こんにゃく芋の輸入量
農林水産省大臣官房統計部が2月22日に公表した「2010年産こんにゃく芋の栽培・収穫面積および収穫量」において、こんにゃく芋の輸入量の推移が関連データとして掲出されている。2010年のこんにゃく芋の輸入量は467.1トン。同じ資料、財務省『貿易統計』に基づいて、こんにゃく芋の輸入量の推移を棒グラフに示した。

輸入量については荒粉、精粉のものが中心だが、2006年からの5か年の推移だけでも、こんにゃく芋の輸入量が年々増加していることがわかる。『貿易統計』から2010年の輸入量の内訳を探ると、ミャンマーが379.5トン、中国が46.3トン、インドネシアが16.0トンである。その他の輸入国にはラオス、バングラデシュなどが含まれる。
ここで『貿易統計』の実行関税率表(輸入統計品目表)を見てみる。最新の2011年4月版では、こんにゃく芋の統計番号は「121299110」と「121299190」である。「121299110」は植物性生産品のうち、切り、乾燥し、または粉状にしてあるかどうかを問わない(アモルフォファルスな)こんにゃく芋。かつ、267トン(政令で定めたところによる荒粉換算数量)を基準とし、当該年度における国内需要見込み数量から国内生産見込み数量を控除した数量、国際市況その他の条件を勘案して政令で定める数量以内のものである。
一方の統計番号「121299190」は、先に定めた数量を超えた場合に該当する。平たく言えば、セーフガード(緊急関税)の発動となるが、「121299110」が暫定税率40%であるのに対して、「121299190」はWTO協定の関税が1キログラム当たり2,796円と定められている。ちなみに2011年度のこんにゃく芋の輸入基準数量は489トン。

輸入量については荒粉、精粉のものが中心だが、2006年からの5か年の推移だけでも、こんにゃく芋の輸入量が年々増加していることがわかる。『貿易統計』から2010年の輸入量の内訳を探ると、ミャンマーが379.5トン、中国が46.3トン、インドネシアが16.0トンである。その他の輸入国にはラオス、バングラデシュなどが含まれる。
ここで『貿易統計』の実行関税率表(輸入統計品目表)を見てみる。最新の2011年4月版では、こんにゃく芋の統計番号は「121299110」と「121299190」である。「121299110」は植物性生産品のうち、切り、乾燥し、または粉状にしてあるかどうかを問わない(アモルフォファルスな)こんにゃく芋。かつ、267トン(政令で定めたところによる荒粉換算数量)を基準とし、当該年度における国内需要見込み数量から国内生産見込み数量を控除した数量、国際市況その他の条件を勘案して政令で定める数量以内のものである。
一方の統計番号「121299190」は、先に定めた数量を超えた場合に該当する。平たく言えば、セーフガード(緊急関税)の発動となるが、「121299110」が暫定税率40%であるのに対して、「121299190」はWTO協定の関税が1キログラム当たり2,796円と定められている。ちなみに2011年度のこんにゃく芋の輸入基準数量は489トン。
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包材の表示はどうする?
東日本大震災に対して国を挙げての復旧・復興運動が続く中、納豆業界では、フィルムなどの資材不足が問題となっている。JAS法により、納豆は一括表示の原材料欄に添付のたれやからしの原料情報の記載が義務付けられているため、たれやからしの原材料が変わる場合、フィルム交換が必要とされるからである。
震災地域への食料の円滑な供給を進めるに当たって、被災地域に相当量を供給している加工食品については、当分の間、JAS法の取り締まりの対象としない通知(3月29日付)を消費者庁、農林水産省が行った。ただし、やむを得ない理由で原材料を緊急に変更せざるを得ない加工食品であっても、「一括表示欄の原材料の記載順違いなど、消費者の誤認を招かない軽微な違い」であり、かつ「製品に近接したPOPや掲示により、本来表示すべき内容を商品選択の際に消費者が知ることができるようにしているもの」との限定がある。
翻って見ると、農林水産省が2006年8月に公表した「加工食品品質表示基準Q&A(第1集)」の問51「納豆等に添付するたれやからしの内容量は表示しなくてもよいですか」への回答では、「小袋の調味料等はその商品の中では一般に付随的なものと考えられることから、これまでもその内容量の表示が義務付けられていませんでしたので、本加工食品品質表示基準でもその内容量の表示は省略しても差し支えないと考えます」と示されていた。
また2009年8月に一部改正された「加工食品品質表示基準改正に関するQ&A」の問50「複数の加工食品を組み合わせた製品の原材料の記載方法を教えてください」において、その回答では「原材料名から当該食品の特性を消費者が適切に読みとれるように配慮すること」が重要視され、「構成要素ごとに分割し、メインとなる構成要素から順にタイトルを付した上で、それぞれ重量割合の多い順に原材料を記載すること」が望まれている。その表示の具体例として「納豆+添付たれ+添付からし」から成る納豆製品も挙げられていた。

今回の消費者庁、農林水産省の通知は、この原材料名そのものに変更がなく、重量割合の多い順番が変わった程度ならば、その旨を製品近くに置いたPOPなどで明示すればよいという一時的な措置である。
震災地域への食料の円滑な供給を進めるに当たって、被災地域に相当量を供給している加工食品については、当分の間、JAS法の取り締まりの対象としない通知(3月29日付)を消費者庁、農林水産省が行った。ただし、やむを得ない理由で原材料を緊急に変更せざるを得ない加工食品であっても、「一括表示欄の原材料の記載順違いなど、消費者の誤認を招かない軽微な違い」であり、かつ「製品に近接したPOPや掲示により、本来表示すべき内容を商品選択の際に消費者が知ることができるようにしているもの」との限定がある。
翻って見ると、農林水産省が2006年8月に公表した「加工食品品質表示基準Q&A(第1集)」の問51「納豆等に添付するたれやからしの内容量は表示しなくてもよいですか」への回答では、「小袋の調味料等はその商品の中では一般に付随的なものと考えられることから、これまでもその内容量の表示が義務付けられていませんでしたので、本加工食品品質表示基準でもその内容量の表示は省略しても差し支えないと考えます」と示されていた。
また2009年8月に一部改正された「加工食品品質表示基準改正に関するQ&A」の問50「複数の加工食品を組み合わせた製品の原材料の記載方法を教えてください」において、その回答では「原材料名から当該食品の特性を消費者が適切に読みとれるように配慮すること」が重要視され、「構成要素ごとに分割し、メインとなる構成要素から順にタイトルを付した上で、それぞれ重量割合の多い順に原材料を記載すること」が望まれている。その表示の具体例として「納豆+添付たれ+添付からし」から成る納豆製品も挙げられていた。

今回の消費者庁、農林水産省の通知は、この原材料名そのものに変更がなく、重量割合の多い順番が変わった程度ならば、その旨を製品近くに置いたPOPなどで明示すればよいという一時的な措置である。
おでん内おでん
豆腐について考えると、いつの間にか田楽について考えていることがしばしばある。本当だ。「お豆腐ランド」の中で田楽を検索してみても結構な数がヒットする。豆腐ネタに思いあぐねていると、不思議と田楽ネタにぶち当たるのである。豆腐と田楽とは切っても切り離せない関係なのか。
繰り返し説かれていることだが、田楽とは、名は体を表すとおり、田植えに舞う豊作祈願の農村芸能で、「高足」という1本の竹馬(あるいはポゴ・スティック)に似た棒につかまり、ホッピングして踊った。その様を見れば人が串刺しになっているように見えたので、串刺しのことを田楽刺しとしゃれた訳だ。
上方落語で、武士に対して町人が切る啖呵に「二本差しが怖くて、田楽が食えるか」というものをよく聞く。「二本差し」とは、腰に大小2本の刀を差していた武士のことをいう。逆にこのことから、上方の豆腐田楽は、2本の串を刺していたのだなと想像される訳だ。実際、先の割れた細い竹串を2本刺していたことが『守貞謾稿』などからもわかる。江戸の田楽は平たい竹串を1本しか刺しておらず、江戸と上方の間、東海道の辺りでは根元が1本で先が2本に分かれているY字形の串が使われていたともいう。
田楽の女房言葉から「おでん」が生まれたのだが、厳密には田楽=おでんとはならないだろう。調理法が異なるからだ。田楽は香ばしい焼き目を付けるのが必須条件で、おでんの方は湯の中で煮るものとされる。焼くか/煮るかの違いが問われる。そこで思い出されるのが、こんにゃくの田楽。こんにゃくのアレは、湯炊きしたものに味噌だれをかけたものなので、こんにゃくの(味噌)おでんだ。細かい人はそう指摘するだろう。
そうして、また、おでんのことでつらつら思い返すのだけれど、具材に豆腐が入っているものは「おでんの豆腐」とシンプルに呼べば済むだろうけど、焼き豆腐がぐつぐつと鍋の中で煮えているおでんの店もあるではないか。焼き豆腐なのだから当然、焼き目も元々入っている。あれは一体、おでんの豆腐なのか、それともおでんの田楽なのか? そもそも、おでんが田楽から派生した言葉なのだから……などと頭の中まで、ぐらぐらと煮えたぎってくるようなのである。
参考文献:杉浦日向子『大江戸美味草紙』(新潮文庫)
繰り返し説かれていることだが、田楽とは、名は体を表すとおり、田植えに舞う豊作祈願の農村芸能で、「高足」という1本の竹馬(あるいはポゴ・スティック)に似た棒につかまり、ホッピングして踊った。その様を見れば人が串刺しになっているように見えたので、串刺しのことを田楽刺しとしゃれた訳だ。

上方落語で、武士に対して町人が切る啖呵に「二本差しが怖くて、田楽が食えるか」というものをよく聞く。「二本差し」とは、腰に大小2本の刀を差していた武士のことをいう。逆にこのことから、上方の豆腐田楽は、2本の串を刺していたのだなと想像される訳だ。実際、先の割れた細い竹串を2本刺していたことが『守貞謾稿』などからもわかる。江戸の田楽は平たい竹串を1本しか刺しておらず、江戸と上方の間、東海道の辺りでは根元が1本で先が2本に分かれているY字形の串が使われていたともいう。
田楽の女房言葉から「おでん」が生まれたのだが、厳密には田楽=おでんとはならないだろう。調理法が異なるからだ。田楽は香ばしい焼き目を付けるのが必須条件で、おでんの方は湯の中で煮るものとされる。焼くか/煮るかの違いが問われる。そこで思い出されるのが、こんにゃくの田楽。こんにゃくのアレは、湯炊きしたものに味噌だれをかけたものなので、こんにゃくの(味噌)おでんだ。細かい人はそう指摘するだろう。
そうして、また、おでんのことでつらつら思い返すのだけれど、具材に豆腐が入っているものは「おでんの豆腐」とシンプルに呼べば済むだろうけど、焼き豆腐がぐつぐつと鍋の中で煮えているおでんの店もあるではないか。焼き豆腐なのだから当然、焼き目も元々入っている。あれは一体、おでんの豆腐なのか、それともおでんの田楽なのか? そもそも、おでんが田楽から派生した言葉なのだから……などと頭の中まで、ぐらぐらと煮えたぎってくるようなのである。
参考文献:杉浦日向子『大江戸美味草紙』(新潮文庫)
根粒菌=リゾビウム
当たり前だと受け取っていたものが傷つけられ、損なわれてしまうことで、改めてその大切さを思い知る。例えば、土。土の中には多くの動物や植物、微生物が生きていて、それぞれの流儀で、土に働きかけている。代表的な微生物が細菌と糸状菌であり、主に土の粒子と粒子の間の孔隙や粒子の表面に生息している。
細菌は一般的に土壌細菌と呼ばれるもので、極めて多種多様だ。水田の土1グラム中に存在する細菌の数は、数十億ともいわれ、中には様々な従属栄養細菌、光合成細菌、化学合成細菌が含まれる。地表近くに好気性細菌、下層に嫌気性細菌が多く生息している。
細菌は有機物を分解するだけでなく、新たに有機物を合成したり、空気中の窒素を固定したりする。生物の体をつくるたんぱく質やDNAのような核酸においても、窒素は重要な構成要素だが、植物も生育のために窒素を必要とする。しかし、空気中に含まれる分子状の窒素をそのまま取り込んで、利用することができない。植物が窒素を利用するには、窒素固定細菌によってアンモニアに還元するか、さらに硝化細菌によってアンモニアを亜硝酸や硝酸へと酸化しなければならない。
窒素固定細菌は、分子状の窒素をアンモニアに還元するニトロゲナーゼという酵素を備えている。ニトロゲナーゼは、エネルギー物質・ATP(アデノシン三リン酸)と、電子を受け取るフェドレキシンのような物質の存在する状況下で、窒素還元反応を触媒する。窒素固定細菌の一種、リゾビウムこそ、大豆などマメ科植物の根に共生する「根粒菌」の別名。マメ科植物の根にリゾビウムが侵入してできるこぶ状の構造が根粒なのだ。直径数ミリメートルの根粒の中に、60万〜100万のリゾビウムがバクテロイドという集合体を形成している。根粒内には、哺乳類のヘモグロビンに似たレグヘモグロビンという物質が含まれ、これが酸素を吸収し、ニトロゲナーゼが働きやすい還元状態をつくる。
根粒菌は、このような窒素固定や硝化作用を通して、地球上の大気、海洋、陸地の間の窒素循環において重要な役割を果たしている。例えば、ダイコン、ジャガイモ、小麦などで見られる連作障害を防ぐため、大豆やクローバーなどのマメ科植物を連作に加えることが有効なのは、土の中の窒素分を自然に増やし、生産性をさらに高めるからである。
参考文献:都留信也『土のある惑星』(岩波書店)
細菌は一般的に土壌細菌と呼ばれるもので、極めて多種多様だ。水田の土1グラム中に存在する細菌の数は、数十億ともいわれ、中には様々な従属栄養細菌、光合成細菌、化学合成細菌が含まれる。地表近くに好気性細菌、下層に嫌気性細菌が多く生息している。
細菌は有機物を分解するだけでなく、新たに有機物を合成したり、空気中の窒素を固定したりする。生物の体をつくるたんぱく質やDNAのような核酸においても、窒素は重要な構成要素だが、植物も生育のために窒素を必要とする。しかし、空気中に含まれる分子状の窒素をそのまま取り込んで、利用することができない。植物が窒素を利用するには、窒素固定細菌によってアンモニアに還元するか、さらに硝化細菌によってアンモニアを亜硝酸や硝酸へと酸化しなければならない。
窒素固定細菌は、分子状の窒素をアンモニアに還元するニトロゲナーゼという酵素を備えている。ニトロゲナーゼは、エネルギー物質・ATP(アデノシン三リン酸)と、電子を受け取るフェドレキシンのような物質の存在する状況下で、窒素還元反応を触媒する。窒素固定細菌の一種、リゾビウムこそ、大豆などマメ科植物の根に共生する「根粒菌」の別名。マメ科植物の根にリゾビウムが侵入してできるこぶ状の構造が根粒なのだ。直径数ミリメートルの根粒の中に、60万〜100万のリゾビウムがバクテロイドという集合体を形成している。根粒内には、哺乳類のヘモグロビンに似たレグヘモグロビンという物質が含まれ、これが酸素を吸収し、ニトロゲナーゼが働きやすい還元状態をつくる。
根粒菌は、このような窒素固定や硝化作用を通して、地球上の大気、海洋、陸地の間の窒素循環において重要な役割を果たしている。例えば、ダイコン、ジャガイモ、小麦などで見られる連作障害を防ぐため、大豆やクローバーなどのマメ科植物を連作に加えることが有効なのは、土の中の窒素分を自然に増やし、生産性をさらに高めるからである。
参考文献:都留信也『土のある惑星』(岩波書店)