第18回「CCASIA」報告書から
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は、食品の国際基準(コーデックス基準)を作る政府間組織として、1963年にコーデックス委員会(CAC)を設立。ローマのFAO本部内に事務局があり、180か国以上が加盟。その目的は、消費者の健康を保護するとともに、食品の公正な貿易を促進することである。
同委員会には総会、執行委員会、一般問題部会、個別食品部会、特別部会と、地域調整部会が設置され、地域調整部会のひとつにアジア23か国をメンバーとするアジア地域調整部会(CCASIA)がある。2012年11月5〜9日に東京で開催された「第18回CCASIA」から、非発酵大豆製品についての検討内容を概観してみる。
日本は、豆腐から水分を抜いて製造する「圧縮豆腐(豆腐干)」(セクション2.2.3)について、独立したセクションとしての規定ではなく、その製造工程から「豆腐および関連製品」の下位分類とすべきだと発言した。対するに中国が、圧縮豆腐は同国内で大量に製造・消費され、消費者も豆腐とは異なる製品と認識していることから、豆腐とは別分類にすべき旨を主張。合意が得られず、圧縮豆腐のセクション番号などについては、次回の部会で検討することになった。
豆乳類については、「豆乳」(セクション2.2.1.1)と「調整/香味付けされた豆乳」(同2.2.1.2)の統合案が出たが、部会では支持されず。豆乳の定義については、食物繊維の除去に関する記述を明確化。セクション2.2.1.2に該当する製品名称「Formulated Soybean milk」が乳児用調製粉乳(infant formulated)と誤解されると、「Composite/flavoured soybean milk」に修正し、製品の例示も定義に含めた。「豆乳飲料」(同2.2.1.3)の定義については、「調整/香味付けされた豆乳」より低いたんぱく質含有量を有する製品であることに合意。豆乳類の最小たんぱく質含有量(100グラム当たり)は、日本はJAS法を基に豆乳3.5グラム、調整/香り付けされた豆乳2.7グラムを主張したが、部会はいずれの最小たんぱく質含有量も2.0グラムを支持。成分用件については、豆乳飲料および豆腐の最小たんぱく質含有量をそれぞれ0.8グラム、3.5グラムとし、半固形豆腐の最小水分含有量(100グラム当たり)を92.0グラムとすることで合意。
また生湯葉と「乾燥湯葉」(セクション2.2.4)の規格を明確にするため、日本が提案し、合意が得られていた乾燥湯葉の「Dehydrated soybean milk film(乾燥湯葉)」への名称変更および「soybean milk film stick」は「soybean milk film 」を乾燥させただけの製品であるからと削除され、「soybean milk film」のみが規格化されることになった。
同委員会には総会、執行委員会、一般問題部会、個別食品部会、特別部会と、地域調整部会が設置され、地域調整部会のひとつにアジア23か国をメンバーとするアジア地域調整部会(CCASIA)がある。2012年11月5〜9日に東京で開催された「第18回CCASIA」から、非発酵大豆製品についての検討内容を概観してみる。
日本は、豆腐から水分を抜いて製造する「圧縮豆腐(豆腐干)」(セクション2.2.3)について、独立したセクションとしての規定ではなく、その製造工程から「豆腐および関連製品」の下位分類とすべきだと発言した。対するに中国が、圧縮豆腐は同国内で大量に製造・消費され、消費者も豆腐とは異なる製品と認識していることから、豆腐とは別分類にすべき旨を主張。合意が得られず、圧縮豆腐のセクション番号などについては、次回の部会で検討することになった。
豆乳類については、「豆乳」(セクション2.2.1.1)と「調整/香味付けされた豆乳」(同2.2.1.2)の統合案が出たが、部会では支持されず。豆乳の定義については、食物繊維の除去に関する記述を明確化。セクション2.2.1.2に該当する製品名称「Formulated Soybean milk」が乳児用調製粉乳(infant formulated)と誤解されると、「Composite/flavoured soybean milk」に修正し、製品の例示も定義に含めた。「豆乳飲料」(同2.2.1.3)の定義については、「調整/香味付けされた豆乳」より低いたんぱく質含有量を有する製品であることに合意。豆乳類の最小たんぱく質含有量(100グラム当たり)は、日本はJAS法を基に豆乳3.5グラム、調整/香り付けされた豆乳2.7グラムを主張したが、部会はいずれの最小たんぱく質含有量も2.0グラムを支持。成分用件については、豆乳飲料および豆腐の最小たんぱく質含有量をそれぞれ0.8グラム、3.5グラムとし、半固形豆腐の最小水分含有量(100グラム当たり)を92.0グラムとすることで合意。
また生湯葉と「乾燥湯葉」(セクション2.2.4)の規格を明確にするため、日本が提案し、合意が得られていた乾燥湯葉の「Dehydrated soybean milk film(乾燥湯葉)」への名称変更および「soybean milk film stick」は「soybean milk film 」を乾燥させただけの製品であるからと削除され、「soybean milk film」のみが規格化されることになった。
日使頭祭のこと
京都府乙訓郡大山崎町に「離宮八幡宮」なる神社が在る。石清水八幡宮の元社に当たり、八幡大神を祭神とする。
859年、奈良・大安寺の僧、行教が宇佐宮から都への帰途、山崎津で夜の山に霊光を見た。そこを掘ると岩間に清水が湧き、「石清水八幡宮」を創建。男山に神霊が分祀されたのはその後のこと。桓武天皇、嵯峨天皇の行幸での行宮があったことから、「山崎離宮」「河陽宮」と呼ばれた。この離宮八幡宮の春の例祭(毎年4月上旬)として執り行われるのが「日使頭祭(ひのとさい)」。全国の油業界関係者が参集することでよく知られている。大手の主力商品といえば、菜種油や大豆油などのサラダ油だから、大豆とも縁がある。
清和天皇(850〜880)の頃、あるいは貞観年間(859-877)、同宮の神主が長木(方油器、油木)により搾油したのが、日本での製油の発祥という。搾油器により精製された荏胡麻油は当初、神社仏閣の燈明用油として奉納され、日本各地に製油業が普及するにつれ、離宮八幡宮は朝廷より「油祖」の名を賜ることになる。荏胡麻油の製造と販売の中心地「油座」として油の専売特許を一手に持った離宮八幡宮は栄えた。「大山崎神人」と称し、石清水八幡宮へ供える油を扱うため、各国の関所を自由に通過する権利、原料の荏胡麻を独占的に買い付ける権利、油を一手に販売する権利などを有し、諸国の油商人は離宮八幡宮の許状なくして、油を扱うことは許されなかった。
当初の日使頭祭は「南祭」「藤祭」とも呼ばれ、「北祭(=葵祭)」にも匹敵する大きな祭礼だったという。だが中世こそ、荏胡麻油製造で栄えた山崎の地だけに、菜種搾油が始まるとともにその権勢も衰え、江戸時代に菜種油や綿実油が実用化されると搾油も停止した。油販売による莫大な事業収入に頼りきりだった神社の財政的基盤は弱く、その事業収入が途絶えると、離宮八幡宮は改修すらままならない有り様に陥ったという。
戦後、東京油問屋市場の金田勝次氏を中心に「油祖離宮八幡宮崇敬会」発足への活動が行われ、全国の製油メーカー、油脂販売業をはじめとした油脂関係者が参加を表明。昭和62年(1987)、「油祖離宮八幡宮崇敬会」が発足し、やがて、神事「日使頭祭」も復活することとなった。 毎年4月(本来は4月3日。あるいは4月上旬の土曜日)には、全国から100社以上もの油業界関係者が参拝し、献灯の儀、湯立の神事など、古式に則った儀式が行われている。
859年、奈良・大安寺の僧、行教が宇佐宮から都への帰途、山崎津で夜の山に霊光を見た。そこを掘ると岩間に清水が湧き、「石清水八幡宮」を創建。男山に神霊が分祀されたのはその後のこと。桓武天皇、嵯峨天皇の行幸での行宮があったことから、「山崎離宮」「河陽宮」と呼ばれた。この離宮八幡宮の春の例祭(毎年4月上旬)として執り行われるのが「日使頭祭(ひのとさい)」。全国の油業界関係者が参集することでよく知られている。大手の主力商品といえば、菜種油や大豆油などのサラダ油だから、大豆とも縁がある。
清和天皇(850〜880)の頃、あるいは貞観年間(859-877)、同宮の神主が長木(方油器、油木)により搾油したのが、日本での製油の発祥という。搾油器により精製された荏胡麻油は当初、神社仏閣の燈明用油として奉納され、日本各地に製油業が普及するにつれ、離宮八幡宮は朝廷より「油祖」の名を賜ることになる。荏胡麻油の製造と販売の中心地「油座」として油の専売特許を一手に持った離宮八幡宮は栄えた。「大山崎神人」と称し、石清水八幡宮へ供える油を扱うため、各国の関所を自由に通過する権利、原料の荏胡麻を独占的に買い付ける権利、油を一手に販売する権利などを有し、諸国の油商人は離宮八幡宮の許状なくして、油を扱うことは許されなかった。
当初の日使頭祭は「南祭」「藤祭」とも呼ばれ、「北祭(=葵祭)」にも匹敵する大きな祭礼だったという。だが中世こそ、荏胡麻油製造で栄えた山崎の地だけに、菜種搾油が始まるとともにその権勢も衰え、江戸時代に菜種油や綿実油が実用化されると搾油も停止した。油販売による莫大な事業収入に頼りきりだった神社の財政的基盤は弱く、その事業収入が途絶えると、離宮八幡宮は改修すらままならない有り様に陥ったという。
戦後、東京油問屋市場の金田勝次氏を中心に「油祖離宮八幡宮崇敬会」発足への活動が行われ、全国の製油メーカー、油脂販売業をはじめとした油脂関係者が参加を表明。昭和62年(1987)、「油祖離宮八幡宮崇敬会」が発足し、やがて、神事「日使頭祭」も復活することとなった。 毎年4月(本来は4月3日。あるいは4月上旬の土曜日)には、全国から100社以上もの油業界関係者が参拝し、献灯の儀、湯立の神事など、古式に則った儀式が行われている。
色利、煎汁、いろり
「いろり」と言っても、「囲炉裏」のことではない(確かに、冬の季語ではあるけれど)。漢字で書くと「色利」または「煎汁」。『広辞苑』の語釈では、「かつおぶしまたは大豆を煎じた煮出し汁」となっている。
続いて、源順(911〜983)の編集した平安時代の漢和辞書『倭名類聚鈔』から用例を引くと、「堅魚煎汁、加豆乎以呂利」。「加豆乎」のど真ん中に「豆」(大豆)を見出し、どきりとするが、ここは「堅魚」同様「加豆乎」も「かつお」と読む。だが、そうなると「カツオいろり」とわざわざ断らねばならないだけ、「いろり」の種類があったのではないか。また「つ」という音に当てはめる漢字はいくつもあろうに「豆」の文字を選び出したのには、それ相応の理由があったのではないかと推測が働く。
農学研究者の吉田よし子氏が、いろりについて触れている。
「日本では平安時代からいろりというだし兼調味料が使われてきた。平安時代の九条兼実の日記には『四種器、酢、酒、塩、醤、あるいは醤をやめて色利を使う。色利とは大豆を煎たる汁なり、或は魚を煎たる汁なり』とあるように、日本ではダイズのゆで汁、それも多分ダイズを煮て味噌を仕込む時に残る、ダイズの煮汁を煮つめて塩を加え、だし兼調味料を作っていたと思われる。江戸時代にも豆いろりという言葉は出てくるが、残念ながら豆いろりの作り方については、まだ情報を手に入れられずにいる」
残念なことに大豆ではないが、豆の王国・インドやその周辺では、この豆いろりが現役。使用する豆の種類はホースグラム(Dolichos biflorus)、インドではクルチ、クリチ、ミャンマーではペピザと呼ぶ。原産地はアフリカ、インドは第2次原産地。
現在もミャンマーでは、ペピザの茹で汁で「ポンイェージー」という豆いろりを作っているそうだ。茹で汁を弱火でとろとろと煮つめ、特有のコクを出す。汁が煮つまると別の鍋の汁と一緒にし、塩を加えて煮続ける。最後は練り餡を作るような案配で、こねるようにして練り上げる。出来上がった豆いろり(ポンイェージー)は八丁味噌くらいの堅さ。さらに乾燥して粉末にした商品もあるという。工場などでは茹で汁を一旦乳酸発酵させるが、家庭ではそのまま煮つめる。
参考文献:吉田よし子『マメな豆の話』(平凡社新書)
続いて、源順(911〜983)の編集した平安時代の漢和辞書『倭名類聚鈔』から用例を引くと、「堅魚煎汁、加豆乎以呂利」。「加豆乎」のど真ん中に「豆」(大豆)を見出し、どきりとするが、ここは「堅魚」同様「加豆乎」も「かつお」と読む。だが、そうなると「カツオいろり」とわざわざ断らねばならないだけ、「いろり」の種類があったのではないか。また「つ」という音に当てはめる漢字はいくつもあろうに「豆」の文字を選び出したのには、それ相応の理由があったのではないかと推測が働く。
農学研究者の吉田よし子氏が、いろりについて触れている。
「日本では平安時代からいろりというだし兼調味料が使われてきた。平安時代の九条兼実の日記には『四種器、酢、酒、塩、醤、あるいは醤をやめて色利を使う。色利とは大豆を煎たる汁なり、或は魚を煎たる汁なり』とあるように、日本ではダイズのゆで汁、それも多分ダイズを煮て味噌を仕込む時に残る、ダイズの煮汁を煮つめて塩を加え、だし兼調味料を作っていたと思われる。江戸時代にも豆いろりという言葉は出てくるが、残念ながら豆いろりの作り方については、まだ情報を手に入れられずにいる」
残念なことに大豆ではないが、豆の王国・インドやその周辺では、この豆いろりが現役。使用する豆の種類はホースグラム(Dolichos biflorus)、インドではクルチ、クリチ、ミャンマーではペピザと呼ぶ。原産地はアフリカ、インドは第2次原産地。
現在もミャンマーでは、ペピザの茹で汁で「ポンイェージー」という豆いろりを作っているそうだ。茹で汁を弱火でとろとろと煮つめ、特有のコクを出す。汁が煮つまると別の鍋の汁と一緒にし、塩を加えて煮続ける。最後は練り餡を作るような案配で、こねるようにして練り上げる。出来上がった豆いろり(ポンイェージー)は八丁味噌くらいの堅さ。さらに乾燥して粉末にした商品もあるという。工場などでは茹で汁を一旦乳酸発酵させるが、家庭ではそのまま煮つめる。
参考文献:吉田よし子『マメな豆の話』(平凡社新書)
「貿易統計」に見る大豆輸入価格
財務省の「貿易統計」から「品別国別表」で食品用大豆の輸入価格を算出してみよう。直近の報道発表によれば、2012年9月分までの貿易統計(確報)を閲覧できる。現行の輸入についての統計品目番号は、「実行関税率表」で確かめる必要がある。逆に、輸出の場合だと「輸出統計品目表」を見なければならない。
輸入状況を探るのだから、最新の実行関税率表2012年4月版から大豆を追いかけてみる。大豆はまず、第2部「植物性生産品」の第12類「採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物」に含まれている。大豆種子はもちろん採油用だけでなく、「各種の」という表現に、豆腐や納豆など加工食品用などの用途もくみ取っておこう。
大豆は割ってあるかないかを問わず、播種用のもの、その他のものに大きく分かれ、いずれもさらに種子の色で二分されるので、「播種用のもの–黄白色系のもの(120110010)」「播種用のもの–その他のもの(120110090)」「その他のもの–黄白色系のもの(120190010)」「その他のもの–その他のもの(120190090)」の都合4つの統計品目番号が得られる。あくまで食品用大豆の輸入状況を見るのだから、播種用は省き、さらに量的に極めて少ない黄白色系以外のものも取り去ると、「120190010」で品目指定の上、検索をかければよいだろう。
2011年平均および2012年各月の輸入数量、輸入金額から、大豆1俵当たりの金額を単純計算して表にまとめた。
主要輸入国の輸入数量および輸入金額について触れておくと、9月までの累計に限るが、米国129万4,855トン(622億8,524万円)、ブラジル41万3,759トン(202億8,406万円)、カナダ28万4,131トン(174億9,915万円)、中国2万9,683トン(22億5,940万円)—-などとなっている。
輸入状況を探るのだから、最新の実行関税率表2012年4月版から大豆を追いかけてみる。大豆はまず、第2部「植物性生産品」の第12類「採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物」に含まれている。大豆種子はもちろん採油用だけでなく、「各種の」という表現に、豆腐や納豆など加工食品用などの用途もくみ取っておこう。
大豆は割ってあるかないかを問わず、播種用のもの、その他のものに大きく分かれ、いずれもさらに種子の色で二分されるので、「播種用のもの–黄白色系のもの(120110010)」「播種用のもの–その他のもの(120110090)」「その他のもの–黄白色系のもの(120190010)」「その他のもの–その他のもの(120190090)」の都合4つの統計品目番号が得られる。あくまで食品用大豆の輸入状況を見るのだから、播種用は省き、さらに量的に極めて少ない黄白色系以外のものも取り去ると、「120190010」で品目指定の上、検索をかければよいだろう。
2011年平均および2012年各月の輸入数量、輸入金額から、大豆1俵当たりの金額を単純計算して表にまとめた。
主要輸入国の輸入数量および輸入金額について触れておくと、9月までの累計に限るが、米国129万4,855トン(622億8,524万円)、ブラジル41万3,759トン(202億8,406万円)、カナダ28万4,131トン(174億9,915万円)、中国2万9,683トン(22億5,940万円)—-などとなっている。

里のほほえみ
(独)農業・食品産業技術総合研究機構では、実需者などにすぐ活用してもらえる品種・技術のうち、特に勧めるものを選出した上で、研究成果パンフレットにまとめている。最新版(2012)の品種編では、大豆6種(里のほほえみ、はつさやか、あきまろ、すずほのか、すずかれん、フクミノリ)が掲載されているが、ここでは里のほほえみを取り上げる。

里のほほえみの子実のたんぱく質含量は、エンレイ並みに高く(45%前後)、豆乳の抽出率や豆腐の硬さなどから、豆腐加工に適している。エンレイより1週間ほど晩熟だが、ダイズモザイク病や紫斑病に対してもエンレイより強く、粒大はかなり大粒(百粒重40グラム前後)で、外観品質が良好。
生育中は倒れにくく、最下着莢節位が高く、莢が割れにくいことから、コンバイン収穫などの機械化適性にも優れていることが特徴である。栽培適地は東北南部など。現在は山形県、福井県、栃木県で生産されている。
特に福井では、大豆生産者、豆腐業者、農業試験場などが連携し、奨励品種大豆「里のほほえみ」を使用してのブランド商品開発を進める「福井ブランド豆腐技術解決チーム」が会合の回数を重ねるなど、活発な取り組みが続けられている。
里のほほえみの元は「東北160号」。平成8年、東北農業試験場(現・東北農業研究センター)において、ダイズモザイクウイルス抵抗性の「東北129号」を母、極大粒系統の「刈交0264MYF6」を父とした人工交配から育成された系統である。
なお、他の5種の主な用途は、はつさやかが豆腐、あきまろが味噌、すずほのか、すずかれんが納豆、フクミノリが豆腐とされている。

里のほほえみの子実のたんぱく質含量は、エンレイ並みに高く(45%前後)、豆乳の抽出率や豆腐の硬さなどから、豆腐加工に適している。エンレイより1週間ほど晩熟だが、ダイズモザイク病や紫斑病に対してもエンレイより強く、粒大はかなり大粒(百粒重40グラム前後)で、外観品質が良好。
生育中は倒れにくく、最下着莢節位が高く、莢が割れにくいことから、コンバイン収穫などの機械化適性にも優れていることが特徴である。栽培適地は東北南部など。現在は山形県、福井県、栃木県で生産されている。
特に福井では、大豆生産者、豆腐業者、農業試験場などが連携し、奨励品種大豆「里のほほえみ」を使用してのブランド商品開発を進める「福井ブランド豆腐技術解決チーム」が会合の回数を重ねるなど、活発な取り組みが続けられている。
里のほほえみの元は「東北160号」。平成8年、東北農業試験場(現・東北農業研究センター)において、ダイズモザイクウイルス抵抗性の「東北129号」を母、極大粒系統の「刈交0264MYF6」を父とした人工交配から育成された系統である。
なお、他の5種の主な用途は、はつさやかが豆腐、あきまろが味噌、すずほのか、すずかれんが納豆、フクミノリが豆腐とされている。
丹波の「京夏ずきん」
「丹波黒大豆」から生まれた“京のブランド産品”、「紫ずきん」は黒大豆の枝豆。秋の味覚を代表する京野菜として人気だが、その出荷期間(9月中旬〜10月下旬)より1か月も早く、8月中旬から出荷できる夏採りの黒大豆が、新品種として育成されている。京都府農林水産技術センター(亀岡市)が品種改良を行い、2011年度から本格出荷を始めた「京夏ずきん」がそれだ。
この新品種、京夏ずきんは紫ずきんを親に品種改良を進め、優良系統を選抜しただけあって、紫ずきん並みの大粒で、甘みとコクの強い良食味が特徴。商品名の「京夏ずきん」は、京都の夏をイメージさせるとともに、親の「紫ずきん」との一体的な需要を喚起させるネーミングとして、京都府知事が命名した。全国農業協同組合連合会(京都府本部)で商標登録の方も出願済み。主な栽培地域は南丹、中丹、丹後管内。今年は府北部・中部の計10ヘクタールで栽培され、8月下旬までに約40トンが出荷された模様。8月7日に京都市中央卸売市場で初競りが行われ、一部は大阪や東京の市場でも流通している。
ビールの消費が増える8月に販売できる枝豆は小粒のものが大半だったことから、8月に収穫できる黒大豆系の枝豆の開発を――という経緯で誕生した京夏ずきん。だが元々、その親となる紫ずきんもまた、収穫時期を早める意図から育成された新品種だった。従来、冬場に使用されることの多かった丹波黒大豆を秋口の枝豆として消費拡大しようと、収穫時期を9月〜10月下旬に早めた新品種なのだから。出荷が開始されたのは1996年から。それに加えて新たな京のブランド産品、京夏ずきんの投入により、夏から秋にかけてずっと、黒大豆枝豆を楽しめることになった形。
京夏ずきんに引き続き、今年も紫ずきんの販売が9月7日から始まる。「京野菜コーナー」を設けるなど、ブランド京野菜をはじめ、京都の野菜を豊富に品ぞろえした「ほんまもん京野菜取扱店」を中心に、京都府内外40店舗以上で販売予定。市場での競り売りは9月下旬から。なお、今年の紫ずきんの栽培面積は58ヘクタール。出荷量は昨年(183トン)を上回る220トンが見込まれている。
この新品種、京夏ずきんは紫ずきんを親に品種改良を進め、優良系統を選抜しただけあって、紫ずきん並みの大粒で、甘みとコクの強い良食味が特徴。商品名の「京夏ずきん」は、京都の夏をイメージさせるとともに、親の「紫ずきん」との一体的な需要を喚起させるネーミングとして、京都府知事が命名した。全国農業協同組合連合会(京都府本部)で商標登録の方も出願済み。主な栽培地域は南丹、中丹、丹後管内。今年は府北部・中部の計10ヘクタールで栽培され、8月下旬までに約40トンが出荷された模様。8月7日に京都市中央卸売市場で初競りが行われ、一部は大阪や東京の市場でも流通している。
ビールの消費が増える8月に販売できる枝豆は小粒のものが大半だったことから、8月に収穫できる黒大豆系の枝豆の開発を――という経緯で誕生した京夏ずきん。だが元々、その親となる紫ずきんもまた、収穫時期を早める意図から育成された新品種だった。従来、冬場に使用されることの多かった丹波黒大豆を秋口の枝豆として消費拡大しようと、収穫時期を9月〜10月下旬に早めた新品種なのだから。出荷が開始されたのは1996年から。それに加えて新たな京のブランド産品、京夏ずきんの投入により、夏から秋にかけてずっと、黒大豆枝豆を楽しめることになった形。
京夏ずきんに引き続き、今年も紫ずきんの販売が9月7日から始まる。「京野菜コーナー」を設けるなど、ブランド京野菜をはじめ、京都の野菜を豊富に品ぞろえした「ほんまもん京野菜取扱店」を中心に、京都府内外40店舗以上で販売予定。市場での競り売りは9月下旬から。なお、今年の紫ずきんの栽培面積は58ヘクタール。出荷量は昨年(183トン)を上回る220トンが見込まれている。
大豆たんぱくの生産量(2011年)
(社)日本植物蛋白食品協会(尾上秀俊会長)では、植物性たんぱく食品の生産、出荷・自社使用量の調査結果を2010年から公表している。調査結果を見ると、2011年の大豆たんぱくの国内生産量は前年比0.98%増の3万6,554トン。同じく出荷・自社使用量は前年比1.63%増の3万6,016トンである。
「国内生産量」とは国内自社工場で生産した総量で、OEMや受託生産も含み、海外自社工場の生産量は含まない。「出荷量」は国内向けに出荷したものだけでなく、輸出したものも含む。「自社使用量」は最終製品製造のために自社で使用する原料の量を指す。
2010年からは日本植物蛋白食品協会調べだが、それ以前は、農水省食品製造卸売課(2011年9月以前は食品産業振興課)調べ。農水省調査に比べて数値が少なくなっているのは、会員企業工場の海外での生産販売量を含まないこと、調査対象企業が2社減ったことが原因とみられる。
また大豆たんぱくとは大豆を原料に、それに含まれるたんぱく質を独自の製法により抽出し、主に食品素材として使われるもの。粒状、繊維状、粉末状の製品がある。粉末状はさらに「濃縮」タイプと「分離」タイプに分けられる。
「国内生産量」とは国内自社工場で生産した総量で、OEMや受託生産も含み、海外自社工場の生産量は含まない。「出荷量」は国内向けに出荷したものだけでなく、輸出したものも含む。「自社使用量」は最終製品製造のために自社で使用する原料の量を指す。
2010年からは日本植物蛋白食品協会調べだが、それ以前は、農水省食品製造卸売課(2011年9月以前は食品産業振興課)調べ。農水省調査に比べて数値が少なくなっているのは、会員企業工場の海外での生産販売量を含まないこと、調査対象企業が2社減ったことが原因とみられる。
また大豆たんぱくとは大豆を原料に、それに含まれるたんぱく質を独自の製法により抽出し、主に食品素材として使われるもの。粒状、繊維状、粉末状の製品がある。粉末状はさらに「濃縮」タイプと「分離」タイプに分けられる。

正真正銘の親子丼
昭和12年(1937)、盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が拡大していく時代、吉本興業と朝日新聞社が「わらわし隊」を編成して中国各地に送り出した。「わらわし隊」とは派遣演芸慰問隊の名前で、当時の空の英雄「荒鷲隊」をもじったもの。慰問演芸班の漫才のネタにも関わり、戦時下の慰問袋に収められた新作漫才集の台本を書いていたのが秋田實(1905〜1977)である。
この「読み物としての漫才」から、玉松一郎、ミス ・ ワカナの「今年は辰年」を引用しよう。物資が窮乏する中、一郎がワカナに親子丼をご馳走すると言う。材料にお金はかからず、非常に経済的と聞かされ――。
ワカナ「早速、家でもマネをさして頂きますから、料理法を教へて頂けませんか」
一郎「よろしい。まず五人分の材料に、大豆が一合と、焼豆腐が三丁。これでえゝのです」
ワカナ「豆と豆腐ですか、親子丼に?」
以下、一郎のレシピ。
「最初、豆を洗つて頂きます。洗ふと云ふても石鹸で洗はんでもよろしい。きれいに洗へましたら、味の方はすこしからい目にたいて頂きます」
「次に焼豆腐を三丁ともつぶします。つぶすと言ふても、金槌で叩いてつぶすのではありません」
「すり鉢に入れてすりつぶした豆腐をば、甘い目に煮いてもらひます」
「煮けましたら、熱い御飯に豆腐を先きにかけて、その上から、豆を振りかけて頂きます。これが僕ン處の自家製親子丼や」

お約束どおり、ワカナは「かしわと、卵を入れてこそ、名前通り親子丼と言ふのやないか」と突っ込み、対する一郎は、豆腐は大豆から作るのだから「豆が親で、豆腐が子やないか、これ程、正眞正銘の親子丼があらへんやろ」と混ぜっ返す。
時に昭和15年(1940)5月からは、週1回の“節米デー”が始まり、“国策ランチ”なども登場している。同年9月には贅沢食品禁令も出されている。そういったご時世であったことを思えば、いや、そうでなくとも、大豆と豆腐を甘辛く炊いた親子丼は結構おいしく、かつヘルシーな気もするのだが。
参考文献:『ミス ・ ワカナ 玉松一郎 漫才選集』(輝文館大阪パック社)
この「読み物としての漫才」から、玉松一郎、ミス ・ ワカナの「今年は辰年」を引用しよう。物資が窮乏する中、一郎がワカナに親子丼をご馳走すると言う。材料にお金はかからず、非常に経済的と聞かされ――。
ワカナ「早速、家でもマネをさして頂きますから、料理法を教へて頂けませんか」
一郎「よろしい。まず五人分の材料に、大豆が一合と、焼豆腐が三丁。これでえゝのです」
ワカナ「豆と豆腐ですか、親子丼に?」
以下、一郎のレシピ。
「最初、豆を洗つて頂きます。洗ふと云ふても石鹸で洗はんでもよろしい。きれいに洗へましたら、味の方はすこしからい目にたいて頂きます」
「次に焼豆腐を三丁ともつぶします。つぶすと言ふても、金槌で叩いてつぶすのではありません」
「すり鉢に入れてすりつぶした豆腐をば、甘い目に煮いてもらひます」
「煮けましたら、熱い御飯に豆腐を先きにかけて、その上から、豆を振りかけて頂きます。これが僕ン處の自家製親子丼や」

お約束どおり、ワカナは「かしわと、卵を入れてこそ、名前通り親子丼と言ふのやないか」と突っ込み、対する一郎は、豆腐は大豆から作るのだから「豆が親で、豆腐が子やないか、これ程、正眞正銘の親子丼があらへんやろ」と混ぜっ返す。
時に昭和15年(1940)5月からは、週1回の“節米デー”が始まり、“国策ランチ”なども登場している。同年9月には贅沢食品禁令も出されている。そういったご時世であったことを思えば、いや、そうでなくとも、大豆と豆腐を甘辛く炊いた親子丼は結構おいしく、かつヘルシーな気もするのだが。
参考文献:『ミス ・ ワカナ 玉松一郎 漫才選集』(輝文館大阪パック社)
仲平豆

今回取り上げる『安井夫人』は、若山甲蔵「安井息軒先生」に依拠した歴史小説。安井息軒仲平(1799〜1876年)は江戸時代の儒学者。現・宮崎市出身だが、父にならって江戸へ出て研鑚を積み、江戸期儒学の集大成と評価され、近代漢学の礎を築いたといわれる。その地道に刻苦精励する生涯に、鴎外が自身との共通点を見出し、あるいは彼を取り巻く家族模様に自らの理想を投じたとも読める。仲平は26歳で江戸へ出る前に、21歳の春から大阪・土佐堀で修業している。
大阪土佐堀三丁目の蔵屋敷に著いて、長屋の一間を借りて自炊をしてゐた。倹約のために大豆を塩と醤油とで煮て置いて、それを飯の菜にしたのを、蔵屋敷では「仲平豆」と名づけた。
そのように質実剛健を地で行った(かつ人としての情愛の細やかさも忘れぬ)仲平は、将来有望の若者と周囲からの期待も高かったのだが、ひとつだけ残念なことに、男ぶりが宜しくなかったらしい。あばたがあって片目で、背が低く、「仲平さんは不男だ」と陰言を言われる始末。が、仲平の父・滄州翁は知恵や才気にこそ人間の美点があると考え、そんな仲平の「人物を識った女」こそ嫁に欲しいと思っていた。そこへ自分から申し出て嫁いだのが、若くも内気で「岡の小町」と呼ばれた佐代、タイトルにも取られている「安井夫人」である。
鴎外は作中、「お佐代さんはどう云ふ女であつたか」「何を望んだか」などの問いを繰り返しつつも、世俗的な対価を得たかどうかで彼女の生涯を評価することなく、「遠い、遠い所」へまなざしを向けた佐代の姿を淡々と描出している。
大豆加工品の家計支出金額(2011年)
総務省統計局の行っている家計調査結果から、2011年の全国平均1世帯当たりの家計支出をまとめた。大豆加工品について2人以上の世帯対象の調査結果を見ると、その支出金額は前年よりわずかに減少。購入頻度もまたわずかな減少を示している。総務省統計局では、大豆加工品を「大豆を主原料として工業的加工を施したもの。味噌、醤油など調味料および大豆の煮物、つくだ煮などは除く」と定義している。
さらに大豆加工品という大分類は、豆腐、油揚げ ・ がんもどき、納豆、「他の大豆製品」という4つの小分類から成る。2011年は豆腐の家計支出金額(5,722円)が前年よりやや減り、油揚げ ・ がんもどき(3,223円)はわずかに減少。納豆は前年並みの3,295円だが、他の大豆製品(642円)がかなり減少したことを受けて、大豆加工品トータルでの支出金額は1万2,882円だった。前年と比較すると、やや(2. 92%)減少し、1万3,000台を割ってしまった。
ちなみに「他の大豆製品」とは、おから、凍り豆腐、生 ・ 干し湯葉、浜納豆、きな粉などを指す。豆乳は含まない。総務省統計局の家計調査において、豆乳は「その他の飲料」中の「その他」として分類される。 豆腐は夏場の冷や奴、油揚げ類や(湯葉に代表される)他の大豆製品は冬場の鍋料理――など、納豆(近代製法が確立されるまでは、納豆も季節食品……冬の農閑期に作られる風物詩だった)以外の各品目に需要シーズンが認められるが、大豆加工品全体では均等にならされた格好で、どの月も1,000円から1,100円台前半の幅に収まっている。
大豆加工品の購入頻度は前年比1.41%減で、1世帯当たり年間106.11回。購入世帯数は同0.11%減で、月平均だと98.17%の家庭、つまりほとんどの家庭が何らかの大豆加工品を購入していることがわかる。
さらに大豆加工品という大分類は、豆腐、油揚げ ・ がんもどき、納豆、「他の大豆製品」という4つの小分類から成る。2011年は豆腐の家計支出金額(5,722円)が前年よりやや減り、油揚げ ・ がんもどき(3,223円)はわずかに減少。納豆は前年並みの3,295円だが、他の大豆製品(642円)がかなり減少したことを受けて、大豆加工品トータルでの支出金額は1万2,882円だった。前年と比較すると、やや(2. 92%)減少し、1万3,000台を割ってしまった。
ちなみに「他の大豆製品」とは、おから、凍り豆腐、生 ・ 干し湯葉、浜納豆、きな粉などを指す。豆乳は含まない。総務省統計局の家計調査において、豆乳は「その他の飲料」中の「その他」として分類される。 豆腐は夏場の冷や奴、油揚げ類や(湯葉に代表される)他の大豆製品は冬場の鍋料理――など、納豆(近代製法が確立されるまでは、納豆も季節食品……冬の農閑期に作られる風物詩だった)以外の各品目に需要シーズンが認められるが、大豆加工品全体では均等にならされた格好で、どの月も1,000円から1,100円台前半の幅に収まっている。
大豆加工品の購入頻度は前年比1.41%減で、1世帯当たり年間106.11回。購入世帯数は同0.11%減で、月平均だと98.17%の家庭、つまりほとんどの家庭が何らかの大豆加工品を購入していることがわかる。
