工業統計「品目編」に見るこんにゃく粉

経済産業省が実施している工業統計調査は、わが国の工業の実態を明らかにし、産業政策・中小企業政策など、国や都道府県など地方公共団体の行政施策のための基礎資料となるものだが、この調査結果のうち「品目編」を見ると、こんにゃく粉を産出している事業所の概要を把握できる。

現時点で最新の調査結果は平成18(2006)年のもので、対象は従業者4人以上の事業所。なお、こんにゃく粉の製造は「産業別」において「その他の精穀・製粉業」に一括されているため、「こんにゃく(粉)製造業」としての数値は公表されていない。

こんにゃく1_200812

2006年のこんにゃく粉の産出事業所数(従業者4人以上)は35。2002年以降、最も少ない。出荷数量は約6,423トン、出荷金額は約129億円。都道府県別に見ると、やはりこんにゃく芋の主産県である群馬と茨城に産出事業所の大半が集中している。群馬は22事業所で、出荷数量が約4,776t、出荷金額が約94億円。茨城は4事業所で、約251t、約5億円となっている。

こんにゃく2_200812

従業者規模別では4〜9人の事業所が最も多く、100人以上の従業者がいる事業所はない。

こんにゃく3_200812
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万太郎と湯豆腐

久保田万太郎は小説家、劇作家、俳人、演出家と多方面で活躍した文学者である。元NHK文芸課長でもあった。万太郎は明治12(1869)年、浅草の袋物製造職人の子として生まれ、幼いころから豆腐に親しむ環境にあった。

豆腐が第一の好物で、次に油揚げの焙烙焼きを好んだ。洋食では豚カツとカレー。脂っこいものではウナギ。下町商人の総菜のたぐいが好きだった。「湯豆腐」と名付けた小唄を作り、その歌詞には「身の冬の とゞのつまりは 湯豆腐の あはれ火かげん うきかげん 月はかくれて雨となり 雨また雪となりしかな しよせん この世は ひとりなり 泣くもわらふも 泣くもわらふもひとりなり」とある。

また「湯豆腐や持薬の酒の一二杯」(昭和27年)、「湯豆腐のまだ煮えてこぬはなしかな」(昭和28年)、「湯豆腐やまたあく雪の腰障子」(昭和28年)など、湯豆腐を詠んだ秀句も多い。

強調文万太郎自身は「俳句は自分にとって余技にすぎない」と語り、何より小説を一番に、次に戯曲を重視していたが、彼の小説は友人の芥川龍之介ほどには評価されなかった。万太郎が著したのは人情大衆小説だった。小説が時流に乗り、市村座や新派・新富座の演出を手掛けるようになり、戯曲が歌舞伎座で上演されるに至り、昭和32(1957)年には文化勲章まで受章している。

万太郎の小説や戯曲は通俗的であるとして、現代の日本文学史から顧みられることは少ないのだが、皮肉にも本人が軽んじた俳句については、正直な心情の吐露や肩肘張らぬ哀愁などを表している点で、現在でも評価が高い。万太郎の湯豆腐の句で、最も人口に膾炙しているものは、昭和37(1962)年、同棲する愛人の三隅一子が死んだ通夜の追悼句であろう。

湯豆腐や いのちのはての うすあかり

万太郎73歳の作である。万太郎の本妻・きみは当時まだ40歳代で、湯島の本宅に控えていたが、万太郎は60歳代の一子と赤坂に居を構えていた。翌昭和38(1963)年、赤貝の握りを注文した万太郎は食餌誤嚥による気管閉窒息で命を落とした。流行作家で「演劇界のボス」とも呼ばれた万太郎だが、家庭的には恵まれなかったといわれる。享年74歳。

参考文献:嵐山光三郎『文人暴食』(新潮文庫)

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納豆菌ファージ

食品製造において安全性が強く求められている昨今、微生物の制御や異物混入防止の対策が欠かせない。特に納豆の製造にあっては、発酵工程における納豆菌の繁殖の適温が食中毒菌や有害菌と同程度の温度であるため、各工程の衛生管理が疎かになると有害菌などが増殖し、食中毒や異常発酵の発生する可能性が高まる。

納豆の製造上、問題になる微生物には、(1)納豆菌ファージⅠ〜Ⅳ型などのウイルス(2)好気性芽胞形成菌(3)クロストリジム属(Clostridium)や乳酸桿菌(Lactobacillus plantarum)などの嫌気性芽胞形成菌(4)リゾープス属(Rhizopus)やペニシリウム属(Penicillium)などの糸状菌——が挙げられる。ウイルスの加熱死滅温度は65℃で10分以上、好気性芽胞形成菌および嫌気性芽胞形成菌が121℃で15分以上、糸状菌が80℃で10分以上とされている。

いずれの微生物も納豆の品質に悪影響を及ぼすが、中でも注意を要するのが納豆菌に寄生する納豆菌ファージ(バクテリオファージ)である。この納豆菌の天敵は土壌中に生息するほか、空中に単独で、またほこりなどに付着して多少浮遊している。工場内においては、排水溝、床、壁、天井などの湿った場所に生息している。

納豆菌ファージに寄生された納豆の状態は、正常品の外観と同様。ただし、納豆をかき回した時、糸切れが発生する。また納豆菌ファージによる汚染が著しい場合、納豆菌の生育そのものが阻害されてしまう。さらに納豆菌ファージが活動を終えた後に、他の雑菌が繁殖してしまうこともある。

納豆菌ファージはアルコール、次亜塩素酸ソーダ、逆性石けんなどで殺菌が可能なため、日頃の清掃、衛生管理が十分であれば心配はない。一般に、雑菌の混入を防止するための措置が十分であれば、納豆菌ファージが混入する機会も極めて制限され得るはずである。しかし、製造に失敗した納豆や返品された納豆などを焼却せずに放置した場合、納豆菌ファージの好餌となり、大量発生して生産に壊滅的打撃を与えることにもなりかねないので、最大限の注意を要する。

参考文献:渡辺杉夫『食品加工シリーズ(5) 納豆 原料大豆の選び方から販売戦略まで』(農山漁村文化協会)

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黒大豆ジュース

黒大豆のジュース(煮汁)には、血圧を低下させる作用があると言われている。黒大豆の煮汁を作るには、まず丹波黒を約50グラム用意して、大豆に付いた土やほこりをさっと流す程度に洗う。洗った大豆を適当量の水に5〜12時間浸す。水に黒大豆の成分が溶け出し、黒い浸漬液になる。さらに水を加えて1.0〜1.5リットルにした浸漬液を浸した大豆ごと鍋に入れて、20〜30分間煮出す。ぐらぐらと沸騰したら、吹きこぼれないように火力を弱める。煮出し汁は濾し器やふきんで濾して、大豆と煮汁に分ければ、出来上がり。

大豆の煮汁は養分が多いため腐敗しやすい。よく冷ましてから冷蔵庫で保管する。大体2日程度は保存可能だが、大量の作り置きは避けた方が無難である。血圧低下用としては、煮出す時間は5〜8分の短時間でよい。心筋梗塞予防の場合も、血圧低下用と同じく煮出すのは短時間でよい。この煮汁をお茶代わりに、1日2〜3回(1回につき、湯飲み1杯=180cc程度)飲用すれば、血圧低下の効能が期待できるという。さらに温かい煮汁の状態で空腹時に飲用すると、より吸収性が高く、効果的である。また残った大豆は、煮豆にして食べられる。煮豆に飽きたら、納豆、豆乳、豆腐などにもできる。

兵庫県篠山市の農事組合法人、西紀町ビーンズサワー生産組合では、丹波産黒大豆の煮汁にクエン酸を加えて「ビーンズサワー」という商品名で販売している。5分ほど煮出した煮汁にクエン酸を加えると、黒い煮汁がきれいなピンク色に変わる。レモンなど柑橘類の搾り汁をほんの少し加えるとよい。「ビーンズサワー」はグラニュー糖も加えているので、ほんのり甘いのど越し。黒大豆の煮汁にはのどを癒やす効果もあると期待されていることから、空気が乾燥して、のども荒れがちになる冬場には最適の飲み物と言えよう。

参考文献:松山善之助、山下道弘、矢ケ崎和弘、佐藤久泰『黒ダイズ ― 機能性と品種選びから加工販売まで ― 』(農山漁村文化協会)

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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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