ゆるキャラ「にゃくっち」

「ゆるキャラ」という存在も定着して、随分と久しい。「ゆるいマスコット・キャラクター」を略しただけのようでいて、実は「ゆるキャラ」という言葉自体、みうらじゅんと扶桑社によって2004年11月26日に商標登録(第4821202号)されていたりする。

提唱者のみうらじゅんによれば、「ゆるキャラ」として認められるための条件に3つある。すなわち、(1)郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること。(2)立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること。(3)愛すべき、ゆるさを持ち合わせていること――である。さらに、「原則として着ぐるみ化されていること」も条件に挙げられてはいるけれど。

諸兄も、こんにゃくを使ったゆるキャラといえば、すぐさま思い当たる節があるだろう。例えば、(財)日本こんにゃく協会の「こんにゃ君」など。だが、今回取り上げるキャラはまた別口。こんにゃく芋の生産地として有数の群馬 ・ 下仁田町が、平成13年(2001)に「こんにゃくの町下仁田」をPRするため、同町内の小中学生からアイデアを募り、誕生したキャラクター「にゃくっち」を紹介しよう。下仁田こんにゃく夏祭り実行委員会および下仁田町蒟蒻消費拡大推進協議会に所属している。

こんにゃくをモチーフにした明るくかわいい、というキャラ設定は、男の子のビジュアル・イメージ。胴体は板こんにゃくから成り、ベレー帽めいたキャップはよくよく見るとこんにゃく芋の形状になっている。キャップの徽章の位置に下仁田町の「下」の1字。所属からもわかるように、にゃくっちは夏祭りを応援する。今年(2012年8月14日)、同町こんにゃく広場などを会場に開催された「第41回下仁田こんにゃく夏祭り」では、にゃくっちを乗せた神輿も繰り出されていた。こんにゃく広場での催しとして、こんにゃく手作り体験も行われたという。

なお、2011年の下仁田町のこんにゃく芋の作付面積は5,071アール、収穫量は1万5,213トンだった。
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「陶然亭」の納豆餅

中国文学史の碩学、青木正児(1887〜1964年)の食にまつわるエッセーのひとつ「陶然亭」は、酒肴を愛する者ならば一個のユートピアといった観を呈する、好事な飲食店を描いた佳篇。書き出しの「読者諸君の中には、あの家を御存じの方も少なくなかろう」とのフラットな語り出し、戦後の荒廃の中に戦前在った良店をノスタルジックに思い起こす末尾といい、一人称の短編小説として読めなくもない。谷崎潤一郎や吉田健一らの残した美食小説の系譜に連ねてもよさそうな塩梅だ。

この世に存在したはずなのに、幻のように理想化された「陶然亭」のメーン料理は湯豆腐だったりするのだが、それについては別稿「『陶然亭』の湯豆腐(1)」「同(2)」に譲るとして、ここでは納豆餅を取り上げよう。

陶然亭では、飯の代用に餅を供することがあり、さらには茶菓子まで備えていた。これに対して、下戸は驚き、中戸は半可通とそしりこそすれ、青木正児は「上戸の心下戸知らぬ耳食の浅見である」と喝破する。確かに現代でも、酒好きは辛党と称され、甘党と対比される場面も多いが、現実の酒呑みは甘かろうが辛かろうが、美味しければ何でも喰らうものである。

そもそも餅は芽出度い食品で、正月餅を始め各種の祭礼慶事の祝餅として邦人の生活に深く根ざしており、日本人の腹の力を養うにはこの上もなく耐久力のある穀食である。この国粋的にして芽出度き食品を厭う酒徒のあろうはずはなく

と青木先生も太鼓判を押していた。その「生餅でも調理法次第で酒肴の一に加えてかえって興趣を添える」ものとして、今宮名物「あぶり餅」、おろし餅、海苔巻餅、油揚餅、塩辛餅と並んで、納豆餅が挙げられている。

餅を搗く際糸引納豆と塩とを入れて搗きまぜるのだとも聞くが、そうしなくとも納豆を芥子と醤油とで味をしておいて、焼餅に付けて食べても至極結構である

という。

酒中の微弱なる甘味をさえ甘露の如く愛好する酒徒の舌は、その甘味を甘受する才能においては、甘味に馴れた甘党の舌よりもむしろ敏感であり、酒味よりも強度の甘味を受け容るる性能と用意とは十分持っている

との確言も頼もしいばかりではないか。

参考文献:青木正児『華国風味』(岩波文庫)

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「陶然亭」の湯豆腐(1)

中国文学史の泰斗、青木正児(1887〜1964年)が、その該博な知識と実体験を織り交ぜてしたためたエッセーのひとつに「陶然亭」がある。高台寺××町の北側に位置したという店について、あれこれ思い出されることが書き連ねられる。「物価の安いあの頃でも、あの家くらい下値で気持よく飲ませてくれる家は多くなかったであろう」と言われ、「あの家の亭主は支那浪人上りで多少文字もあり、趣味を解し、好事で凝り性で、呑気で鷹揚で、寡欲恬淡で、何よりも好いことは酒の味が分り、酒人の気持を呑込んで、少しでも客に酒を旨く飲ませようと力むる親切気のあった」とあれば、飲食を愛する者ならば、ぜひとも足を運びたくなる理想の店に見えてくる。

しかも、この「陶然亭」の冠木門脇の建仁寺垣の中から覗く細長い小旗に記されている文句が「湯豆腐ちり鍋蓬萊鍋」とあっては、豆腐好きも見て見ぬふりはできまい。建物自体は、素朴な変哲もない二階家なのだが、破風造りの小屋根を持った入り口が半間ほど突き出し、酒袋の古布で作った暖簾が垂れる。破風の中間に掲げられたケヤキの板額に「陶然亭」と刻まれてある。暖簾をくぐって、土間を越えた辺りの鴨居に懸かった扁額に見出されるのは、蔭軒外史の達筆な大書「淮南遺法」だ。「淮南」とは明らかに、「豆腐を発明した」といわれる漢の淮南王・劉安のことだろう(2012年1月「豆腐の発祥を見直す」参照)。つまり伝説的な豆腐の創始者、淮南王の残した秘法を受け継ぐと言わんばかりに、「ここの料理の呼び物が湯豆腐・ちり鍋にあることを標榜」している訳である。

酒客がこの店に来遊して着席すると、給仕娘が一枚刷りの「陶然亭酒肴目録」を呈示する。まずは「御銚子」の中から酒の銘柄を選び出し、ちびちびと始めるための「御撮肴(おつまみ)」を見繕う。一言でおつまみと言っても、シンプルながら膨大な数が用意されていて、大豆関連に絞ってかいつまんでみても、醤油炒大豆、油炒黒豆、豆腐田楽、軟煮大豆、軟煮黒豆、坐禅豆(2012年1月「座禅大豆」参照)、大徳寺納豆、浜名納豆、糸引納豆、醤豆腐(豆腐味噌漬)、嘗味噌類……と続く様は壮観だ。ちなみに醤豆腐とは、別のエッセー「〓菜譜」によると、「表面は赤褐色で腐爛したようになっているが、中は灰白色で、ちょうど軟製チーズを今少し軟らかにした加減に固まっている」とされる。

※「〓」は「酉」+「奄」

参考文献:青木正児『華国風味』(岩波文庫)

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丹波の「京夏ずきん」

「丹波黒大豆」から生まれた“京のブランド産品”、「紫ずきん」は黒大豆の枝豆。秋の味覚を代表する京野菜として人気だが、その出荷期間(9月中旬〜10月下旬)より1か月も早く、8月中旬から出荷できる夏採りの黒大豆が、新品種として育成されている。京都府農林水産技術センター(亀岡市)が品種改良を行い、2011年度から本格出荷を始めた「京夏ずきん」がそれだ。

この新品種、京夏ずきんは紫ずきんを親に品種改良を進め、優良系統を選抜しただけあって、紫ずきん並みの大粒で、甘みとコクの強い良食味が特徴。商品名の「京夏ずきん」は、京都の夏をイメージさせるとともに、親の「紫ずきん」との一体的な需要を喚起させるネーミングとして、京都府知事が命名した。全国農業協同組合連合会(京都府本部)で商標登録の方も出願済み。主な栽培地域は南丹、中丹、丹後管内。今年は府北部・中部の計10ヘクタールで栽培され、8月下旬までに約40トンが出荷された模様。8月7日に京都市中央卸売市場で初競りが行われ、一部は大阪や東京の市場でも流通している。

ビールの消費が増える8月に販売できる枝豆は小粒のものが大半だったことから、8月に収穫できる黒大豆系の枝豆の開発を――という経緯で誕生した京夏ずきん。だが元々、その親となる紫ずきんもまた、収穫時期を早める意図から育成された新品種だった。従来、冬場に使用されることの多かった丹波黒大豆を秋口の枝豆として消費拡大しようと、収穫時期を9月〜10月下旬に早めた新品種なのだから。出荷が開始されたのは1996年から。それに加えて新たな京のブランド産品、京夏ずきんの投入により、夏から秋にかけてずっと、黒大豆枝豆を楽しめることになった形。

京夏ずきんに引き続き、今年も紫ずきんの販売が9月7日から始まる。「京野菜コーナー」を設けるなど、ブランド京野菜をはじめ、京都の野菜を豊富に品ぞろえした「ほんまもん京野菜取扱店」を中心に、京都府内外40店舗以上で販売予定。市場での競り売りは9月下旬から。なお、今年の紫ずきんの栽培面積は58ヘクタール。出荷量は昨年(183トン)を上回る220トンが見込まれている。

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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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