。
阿武隈山系蓬田岳のふもと、国道49号線とあぶくま高原自動車道「平田インターチェンジ」が交わるところに、「道の駅ひらた」は位置する。国土交通省の道路情報提供施設と、まちづくり交付金を活用した地域振興施設が整備され、平田村の玄関口としての役割を果たす。観光レクリエーション施設「ジュピアランドひらた」も近くに在る。登山や森林浴、野鳥観察、デイキャンプの基地として親しまれているほか、特に、園内の植えられた約11万株の芝桜が有名。毎年4月末から5月中旬にかけて開催される「芝桜まつり」には、県内外から多くの観光客が訪れる。
ところで、なぜ、アスパラガスなのか? 農林水産省の「作物統計」から、「平成23年産野菜生産出荷統計」を見てみよう。つまりは2011年のアスパラガスの出荷量だが、全国では2万8,800トン。都道府県別に上位から10位を挙げてみると、1位北海道(4,980トン)、2位長野(3,050トン)、3位佐賀(2,870トン)4位長崎(2,350トン)、5位熊本(1,870トン)、6位秋田(1,610トン)、7位福島(1,610トン)、8位山形(1,290トン)、9位福岡(1,200トン)、10位栃木(1,030トン)──となり、福島は堂々の7位である。
うつくしま=福島県産アスパラガスの旬は、5月〜9月上旬。会津地方で多く生産されているといい、春〜夏の収穫が中心だが、近年は夏〜秋の収穫も多くなってきている。グリーンアスパラガス以外にも、ホワイトアスパラガスや紫アスパラガスがあり、さらに福島はオリジナル品種「ハルキタル」「春まちグリーン」も有する(品種登録出願中)。
なお、アスパラガスは原産地・南ヨーロッパ、ユリ科の作物で、ビタミンA、B1、B2、Cをバランス良く含む。特にグリーンアスパラガスに含まれるルチンには、毛細血管を強くしての血圧降下作用や、利尿作用がある。
阿武隈山系蓬田岳のふもと、国道49号線とあぶくま高原自動車道「平田インターチェンジ」が交わるところに、「道の駅ひらた」は位置する。国土交通省の道路情報提供施設と、まちづくり交付金を活用した地域振興施設が整備され、平田村の玄関口としての役割を果たす。観光レクリエーション施設「ジュピアランドひらた」も近くに在る。登山や森林浴、野鳥観察、デイキャンプの基地として親しまれているほか、特に、園内の植えられた約11万株の芝桜が有名。毎年4月末から5月中旬にかけて開催される「芝桜まつり」には、県内外から多くの観光客が訪れる。
ところで、なぜ、アスパラガスなのか? 農林水産省の「作物統計」から、「平成23年産野菜生産出荷統計」を見てみよう。つまりは2011年のアスパラガスの出荷量だが、全国では2万8,800トン。都道府県別に上位から10位を挙げてみると、1位北海道(4,980トン)、2位長野(3,050トン)、3位佐賀(2,870トン)4位長崎(2,350トン)、5位熊本(1,870トン)、6位秋田(1,610トン)、7位福島(1,610トン)、8位山形(1,290トン)、9位福岡(1,200トン)、10位栃木(1,030トン)──となり、福島は堂々の7位である。
うつくしま=福島県産アスパラガスの旬は、5月〜9月上旬。会津地方で多く生産されているといい、春〜夏の収穫が中心だが、近年は夏〜秋の収穫も多くなってきている。グリーンアスパラガス以外にも、ホワイトアスパラガスや紫アスパラガスがあり、さらに福島はオリジナル品種「ハルキタル」「春まちグリーン」も有する(品種登録出願中)。
なお、アスパラガスは原産地・南ヨーロッパ、ユリ科の作物で、ビタミンA、B1、B2、Cをバランス良く含む。特にグリーンアスパラガスに含まれるルチンには、毛細血管を強くしての血圧降下作用や、利尿作用がある。
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しらたきと糸こんの違い
しらたきと糸こんにゃく、どう違うの? こんな素朴な疑問を持ったことはないだろうか。その辺りの薀蓄がまとまっている野瀬泰申氏の著作が近頃文庫本化されたので、引用させてもらう。はっきりした「正解」としての結論は出ない。言葉にしろ、物であるにしろ、歴史的な流れの中にある生き物であり、今なお変わり続けているであろうから。『広辞苑』での「しらたき(白滝)」の定義は「糸ごんにゃくのさらに細く作ったもの」。単純明快だが、本当にそうなのか? 
白滝=板コンニャクより硬めに練った精粉(元ダネ)を“白滝製造器”に入れて、細かい穴から熱湯中に押し出して固めたもの。
糸こんにゃく=板こんにゃくを後から千切りにしたもの。
おでん研究家として名を馳せる新井由己氏がこんにゃく屋さんから仕入れた基礎知識によると、上記のようになる。何より製造方法からして異なっている。元は江戸時代の東日本/西日本における製法の違いから来ているようで、それは「日本こんにゃく協会」の「糸こんにゃく」の説明にも表れている。
糸こんにゃく=こんにゃくがまだ固まる前の糊状のときに細い穴に通しながらゆで、糸のように細いひも状にしたもの。精粉から作るものは、まるで白糸の滝のようなので「白滝」とも呼ばれています。(中略)ただし、江戸時代の頃は、しらたきと呼ぶのは主に関東で、関西では板こんにゃくを細く切ったものを糸こんにゃくと呼んでいたそうです。現在は関西でも細い穴に通して造っていますが、昔のなごりからか糸こんにゃくと呼ぶことが多く、また糸こんにゃくをより細くしたものをしらたきと区別する場合もあります。
関東でしらたき、関西で糸こんにゃくが作られていた。ところが近代になり、関西でも白滝を作るようになったが、以前と同じ「糸こんにゃく」の名前を用いた。また、糸こんにゃくをさらに細くした物を糸こんにゃくと区別して「しらたき」と呼ぶこともある、と。つまり、「糸こん」という名の(製法上の)しらたきもあれば、「しらたき」と呼ばれる(製法上は)糸こんにゃくも市場に出回っているのだ。ややこしいけれども、言葉が歴史を持った生き物であるという所以。
参考文献:野瀬泰申『納豆に砂糖を入れますか?』(新潮文庫)

白滝=板コンニャクより硬めに練った精粉(元ダネ)を“白滝製造器”に入れて、細かい穴から熱湯中に押し出して固めたもの。
糸こんにゃく=板こんにゃくを後から千切りにしたもの。
おでん研究家として名を馳せる新井由己氏がこんにゃく屋さんから仕入れた基礎知識によると、上記のようになる。何より製造方法からして異なっている。元は江戸時代の東日本/西日本における製法の違いから来ているようで、それは「日本こんにゃく協会」の「糸こんにゃく」の説明にも表れている。
糸こんにゃく=こんにゃくがまだ固まる前の糊状のときに細い穴に通しながらゆで、糸のように細いひも状にしたもの。精粉から作るものは、まるで白糸の滝のようなので「白滝」とも呼ばれています。(中略)ただし、江戸時代の頃は、しらたきと呼ぶのは主に関東で、関西では板こんにゃくを細く切ったものを糸こんにゃくと呼んでいたそうです。現在は関西でも細い穴に通して造っていますが、昔のなごりからか糸こんにゃくと呼ぶことが多く、また糸こんにゃくをより細くしたものをしらたきと区別する場合もあります。
関東でしらたき、関西で糸こんにゃくが作られていた。ところが近代になり、関西でも白滝を作るようになったが、以前と同じ「糸こんにゃく」の名前を用いた。また、糸こんにゃくをさらに細くした物を糸こんにゃくと区別して「しらたき」と呼ぶこともある、と。つまり、「糸こん」という名の(製法上の)しらたきもあれば、「しらたき」と呼ばれる(製法上は)糸こんにゃくも市場に出回っているのだ。ややこしいけれども、言葉が歴史を持った生き物であるという所以。
参考文献:野瀬泰申『納豆に砂糖を入れますか?』(新潮文庫)
ゆるキャラ、月野マナン
2011年は「くまモン(熊本県)」、2012年は「バリィさん(愛媛県)」がグランプリに輝いた「ゆるキャラグランプリ」──2013年はどこの地域のスターが栄冠に輝くのか? パソコン、スマートフォン、携帯電話からの投票を集計して決定され、現在、既に投票締め切り(11月8日)まで1か月を切っている。以前、取り上げた「こんにゃくの町下仁田」をPRする、にゃくっち(2012年9月 「ゆるキャラ『にゃくっち』」参照)もエントリーしているが、今回紹介するのは、企業・その他からエントリーを果たした「月野マナン」(群馬県)だ。
月野マナンの公式設定は「5歳の、元気いっぱい!お料理だいすき!おしゃれだいすき!こんにゃく大好きな女の子♪」とされ、左耳に花飾り(ヒマワリ?)を付けたウサギのキャラクター。群馬のこんにゃく製造量ナンバーワン企業、(株)ヨコオデイリーフーズに所属している。名のマナンはこんにゃくの「(グルコ)マンナン」から採られたと推測されるが、姓の「月野」はどうもよくわからない。むしろ「美少女戦士セーラームーン」の主人公、月野うさぎから「月野」を借用した印象が濃厚ではある。
ヨコオデイリーフーズでは、こんにゃく芋生産量日本一の群馬県で「日本に古くから伝わる、こんにゃくの文化とおいしさを多くの人に伝えたい」との思いから、同県 ・ 甘楽町に「こんにゃく博物館」を設けている。上信越自動車富岡インターからだと、車で約11分。専用キッチンでの手作りこんにゃく体験、こんにゃく製造ラインの見学、様々な料理で味わえるこんにゃくバイキング……などが楽しめる。元々、月野マナンはこんにゃく博物館のマスコット・キャラで、開館1周年を迎えた昨年、公募した中からネーミングが決定している。
「ゆるキャラ」とは商標登録(第4821202号)でもあるが、その提唱者、みうらじゅんの挙げるゆるキャラの条件のひとつ「郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること」に見事、適合していると言えよう。群馬を代表する地域食品、こんにゃく(芋)をアピールすると同時に、大人も子供も見て・食べて・体験して楽しむことで食育も推進しているこんにゃく博物館を訪れれば、月野マナンが出迎えてくれるはず。周辺の富岡製糸場、群馬サファリパーク、城下町甘楽町、名勝楽山園をめぐる群馬観光も推奨されている。
月野マナンの公式設定は「5歳の、元気いっぱい!お料理だいすき!おしゃれだいすき!こんにゃく大好きな女の子♪」とされ、左耳に花飾り(ヒマワリ?)を付けたウサギのキャラクター。群馬のこんにゃく製造量ナンバーワン企業、(株)ヨコオデイリーフーズに所属している。名のマナンはこんにゃくの「(グルコ)マンナン」から採られたと推測されるが、姓の「月野」はどうもよくわからない。むしろ「美少女戦士セーラームーン」の主人公、月野うさぎから「月野」を借用した印象が濃厚ではある。
ヨコオデイリーフーズでは、こんにゃく芋生産量日本一の群馬県で「日本に古くから伝わる、こんにゃくの文化とおいしさを多くの人に伝えたい」との思いから、同県 ・ 甘楽町に「こんにゃく博物館」を設けている。上信越自動車富岡インターからだと、車で約11分。専用キッチンでの手作りこんにゃく体験、こんにゃく製造ラインの見学、様々な料理で味わえるこんにゃくバイキング……などが楽しめる。元々、月野マナンはこんにゃく博物館のマスコット・キャラで、開館1周年を迎えた昨年、公募した中からネーミングが決定している。
「ゆるキャラ」とは商標登録(第4821202号)でもあるが、その提唱者、みうらじゅんの挙げるゆるキャラの条件のひとつ「郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること」に見事、適合していると言えよう。群馬を代表する地域食品、こんにゃく(芋)をアピールすると同時に、大人も子供も見て・食べて・体験して楽しむことで食育も推進しているこんにゃく博物館を訪れれば、月野マナンが出迎えてくれるはず。周辺の富岡製糸場、群馬サファリパーク、城下町甘楽町、名勝楽山園をめぐる群馬観光も推奨されている。
日本一の芋煮会
9月1日、第25回を数える「日本一の芋煮会フェスティバル」が、山形市の馬見ケ崎川河川敷で開催された。さすがに「日本一」を謳うだけあり、「芋煮フェス」では、6メートルの大鍋にサトイモ3トン、牛肉1.2トン、こんにゃく3,500枚、ネギ3,500本、醤油700リットル、日本酒50升、砂糖200キログラム、水6トンもの食材が投じられ、6トンの薪で煮炊きされた。直径6メートルの大鍋ともなれば、小鍋に移し替えるのもショベルカーを使っての大掛かりな作業。

今年は醤油味の芋煮のほか、直径3メートルの鍋を使ったうま塩味の「しお芋煮」も提供。食材はすべて山形県産で、地産地消の精神が息づいている。地域のソウル・フード、玉こんにゃくばかりか、芋煮会でもこんにゃくが大活躍するとあっては、山形市の年間1世帯当たりのこんにゃく消費量日本一という事実にも、深くうなずかざるを得まい。
芋煮会は、東北地方をメインに行われている季節行事。秋に入ると河川敷などの野外にグループで集まり、サトイモなどを使った鍋料理を食べる風習である。「芋煮」「芋煮会」といった呼称は地域によって差異があり(他に「芋の子」「鍋っこ」「きのこ山」など)、味付けや使用される食材などについても顕著な地域差が見られる。肉として、豚、鶏、牛のうち(あるいは寄せ鍋風に魚の場合も)どれを用いるか。「芋」と言っても、サトイモではなくジャガイモを使用する地域や、同じこんにゃくでも、糸こんにゃくを使用する地域だってある。
例えば、山形県の内陸中南部の芋煮は牛肉を使った醤油味で、すき焼き風とも呼べるタイプ。同県村山地方では、牛肉、サトイモ、こんにゃく、ネギを主な材料にして、醤油で味付けする。「山形風芋煮」とも呼ばれる。同県置賜地方になるとアレンジが加わり、村山地方と主材料は同じだが、豆腐も食材の中で大きな位置を占めてくる。豚汁風の芋煮が盛んな福島市と隣接しているためか、味噌少々も加わるそうだ。
さて、今年の日本一の芋煮フェスにも、郷土の味を求め、県内外から多数の観光客が訪れた。用意された約2万5,000杯の芋煮は完食。今後は開催日が敬老の日の前日に変更され、2014年は9月14日の開催予定。同フェスの伊藤誠実行委員長は「50回目の開催を目指し、新たな挑戦を続けていきたい」と意気込んでいる。

今年は醤油味の芋煮のほか、直径3メートルの鍋を使ったうま塩味の「しお芋煮」も提供。食材はすべて山形県産で、地産地消の精神が息づいている。地域のソウル・フード、玉こんにゃくばかりか、芋煮会でもこんにゃくが大活躍するとあっては、山形市の年間1世帯当たりのこんにゃく消費量日本一という事実にも、深くうなずかざるを得まい。
芋煮会は、東北地方をメインに行われている季節行事。秋に入ると河川敷などの野外にグループで集まり、サトイモなどを使った鍋料理を食べる風習である。「芋煮」「芋煮会」といった呼称は地域によって差異があり(他に「芋の子」「鍋っこ」「きのこ山」など)、味付けや使用される食材などについても顕著な地域差が見られる。肉として、豚、鶏、牛のうち(あるいは寄せ鍋風に魚の場合も)どれを用いるか。「芋」と言っても、サトイモではなくジャガイモを使用する地域や、同じこんにゃくでも、糸こんにゃくを使用する地域だってある。
例えば、山形県の内陸中南部の芋煮は牛肉を使った醤油味で、すき焼き風とも呼べるタイプ。同県村山地方では、牛肉、サトイモ、こんにゃく、ネギを主な材料にして、醤油で味付けする。「山形風芋煮」とも呼ばれる。同県置賜地方になるとアレンジが加わり、村山地方と主材料は同じだが、豆腐も食材の中で大きな位置を占めてくる。豚汁風の芋煮が盛んな福島市と隣接しているためか、味噌少々も加わるそうだ。
さて、今年の日本一の芋煮フェスにも、郷土の味を求め、県内外から多数の観光客が訪れた。用意された約2万5,000杯の芋煮は完食。今後は開催日が敬老の日の前日に変更され、2014年は9月14日の開催予定。同フェスの伊藤誠実行委員長は「50回目の開催を目指し、新たな挑戦を続けていきたい」と意気込んでいる。
世界でいちばん大きな花?
暑い。太陽が燃えている。夏休みである。ラジオをつければ、子供の素朴な疑問に答える「なぜなに相談室」のような番組がにぎわっている。そこで問題。世界でいちばん大きな花は? ちょっと昔の子供たちならば、ラフレシアと答えたかもしれないが、現在だと、スマトラオオコンニャク(別名ショクダイオオコンニャク)という回答が優勢になるかもしれない。「ギネスブック」が公認している世界最大の花はスマトラオオコンニャクの方。直径1.5メートルに達するスマトラオオコンニャクと、最大で直径90センチメートルのラフレシアでは、スマトラオオコンニャクにすんなり軍配が上がりそうなものの、注釈が付く。
物言いが付くのは、「花」の定義によるものだ。植物学的に言うと、スマトラオオコンニャクの場合、肉穂花序とその付属体および仏炎苞の複合体が直径1.5メートルに達するのであって、ひとつの独立した花としてはラフレシアの方が大きいという考え方である。スマトラオオコンニャクの別名は、肉穂花序をロウソク(燭)、仏炎苞を台とする「燭台」に見立てたもの。また「ラフレシア」と一口で言うが、ラフレシア科ラフレシア属の全寄生植物のうち、ラフレシア・アーノルディが世界最大の花をつけるとされている。
ラフレシアの自生地は東南アジア島嶼部とマレー半島、スマトラオオコンニャクはインドネシア、スマトラ島の熱帯雨林。この世界最大の花の座を争う2種は、共に悪臭で名高い。「Wikipedia」から引用すると、ラフレシアは「汲み取り便所の臭いに喩えられる腐臭を発し」、スマトラオオコンニャクは「強烈な腐臭」を持つ。散々である。往時、ラフレシアは死肉に似た色合いや質感から「人食い花」として恐れられ、スマトラオオコンニャクは「お化けこんにゃく」とも呼ばれるなど、嫌われ者であったらしい。
両者の花に共通する腐臭だが、実のところ、死肉や獣糞を好むハエや甲虫などをおびき寄せ、花粉を媒介させるための自然の戦略のようだ。生き残るための戦略として、悪臭が選択されたことになる。なお、スマトラオオコンニャクの花は7年に1度2日間しか咲かない。日本における最初の開花は1991年、近々では2012年5月25日、茨城県の国立科学博物館筑波実験植物園などで開花している。
物言いが付くのは、「花」の定義によるものだ。植物学的に言うと、スマトラオオコンニャクの場合、肉穂花序とその付属体および仏炎苞の複合体が直径1.5メートルに達するのであって、ひとつの独立した花としてはラフレシアの方が大きいという考え方である。スマトラオオコンニャクの別名は、肉穂花序をロウソク(燭)、仏炎苞を台とする「燭台」に見立てたもの。また「ラフレシア」と一口で言うが、ラフレシア科ラフレシア属の全寄生植物のうち、ラフレシア・アーノルディが世界最大の花をつけるとされている。
ラフレシアの自生地は東南アジア島嶼部とマレー半島、スマトラオオコンニャクはインドネシア、スマトラ島の熱帯雨林。この世界最大の花の座を争う2種は、共に悪臭で名高い。「Wikipedia」から引用すると、ラフレシアは「汲み取り便所の臭いに喩えられる腐臭を発し」、スマトラオオコンニャクは「強烈な腐臭」を持つ。散々である。往時、ラフレシアは死肉に似た色合いや質感から「人食い花」として恐れられ、スマトラオオコンニャクは「お化けこんにゃく」とも呼ばれるなど、嫌われ者であったらしい。
両者の花に共通する腐臭だが、実のところ、死肉や獣糞を好むハエや甲虫などをおびき寄せ、花粉を媒介させるための自然の戦略のようだ。生き残るための戦略として、悪臭が選択されたことになる。なお、スマトラオオコンニャクの花は7年に1度2日間しか咲かない。日本における最初の開花は1991年、近々では2012年5月25日、茨城県の国立科学博物館筑波実験植物園などで開花している。
こんにゃくの地域団体商標
特許庁が商標法の改正の方向性を明らかにした。現行の地域団体商標の登録主体は事業協同組合などに限られているが、「ご当地グルメ」など地域ブランドを便乗商法などから守り、地域経済の活性化につなげるため、商工会、商工会議所、特定非営利活動法人も新たに地域団体商標の登録主体として認める方向だ。この動きに呼応したかのように、山形県こんにゃく協同組合では、「山形名物玉こんにゃく」を地域団体商標として登録したことを公表した。
これは、「山形名物玉こんにゃく」との名称を使用する県外こんにゃく製造業者の製品が見られることに対し、県内で製造する地域食品・玉こんにゃくを保護し、ブランド化を独自に進める必要性から、2009年4月に出願し、今回登録が認められたもの。今後、県外業者が「登録商標 山形名物玉こんにゃく」とうたう製品を製造販売した場合、差し止め請求などを行うことが可能となった。
県内のこんにゃく業者についても、非組合員は「登録商標 山形名物玉こんにゃく」と表示した製品を販売することができず、山形県こんにゃく協同組合への加入を呼びかけていく方向。同県で地域団体商標が登録されたのは、「米沢牛」などに続き今回で9件目だという。
ちなみに地域団体商標とは別個に、通常の商標について、こんにゃくにまつわる呼称を「特許電子図書館」で調べてみた。純粋に「コンニャク」という呼称のみで検索し、必ずしも食品の蒟蒻に限らなければ、19件が「コンニャク」を含む商標に該当する。洋酒の「コニャック」が表記違いから紛れ込んでくるのはご愛嬌。加工食品としてのこんにゃくに限定してみると、藤清蒟蒻「愛す蒟蒻」「蒟蒻愛す」、伊那食品工業「かんにゃく/寒蒻」、メイショウ「こんにゃ君」、オリヒロプランデュ「ぷるるん蒟蒻」、オーシャンズ「コーンにゃくスープ」、三浦由起子「今夜くう」、NAO微人研究所「japanese pure natural fiber/konyac/mannan fLour/蒟蒻粉」、徳川「おこんにゃく焼き」といったところ。
他に化粧品などで「コンニャク」を謳うところは多いが、面白いところで、フランスベッドのクッション類、翻訳機器のプログラムなどにも使われている。こちらは「翻訳コンニャク」で、例のドラえもんの道具は「ほんやくコンニャク」。
これは、「山形名物玉こんにゃく」との名称を使用する県外こんにゃく製造業者の製品が見られることに対し、県内で製造する地域食品・玉こんにゃくを保護し、ブランド化を独自に進める必要性から、2009年4月に出願し、今回登録が認められたもの。今後、県外業者が「登録商標 山形名物玉こんにゃく」とうたう製品を製造販売した場合、差し止め請求などを行うことが可能となった。
県内のこんにゃく業者についても、非組合員は「登録商標 山形名物玉こんにゃく」と表示した製品を販売することができず、山形県こんにゃく協同組合への加入を呼びかけていく方向。同県で地域団体商標が登録されたのは、「米沢牛」などに続き今回で9件目だという。
ちなみに地域団体商標とは別個に、通常の商標について、こんにゃくにまつわる呼称を「特許電子図書館」で調べてみた。純粋に「コンニャク」という呼称のみで検索し、必ずしも食品の蒟蒻に限らなければ、19件が「コンニャク」を含む商標に該当する。洋酒の「コニャック」が表記違いから紛れ込んでくるのはご愛嬌。加工食品としてのこんにゃくに限定してみると、藤清蒟蒻「愛す蒟蒻」「蒟蒻愛す」、伊那食品工業「かんにゃく/寒蒻」、メイショウ「こんにゃ君」、オリヒロプランデュ「ぷるるん蒟蒻」、オーシャンズ「コーンにゃくスープ」、三浦由起子「今夜くう」、NAO微人研究所「japanese pure natural fiber/konyac/mannan fLour/蒟蒻粉」、徳川「おこんにゃく焼き」といったところ。
他に化粧品などで「コンニャク」を謳うところは多いが、面白いところで、フランスベッドのクッション類、翻訳機器のプログラムなどにも使われている。こちらは「翻訳コンニャク」で、例のドラえもんの道具は「ほんやくコンニャク」。
こんにゃく芋の経営統計(2007年)
農林水産省では、農業経営統計調査の一環として「品目別経営統計」を公表している。「野菜生産出荷安定法」(昭和41年法律第103号)および「果樹農業振興特別措置法」(昭和36年法律第15号)の目的である野菜・果樹の生産および出荷の安定と、それを通して農業の健全な発展と国民の消費生活の安定を図っての施策、野菜および果樹作農家などの経営改善などに必要な資料を提供するためで、営農類型「畑作」内の調査品目として、こんにゃく芋も含む。
最新の確報となる平成19年(2007)「品目別経営統計」から、1戸当たりの農業経営の概況および経営収支を表にまとめてみた。農業経営の概況を見ると、こんにゃく芋を栽培している農家は、全国平均で1戸の世帯が3.66人(月平均)から成っている。栃木は4.56人、群馬は3.58人。そのうち、1戸当たりの農業経営関与者は全国平均2.16人、栃木2.28人、群馬2.15人。家族農業就業者も若干それを上回る程度。農業固定資産額は、全国平均413万1,000円、栃木で74万5,000円、群馬で441万8,000円である。経営耕地は全国平均290アール、栃木329アール、群馬286アール。これらについては当然、こんにゃく芋以外の作物も関連している。
こんにゃく芋の栽培面積、収穫面積を見ると、群馬の栽培面積(収穫面積)は208アール(140アール)、栃木は85アール(64アール)。群馬の栽培・収穫面積が経営耕地全体の2分の1から3分の2を占めるのに対して、栃木ではおよそ4分の1から5分の1に過ぎない。栃木のこんにゃく芋農家は群馬より多角的な経営を行っていると言えよう。群馬と栃木の栽培・収穫面積の差は、収穫量や販売量において、それ以上の広がりで表れている。1戸当たりのこんにゃく芋の販売量は全国平均で約51トン、栃木が約13トン、群馬が約54トンだった。
こんにゃく芋を栽培する農家1戸当たりの農業経営収支を大まかに見ると、農業粗収益の半分が農業経営費に当たるようだ。農業経営費の内訳には、雇用労賃、肥料、農業薬剤、諸材料、光熱動力、農用自動車、農機具、農用建物、賃貸料、土地改良および水利費、支払小作料、企画管理費、包装荷造・運搬料金……などの細目が挙げられている。こんにゃく芋について、1戸当たりの全国平均農業所得は386万8,000円。栃木は115万2,000円、群馬は409万9,000円という結果になっている。
最新の確報となる平成19年(2007)「品目別経営統計」から、1戸当たりの農業経営の概況および経営収支を表にまとめてみた。農業経営の概況を見ると、こんにゃく芋を栽培している農家は、全国平均で1戸の世帯が3.66人(月平均)から成っている。栃木は4.56人、群馬は3.58人。そのうち、1戸当たりの農業経営関与者は全国平均2.16人、栃木2.28人、群馬2.15人。家族農業就業者も若干それを上回る程度。農業固定資産額は、全国平均413万1,000円、栃木で74万5,000円、群馬で441万8,000円である。経営耕地は全国平均290アール、栃木329アール、群馬286アール。これらについては当然、こんにゃく芋以外の作物も関連している。
こんにゃく芋の栽培面積、収穫面積を見ると、群馬の栽培面積(収穫面積)は208アール(140アール)、栃木は85アール(64アール)。群馬の栽培・収穫面積が経営耕地全体の2分の1から3分の2を占めるのに対して、栃木ではおよそ4分の1から5分の1に過ぎない。栃木のこんにゃく芋農家は群馬より多角的な経営を行っていると言えよう。群馬と栃木の栽培・収穫面積の差は、収穫量や販売量において、それ以上の広がりで表れている。1戸当たりのこんにゃく芋の販売量は全国平均で約51トン、栃木が約13トン、群馬が約54トンだった。
こんにゃく芋を栽培する農家1戸当たりの農業経営収支を大まかに見ると、農業粗収益の半分が農業経営費に当たるようだ。農業経営費の内訳には、雇用労賃、肥料、農業薬剤、諸材料、光熱動力、農用自動車、農機具、農用建物、賃貸料、土地改良および水利費、支払小作料、企画管理費、包装荷造・運搬料金……などの細目が挙げられている。こんにゃく芋について、1戸当たりの全国平均農業所得は386万8,000円。栃木は115万2,000円、群馬は409万9,000円という結果になっている。

山形・上山市のクアオルト弁当
玉こんにゃくや芋煮会などで、日頃からこんにゃくに親しみ、家計支出調査を見ても、その支出金額で毎年トップに立つ山形。東北の二大街道のひとつ、羽州街道の宿場町、楢下宿(現・上山市)では楢の木と豊富な水に恵まれ、こんにゃく作りの生産が江戸時代から行われてきた。楢の木はその炭の灰を用いた灰汁が凝固剤に使用され、名人は現在も楢の灰汁を入れるという。そんな由緒ある土地に本社を構える「丹野こんにゃく」(丹野益夫社長、本社=上山市楢下)が、こんにゃくのオリジナル料理を詰め合わせた弁当を開発。4月4日に試食会が開催された。
お披露目された低カロリー弁当は、上山市が滞在型健康保養地づくりの一環で実施しているクアオルト事業との連携。「クアオルト」とはドイツ語で「健康保養地」の意。健康保養地にふさわしい健康食から成る弁当を――との依頼に、既にこんにゃくを素材にした懐石料理や刺し身、スイーツなどユニークな商品を展開していた丹野こんにゃくが応えた形。これには、こんにゃくに昆布のうま味を染み込ませた昆布締め、ハムをイメージしたこんにゃく、米とこんにゃくを混ぜ合わせたおにぎりなどを詰め合わせている。クアオルト弁当は3種類。「こんにゃく懐石弁当」(約500キロカロリー)、「こんにゃくおにぎり弁当」(約450キロカロリー)、「楢下里の味弁当」(約220キロカロリー)が考案された。こんにゃく以外の食材も基本的に山形県産と、こだわりを示す。
試食会は、同社が経営し、こんにゃく懐石料理など飲食を提供する「こんにゃく番所」内の喫茶室リニューアル・オープンに合わせて開催。懐石弁当を中心に振る舞われた。クアオルト弁当は、上山市や同市観光物産協会が主催するウオーキング・イベントの参加者の昼食などに限って提供される予定。「歩いて入浴した後、こんにゃく弁当を食べ、体の中もきれいにしてほしい」と、里山や温泉の地域資源を生かすクアオルトの魅力向上につながることが期待されている。
丹野こんにゃくは昭和初期の創業、昭和52年(1977)に会社設立。人・水・楢炭の3つのこだわりの下、こんにゃくの生産を行っている。本社敷地内に地下二百数十メートルから湧き出る「名水・益栄の水」があるほか、楢下地区に伝統的に伝わる「五六窯」で焼いた白炭(普通の土窯で焼いた黒炭と違い火力が強く、火持ちが長く、また煙が少ない)を使用。地域に息づく伝統食品が、また新たな魅力を打ち出すことで、地域資源をより活性化させていく。
お披露目された低カロリー弁当は、上山市が滞在型健康保養地づくりの一環で実施しているクアオルト事業との連携。「クアオルト」とはドイツ語で「健康保養地」の意。健康保養地にふさわしい健康食から成る弁当を――との依頼に、既にこんにゃくを素材にした懐石料理や刺し身、スイーツなどユニークな商品を展開していた丹野こんにゃくが応えた形。これには、こんにゃくに昆布のうま味を染み込ませた昆布締め、ハムをイメージしたこんにゃく、米とこんにゃくを混ぜ合わせたおにぎりなどを詰め合わせている。クアオルト弁当は3種類。「こんにゃく懐石弁当」(約500キロカロリー)、「こんにゃくおにぎり弁当」(約450キロカロリー)、「楢下里の味弁当」(約220キロカロリー)が考案された。こんにゃく以外の食材も基本的に山形県産と、こだわりを示す。
試食会は、同社が経営し、こんにゃく懐石料理など飲食を提供する「こんにゃく番所」内の喫茶室リニューアル・オープンに合わせて開催。懐石弁当を中心に振る舞われた。クアオルト弁当は、上山市や同市観光物産協会が主催するウオーキング・イベントの参加者の昼食などに限って提供される予定。「歩いて入浴した後、こんにゃく弁当を食べ、体の中もきれいにしてほしい」と、里山や温泉の地域資源を生かすクアオルトの魅力向上につながることが期待されている。
丹野こんにゃくは昭和初期の創業、昭和52年(1977)に会社設立。人・水・楢炭の3つのこだわりの下、こんにゃくの生産を行っている。本社敷地内に地下二百数十メートルから湧き出る「名水・益栄の水」があるほか、楢下地区に伝統的に伝わる「五六窯」で焼いた白炭(普通の土窯で焼いた黒炭と違い火力が強く、火持ちが長く、また煙が少ない)を使用。地域に息づく伝統食品が、また新たな魅力を打ち出すことで、地域資源をより活性化させていく。
こんにゃく芋の品種別生産実績
農林水産省の生産局農産部地域作物課では、農林水産省統計部で調査されていない工芸農作物の生産実績、主要特産農産物の品種別生産実績等を調査し、特産農作物に関する統計資料を作成することを目的に「特産農産物の生産実績調査」を行っている。その中には、こんにゃく芋の生産実績も含まれる。最新の確報は平成19年(2007)の統計表である。
こんにゃく芋について見ると、都府県別生産状況として、品種別、栽培方法別、年生別生産実績が掲げられている。今回は、全国の品種別・栽培方法別から、栽培面積、収穫面積、10アール当たり収量、収穫量について製表した。
2007年に栽培されていたこんにゃく芋のうち、栽培面積、収穫面積、収穫量で最も多い品種は、あかぎおおだまである。続いて、はるなくろ、みやままさりの順。また、在来種、支那種については、みょうぎゆたかを上回っている。あかぎおおだまの収穫量は5万2,541トン。実に、こんにゃく芋の収穫量総量(6万4,316トン)の約82%を占めている。
栽培方法別では、通常の植玉栽培のほか、自然生栽培も行われていることが読み取れ、大半が在来種である。在来種の自然生栽培では、愛媛(80トン)、宮崎(12トン)、山梨(12トン)などの収穫量が目立っていた。
こんにゃく芋について見ると、都府県別生産状況として、品種別、栽培方法別、年生別生産実績が掲げられている。今回は、全国の品種別・栽培方法別から、栽培面積、収穫面積、10アール当たり収量、収穫量について製表した。
2007年に栽培されていたこんにゃく芋のうち、栽培面積、収穫面積、収穫量で最も多い品種は、あかぎおおだまである。続いて、はるなくろ、みやままさりの順。また、在来種、支那種については、みょうぎゆたかを上回っている。あかぎおおだまの収穫量は5万2,541トン。実に、こんにゃく芋の収穫量総量(6万4,316トン)の約82%を占めている。
栽培方法別では、通常の植玉栽培のほか、自然生栽培も行われていることが読み取れ、大半が在来種である。在来種の自然生栽培では、愛媛(80トン)、宮崎(12トン)、山梨(12トン)などの収穫量が目立っていた。

権平こんにゃく
山中共古(1850〜1928)の考証本『砂払』を題材に、以前「こんにゃく本」のことについて触れた(2013年1月「『蒟蒻本』とは何か?」参照)。共古は「こんにゃく本」から当時の時代風俗を抜き書きしてまとめた自著に、やはり、こんにゃくの異称「砂払い」とのタイトルを冠している。「払砂録」など3篇6冊から成る『砂払』には、「権蒟蒻(左)」「権蒟蒻(右)」も含まれる。またもや、耳慣れぬ言葉「権蒟蒻」という言葉が出てきているが、これにも共古は6冊中の一冊「続砂払(前)」で丁寧な解説を加えてくれた。
元禄年間の流行詞に、『権平こんにやく辛労が利』といふありし。こは権平なる男、蒟蒻売りとなりて、人の売るよりも安く、形ち大きくしたらむには、必定商ひ多からんと心附き、先づこんにやく玉を仕入れんとて、遠き地へ買込に参り、これにて製し、大きくして、他人が三文にて売るものを二文にてうりしかば、人の目を引き、一、二丁も歩まぬ間、皆売り尽せり。かくして数日、仕入し蒟蒻玉はことごと※1くうり出したれば、又も仕入て売りしに、是亦幾日も立ぬ間にうり尽せり。偖売上勘定を為せしに、遠国へ旅費を掛け、形を大きくし、価を安くせし為に、差引何んの利益も無く、骨折損のくたびれもふけとなりしかば、人々彼を冷笑して、権平が蒟蒻、辛労が利と嘲りしより、はやり言葉とはなりぬと
※1:ことごとの「ごと」は、ユニコード「U+3032」ぐの字点。〲
元禄年間に、権平というこんにゃく売りが、目先の商売を考えた。同業他社より量目の大きいこんにゃくをさらに安くで売りさばけば、売り上げも伸びるだろうと企み、まんまと狙いどおりに商売が流行った……ところまでは良かったが、純利益を精算してみたらば、(安い)原材料も遠方から仕入れたとあって、黒字にも達せず、「権平のこんにゃく」は骨折り損のくたびれ儲けだと、皆から笑われたという話。「権蒟蒻」は「権平こんにゃく」の略である。
その権平こんにゃくを引き合いに出すのは、共古自身がこんにゃく本の面白さについつい惹かれて「払砂録」を編み、その後も多くのこんにゃく本に親しみ、「続砂払」などを続々と編集。だが、それもまた何の利益にもならず、時間と筆紙の浪費ではないかと自嘲し、自分もまた権平と変わらぬではないか?と、タイトルでおどけて見せた訳だ。
参考文献:山中共古『砂払(上)』(岩波文庫)
元禄年間の流行詞に、『権平こんにやく辛労が利』といふありし。こは権平なる男、蒟蒻売りとなりて、人の売るよりも安く、形ち大きくしたらむには、必定商ひ多からんと心附き、先づこんにやく玉を仕入れんとて、遠き地へ買込に参り、これにて製し、大きくして、他人が三文にて売るものを二文にてうりしかば、人の目を引き、一、二丁も歩まぬ間、皆売り尽せり。かくして数日、仕入し蒟蒻玉はことごと※1くうり出したれば、又も仕入て売りしに、是亦幾日も立ぬ間にうり尽せり。偖売上勘定を為せしに、遠国へ旅費を掛け、形を大きくし、価を安くせし為に、差引何んの利益も無く、骨折損のくたびれもふけとなりしかば、人々彼を冷笑して、権平が蒟蒻、辛労が利と嘲りしより、はやり言葉とはなりぬと
※1:ことごとの「ごと」は、ユニコード「U+3032」ぐの字点。〲
元禄年間に、権平というこんにゃく売りが、目先の商売を考えた。同業他社より量目の大きいこんにゃくをさらに安くで売りさばけば、売り上げも伸びるだろうと企み、まんまと狙いどおりに商売が流行った……ところまでは良かったが、純利益を精算してみたらば、(安い)原材料も遠方から仕入れたとあって、黒字にも達せず、「権平のこんにゃく」は骨折り損のくたびれ儲けだと、皆から笑われたという話。「権蒟蒻」は「権平こんにゃく」の略である。
その権平こんにゃくを引き合いに出すのは、共古自身がこんにゃく本の面白さについつい惹かれて「払砂録」を編み、その後も多くのこんにゃく本に親しみ、「続砂払」などを続々と編集。だが、それもまた何の利益にもならず、時間と筆紙の浪費ではないかと自嘲し、自分もまた権平と変わらぬではないか?と、タイトルでおどけて見せた訳だ。
参考文献:山中共古『砂払(上)』(岩波文庫)