生態系による大豆の分類

現在、日本の大豆は開花までの日数と、開花から成熟期までの日数によって分類されている。一般に、早生品種は日長反応性が小さく、温度によって開花が促進される傾向が強い。このタイプの大豆は北海道に多く、九州でも極早生大豆として栽培される。一方、晩生品種は日長反応性が大きく、九州では秋大豆として栽培される。中間型大豆は両者の中間的特性を持ち、本州の主要品種はほぼこのタイプである。分類の基準を下表に掲げた。

大豆品種の生態系_200705

それぞれの代表的な品種を以下に示す。

Ia 3号早生、1号早生、金川早生
Ib トヨスズ、中生光黒、キタムスメ、トヨムスメ、キタコマチ、白鶴の子、ユウヅル、ワセスズナリ
IIa はしりまめ、ボンミノリ、コガネダイズ、ヒゴムスメ、白莢1号
IIb ワセシロゲ、ライデン、フクシロメ、農林2号
IIc ナンブシロメ、タチユタカ、ミヤギシロメ、スズユタカ、エンレイ、タチナガハ
IIIb 白八石
IIIc 納豆小粒、ナカセンナリ、タマホマレ、アキシロメ
IVc 丹波黒、フクユタカ、アキヨシ、トヨシロメ
Vc アキセンゴク、アソムスメ、ホウギョク

参考文献:
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こんにゃくの消費実態調査

総務省統計局は、国民生活の実態について、家計の収支および貯蓄・負債、耐久消費財、住宅・宅地などの家計資産を総合的に調査し、全国および地域別の世帯の消費・所得・資産に係る水準、構造、分布などを明らかにすることを目的として、「全国消費実態調査」を行っている。昭和34(1959)年の第1回調査以来、5年ごとに実施されており、最新の調査結果は10回目となる平成16(2004)年のものである。その中から、こんにゃくに対する消費支出額を抜粋し、地方別・都道府県別に下表にまとめた。

地方別に見ると、やはり東北が強い。1世帯当たり1か月間で277円、食料支出に占めるこんにゃくの消費額は0.36%となっている。北陸、東海、四国、近畿、中国、北海道、関東の7地方が200円台前半、九州は200円を割って196円。最少となる沖縄は、位がひとつ下がって98円。食料支出に占めるこんにゃく消費額の割合で見ると、東北に次いで、四国、北陸、北海道、東海、中国、近畿、九州、関東、沖縄の順で多い。食料支出に占める割合でも、沖縄は0.18%と0.20%を下回り、やはり消費量自体が少ないもよう。

都道府県別にこんにゃくの消費額を見ると、断トツで山形が1位。381円を記録しており、300円台にのせた都道府県は他に見当たらない。続いて岩手、新潟、宮城、鳥取、青森、福島の6県が200円台後半、29都道府県が200円台前半、10県が100円台後半となり、沖縄県のみ、けた違いの98円。

食料支出に占めるこんにゃくの消費額を見てみると、もちろん1位は山形。2位以下に岩手、青森、宮城、福島と見事に東北勢が席巻する。次に新潟、鳥取、島根など、日本海側の県が目立っているようだ。沖縄は食料支出自体の少なさを考慮しても、こんにゃくの占める割合の極めて低いことが分かる。食料支出だけを見ると、東京、滋賀、京都、神奈川は高額だが、こんにゃくの占める割合は芳しくない。また、こんにゃく芋の主産県である群馬が、こんにゃくに対する支出額および食料支出に占める割合の低いことは特筆に値する。

こんにゃく消費実態調査_200705

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糸引き納豆の起源

日本の糸引き納豆については、中国から伝来した、というのが定説になっているが、それは本当に正しいのか? 東京農業大学の小泉武夫教授は異を唱えている。

寺納豆、浜納豆、大徳寺納豆などの糸を引かない塩辛納豆については、奈良時代から宮内省大膳職で作られていた豉(くき)の一種であり、平安時代後期の『新猿楽記』(藤原明衡著、1058〜66年)にも「精進物、春、塩辛納豆」の記述が見え、中国から伝来したことに間違いはないようだ。しかし、糸引き納豆に関しては、大陸から伝来しなくても、日本で独自に発生し得たものだ、と小泉教授は考える。

糸引き納豆の日本起源説の根拠には、日本の醤油や味噌造りが奈良時代から行われていて、「穀醤(こくびしお)」や「未醤(みしょう)」として確立していたことがまず挙げられる。ちなみに「未醤」とは、味噌の原型となったもの。醤油や味噌を造るには、大豆に「花」と呼ばれる麹カビを付けて、大豆麹を作らなければならない。その昔、この大豆麹を作る際に、まず稲わらで作ったむしろを敷き、そこに煮た大豆を広げ、その上にさらに稲わらを被せて作っていた。すると、稲わらに生育していた麹菌と納豆菌は、同時に大豆上で繁殖し、糸を引く大豆麹を作ってくれる。

この時、40℃くらいの高い温度で麹を作ると、高温に対して強い納豆菌の繁殖が優勢となり、麹菌は繁殖が抑えられて、糸引き納豆だけが出来上がることになる。逆に、温度が40℃以下になると、納豆菌は繁殖できずに、麹菌の方が繁殖する。昔は温度計など無かったので、手で触った時の大体の感覚で温度を計っていた。煮た大豆をむしろの上に載せる温度の微妙な違いで、麹になるか、糸引き納豆になるかが決まっており、それは作り手の判断に委ねられていたのだろう。つまり、大陸から糸引き納豆が渡来してくる必要はなく、醤油・味噌造りが行われていた奈良時代には、同時に糸引き納豆も作っていたはずだ、と小泉教授は確信している。

※「豉」は「豆」+「支」

参考文献:小泉武夫『納豆の快楽』(講談社文庫)

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『あかね空』の豆腐、再び

第126回直木賞を受賞した山本一力の時代小説『あかね空』は、宝暦12(1762)年8月、主人公・永吉が江戸の深川蛤町へ越して来る場面から書き起こされる。京都に生まれ、京都の豆腐屋「平野屋」で修業した永吉を主人公に据えたことで、京と江戸との味覚・食文化の違いがくっきりと浮かび上がる。作品に表れた京豆腐と江戸前の豆腐との違いについては前回触れたが、当時の豆腐の価格はどうだったのか?

永吉は不慣れな土地に新しく店を出すことから、同業者の市場マーケティングに勤しむ。朝から小鍋を手にして、深川界隈の豆腐屋を10軒ばかり見て歩く。「もっとも高かったのは三好町の表通りに店を構えた平田屋で、四半丁が十二文。安かったのは、仙台堀近くの路地で見つけた一間間口の豆腐屋で、四半丁が七文で買えた

作品の時代設定に近い明和年間(1674〜1671年)の相場を見ると、金1両=銀60匁=銭5貫文となる。江戸時代の通貨の交換レートは、幕府の公定レートがあったとはいえ、実際には相場が動き、交換レートも変動した。銭1貫文=1,000文で、本来、江戸時代中期まで1両=4貫文だったが、その後、5貫文、6貫文、10貫文と銭の価値は下落し、『あかね空』に描かれた頃だと、1両=5貫文。現代の貨幣に換算すると、大まかに1両は8万円から10万円に相当する。仮に1両を約10万円(1文=20円)との想定の下、推計してみる。

平田屋の豆腐1丁は、12(文)×4×20=960円。深町界隈で最高値とはいえ、かなり高額である。最安値の豆腐屋ですら、7(文)×4×20=560円となる。さて、永吉の開業する「京や」の豆腐は「十文で行きます」と言うので、1丁200円。これは現代でも通用する小売価格のように思われる。

そこで思い起こされるのが、永吉の発見した京と江戸との豆腐の大きさの違いだ。「平野屋のは江戸のよりずっと小さいんですわ。言うてみれば、こっちの四半丁が、わての一丁ですよって」との述懐もある。江戸前豆腐の四半丁の価格を1丁当たりの価格と見なせば、140〜240円の幅に収まる。(フィクションながらも)江戸前の豆腐は、現代の豆腐の標準的なサイズよりかなり大きかったのではないかと想像される。

参考文献:山本一力『あかね空』(文春文庫)中江克己『お江戸の意外な「モノ」の値段』(PHP文庫)

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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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