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2004年産大豆の品種別作付面積

農林水産省生産局農産振興課の調査で、2004年産大豆の品種別作付面積が明らかになっている。調査結果によると、全国トータルでは、フクユタカ、エンレイ、タチナガハ、リュウホウ、スズユタカが1〜5位を占めた。この結果は2001年から全く変わっていない。

1位のフクユタカは、主産地の福岡、佐賀で2004年産が大幅に減収、作付面積自体が減っているにもかかわらず、シェア(全作付面積比)は1.1ポイント増やしている。これは相次ぐ台風や長雨の影響によって、フクユタカに限らず、いずれの品種も全般に減収したため。2位のエンレイはスズユタカ以上に作付面積を大きく減らし、シェアも1.4ポイント減。しかし、シェア2割超のフクユタカに次いで、シェア1割を超えるのは、まだエンレイのみである。

3位のタチナガハ、4位のリュウホウ、5位のスズユタカも、徐々に伸ばしてきた作付面積を2004年産では落とさなければならなかった。それぞれのシェアは0.1ポイント増、0.1ポイント減、0.5ポイント減–と、目立った変化はない。

6位のおおすず、7位のミヤギシロメという順位も、2003年産と同じ。シェアはそれぞれ3.0ポイント、2.9ポイントと、3%前後で安定している。過去5年間で03年に初登場したタンレイは8位。2004年に初登場10位となったサチユタカは主に近畿、中国、九州北部で栽培されている。代わりにトヨコマチがランク外に滑り落ちた。9位はトヨムスメで、7位以下はどれもシェア2%台。

ベスト10に入った品種は、いずれも豆腐加工に適した大豆。ほかの食品用途としては、エンレイがみそ、タチナガハ、リュウホウ、おおすず、トヨムスメが煮豆、ミヤギシロメが煮豆、菓子にも適する。

大豆品種別作付面積_2004
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こんにゃく王国は一日にしてならず (2)

こんにゃく生産において、群馬は9割近くのシェアを有する王国を築き上げた。群馬が絶対王者になれた理由として3点挙げられる。第1に改良品種の誕生。在来種と支那種を交配した、品質に優れかつ病気にも強い品種「はるなくろ」や「あかぎおおだま」が普及し、収穫が安定した。第2に、激しい相場変動と投機性とは切り離せないこんにゃくと、熱しやすく冷めやすい上州人気質のウマが合ったこと。気まぐれでどう転ぶか分からないこんにゃくは、それに付き合う人々の気質も選んだようである。もうひとつの要因は何か? そこには、日本の戦後史の一端が見え隠れする。

戦前までは、広島、群馬、岡山、福島、茨城の5県がこんにゃく生産量の上位を争っていた。昭和26(1951)年、群馬が戦後初めて生産量ナンバーワンの座を射止め(全国シェアは18%)、以降、群馬はこんにゃく生産量の全国シェアを増やし続けるが、同時にこんにゃくの栽培面積も拡大の一途をたどる。

昭和27(1952)年、群馬、茨城、静岡の3県は各400ヘクタール台で横並びだったが、昭和39(1964)年には、茨城の約1,200ヘクタール、静岡の約600ヘクタールに対して、群馬は約3,500ヘクタールと実に9倍近くまで増やしている。この急激な拡張を促したのが、意外にもコンクリート・ブロックという、こんにゃくとは似ても似つかぬものだった。

こんにゃくのメッカともいえる渋川市や旧子持村の位置する群馬県中央部は、6世紀の榛名山の大噴火で噴き上げた軽石が厚く堆積している。この数メートルに及ぶ豊富な軽石層のお陰で、昭和20〜30年代にかけて、渋川市を中心に群馬県内で多くのブロック業者が誕生した。彼らは採掘した軽石にコンクリートを混ぜて軽量ブロックを生産したが、山林を切り開いた採掘跡に土が埋め戻された結果、何もないさら地が残った。そこに植えられたのが、火山灰の礫質土壌に適したこんにゃくだったというわけ。

昭和39年といえば、東海道新幹線が開通し、東京オリンピックの開催された年。戦後の復興期から高度成長期にかけて、都心部での建設ラッシュを支えた陰の功労者がコンクリート・ブロックで、一般住宅の外壁や塀、ビルの間仕切り用にブロックの需要が増大するに伴い、群馬のこんにゃく栽培地も急増していったのである。

参考文献:武内孝夫『こんにゃくの中の日本史』(講談社現代新書)

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納豆と魯山人

陶芸家で美食家だった魯山人(1883〜1959年)は、納豆に関しても一家言を残している。関西人は納豆が苦手との憶説は根強いが、京都出身の魯山人は、大徳寺納豆はもちろん、糸引き納豆も好んで食べた。賞味する際には、魯山人のこと、まず厳しく素材の吟味から始める。

納豆には美味いものと不味いものとある。不味いのは、ねっても糸をひかないで、ざくざくとしている。それは納豆として充分に発酵していない未熟な品である。糸をひかずに豆がざくざくぽくぽくしている。充分にかもされている納豆は、豆の質がこまかく、豆がねちねちしていないものは、手をいかに下すとも救い難いものである。だから、糸をひかない納豆は食べられない。


この昭和7(1932)年発表の文章で、魯山人は「一番美味いのは、仙台、水戸などの小粒の納豆である」と明言。好みがはっきりとしている。納豆選びに納得がいけば、次は納豆の「拵え方」である。ここでの拵え方とは調理法というより、「練り方」のこと。焼き物に手を染めたきっかけも、おいしい物を食べるには目を楽しませる美しい器も必要と考えたから。

そんな魯山人だから、おいしく味わうためならば、面倒もいとわない。人それぞれにこだわりの納豆の練り方があるだろうが、魯山人の練り方に耳を傾けてみよう。納豆食いで通がる人は、しょう油の代わりに、さっぱりと塩を用いるとも書いているが、ここでは無難にしょう油を用いた場合–。

納豆を器に出して、それになにも加えないで、そのまま、二本の箸でよくねりまぜる。そうすると、納豆の糸が多くなる。蓮から出る糸のようなものがふえて来て、かたくて練りにくくなって来る。この糸を出せば出すほど納豆は美味くなるのであるから、不精をしないで、また手間を惜しまず、極力ねりかえすべきである。

かたく練り上げたら、醤油を数滴落としてまた練るのである。また醤油数滴を落として練る。要するにほんの少しずつ醤油をかけては、ねることを繰り返し、糸のすがたがなくなってどろどろになった納豆に、辛子を入れてよく撹拌する。この時、好みによって薬味(ねぎのみじん切り)を少量混和すると、一段と味が強くなって美味い。

参考文献:北大路魯山人『魯山人味道』(中公文庫)

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豆腐は何丁、売れているか?(1)

往時、嫌いな食べ物ナンバーワンとして「TOFU」が挙げられる国、アメリカへ1980年代半ば、森永乳業の現地法人設立のため、雲田康夫氏が派遣された。雲田氏がコツコツと辛抱強く、米国に豆腐を認知させ、商売に励む様を描いた奮戦記『豆腐バカ 世界に挑む』の中で気になる記述がある。1970年代、森永乳業が牛乳で培った無菌包装の技術を豆腐にも応用するための研究を開始し、ついに、10か月間も新鮮さを保つことのできる無菌包装豆腐の開発に成功したころの話。

当時、(豆腐の)日本での『市場規模』market sizeが約4,000億円もあり、1日に1,200万丁が消費されていた。これを毎日牛乳と一緒に玄関の横に取りつけてある牛乳受け箱に配達すれば、家庭の主婦に喜ばれることは間違いない。“豆腐への決断”は速かった

既にルートの確立している牛乳と同じ日配品として豆腐を売り込もう、という着眼点も面白いのだが、ここで問題にするのは、市場規模および1日当たりの消費量である。本紙では豆腐業関連の資料として、総務省統計局、厚生労働省、経済産業省などの公表した調査結果を利用しているが、その辺りの資料を用いているのだろうか。

例えば「森永が防腐剤を使用しないで、しかも無添加additive-freeで、完全無菌の豆腐の開発に成功したことが、当時の日本の豆腐メーカー32,000社に与えた衝撃は、想像以上に大きかった」と書かれているのは、厚生(労働)省の発表する「許可を要する食品関係営業施設数」の豆腐製造業の数から採ったのではないかと推測される。1976年の豆腐製造業者数は3万2,047社で、雲田氏の挙げた数字と合致する。

断っておくと、豆腐の市場規模は、家計調査の1世帯当たり家計支出に該当年の世帯数を掛け合わせた家庭消費金額と等しくはないし、豆腐全体の消費量も1世帯当たりの購入数量に世帯数を掛け合わせた値とは異なる。雲田氏は「日本は2004年の実績によると、豆腐が1日に1,300万丁消費されているという」と記す。

統計局のデータ等を使って試算してみると、2004年の豆腐に対する1世帯当たり(農林漁家世帯を除く全世帯)の豆腐購入数量74.48丁に、世帯数4,983万7,731戸を掛けて、年間37億1,191万4,205丁。これを365(日)で割ると、1日当たり1,014万1,842丁という勘定になる。

参考文献:雲田康夫『豆腐バカ 世界に挑む』(光文社)

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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