山形・上山市のクアオルト弁当

玉こんにゃくや芋煮会などで、日頃からこんにゃくに親しみ、家計支出調査を見ても、その支出金額で毎年トップに立つ山形。東北の二大街道のひとつ、羽州街道の宿場町、楢下宿(現・上山市)では楢の木と豊富な水に恵まれ、こんにゃく作りの生産が江戸時代から行われてきた。楢の木はその炭の灰を用いた灰汁が凝固剤に使用され、名人は現在も楢の灰汁を入れるという。そんな由緒ある土地に本社を構える「丹野こんにゃく」(丹野益夫社長、本社=上山市楢下)が、こんにゃくのオリジナル料理を詰め合わせた弁当を開発。4月4日に試食会が開催された。

お披露目された低カロリー弁当は、上山市が滞在型健康保養地づくりの一環で実施しているクアオルト事業との連携。「クアオルト」とはドイツ語で「健康保養地」の意。健康保養地にふさわしい健康食から成る弁当を――との依頼に、既にこんにゃくを素材にした懐石料理や刺し身、スイーツなどユニークな商品を展開していた丹野こんにゃくが応えた形。これには、こんにゃくに昆布のうま味を染み込ませた昆布締め、ハムをイメージしたこんにゃく、米とこんにゃくを混ぜ合わせたおにぎりなどを詰め合わせている。クアオルト弁当は3種類。「こんにゃく懐石弁当」(約500キロカロリー)、「こんにゃくおにぎり弁当」(約450キロカロリー)、「楢下里の味弁当」(約220キロカロリー)が考案された。こんにゃく以外の食材も基本的に山形県産と、こだわりを示す。

試食会は、同社が経営し、こんにゃく懐石料理など飲食を提供する「こんにゃく番所」内の喫茶室リニューアル・オープンに合わせて開催。懐石弁当を中心に振る舞われた。クアオルト弁当は、上山市や同市観光物産協会が主催するウオーキング・イベントの参加者の昼食などに限って提供される予定。「歩いて入浴した後、こんにゃく弁当を食べ、体の中もきれいにしてほしい」と、里山や温泉の地域資源を生かすクアオルトの魅力向上につながることが期待されている。

丹野こんにゃくは昭和初期の創業、昭和52年(1977)に会社設立。人・水・楢炭の3つのこだわりの下、こんにゃくの生産を行っている。本社敷地内に地下二百数十メートルから湧き出る「名水・益栄の水」があるほか、楢下地区に伝統的に伝わる「五六窯」で焼いた白炭(普通の土窯で焼いた黒炭と違い火力が強く、火持ちが長く、また煙が少ない)を使用。地域に息づく伝統食品が、また新たな魅力を打ち出すことで、地域資源をより活性化させていく。
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京北の納豆もち

自分の生まれ育った地域に根差した伝統食品を「ソウル・フード」と呼ぶならば、京都・京北地域の納豆もちもまた立派なソウル・フードであろう。以前、青木正児の記した「陶然亭」で供された納豆餅について触れた(2012年9月「『陶然亭』の納豆餅」参照)。「餅を搗く際糸引納豆と塩とを入れて搗きまぜるのだとも聞くが、そうしなくとも納豆を芥子と醤油とで味をしておいて、焼餅に付けて食べても至極結構である」と、極めて融通の利く製法だった。「京北・納豆フォーラム」などで知られる京北地域の納豆もちは、いかがなものか、ざっくりと調べてみよう。

京北地域は「納豆発祥の地」といわれるだけあって、子守唄の歌詞に納豆が登場するなど、地域全体で古くから納豆に親しんできた。納豆もちの場合、正月三が日に必ず食される物である。「京都新聞」の記事では、「昔の納豆もちは抱えるほどの大きさで、いろりであぶったり、お湯で温めたりして少しずつ食べた」という談話が見られる。洛北地域の歴史・文化に詳しい中村治大阪府立大教授の調査によると、「納豆もちは旧日吉町や旧美山町のほか、京都市左京区の花背や大原などでも食べられ、作り方や味付けがそれぞれ異なる」ともいう。例えば、旧美山町のある地域では、もちを焼いて塩を加え、練った納豆をくるむ。花背では、白もちやとちもち、よもぎもちを練り合わせ、納豆は黒砂糖をまぶす……だが現在、それらの地域では、ほとんど食べられていない。

納豆と塩を加えるタイプの納豆もちのより詳しい製法については、京北町の方がブログを通して紹介している(青木正児の記述と似通うが、こちらの方はつき混ぜない)。その一端を抜き書きしてみると――約6本の藁苞納豆を開け、塩を入れて和える。塩は相当量を入れるそうで、その塩加減が納豆もちの味を左右するから、練達の腕の見せ所である。一方で、もち舟にきな粉を用意。きな粉に砂糖などは混ぜない。そこへ、つきたての餅を投入し、熱いうちにシート状に広げた上に、先ほどの納豆をたっぷりと載せ、伸ばして広げた物を端からロール状に巻いていく。すぐには食べず、正月3日くらいまで待つことで、納豆がもちの中でさらなる発酵を進める。塩も餅に染み込んでいく。年明けに網で焼くと、発酵し切った納豆と塩味の染みこんだもちの焦げた個所などが非常に香ばしく、美味なのだという。

最近では売り物で済ます人も増えていると聞くが、京北の正月には欠かせないソウル・フード、それが納豆もちなのだ。

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Talk About Tofu in English(3)

豆腐について英語で語ろうという試みも、今回で一段落。日本における豆腐の位置付け、豆腐の製法に関する英語での表現を見てきたところで、豆腐の歴史のアウトラインを英語で説明してみよう。

Tofu came to Japan from China in the 8th century. Later, in the 13th century, Buddhist prohibition on meat-eating gave rise to vegetarian cooking, and tofu became an essential ingredient. Monks considered tofu as their primary source of protein and invented many tofu dishes.

「豆腐は、奈良時代に中国から日本に伝わりました」とするのは、奈良・春日大社の神主の日記に「春近唐符一種」との表記が見られることを踏まえて。その後、大胆な英訳を行う。日本文化にまつわる語句を一言一句、直訳したのでは、欧米圏の相手に伝わりづらい。そこで「奈良時代」「鎌倉時代」を思い切って8世紀、13世紀と置き換えた。同様の意図から、「精進料理」も「菜食主義者向けの料理」と意訳している。

In the 18th century, Tofu-Hyakuchin, a book containing 100 tofu recipes was published. It popularized tofu cuisine among the masses.

「江戸時代中期には、100種類の豆腐料理を紹介した『豆腐百珍』が出版されて、庶民の間で大人気となりました」と言いたいが、「江戸時代中期」も18世紀に置換。

Tofu is light in flavour and blends in nicely with other ingredient. Many tofu recipes have been developed over the centuries, and tofu remains a key element of Japanese cuisine today.

まとめに入るが、直訳すると、豆腐は風味においてライトで、他の食材と良く調和する――となる。隠元禅師の「豆腐賛」などを念頭に置いての表現だろう。「cuisine」は「ある地域に特有の料理」で、ここでは「日本料理」に当たる。

参考文献:『トラッドジャパン September, 2012』(NHK出版)

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大豆1俵の生産費

経営安定対策(旧・農業者戸別所得補償制度)では、販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に、その差額を交付。農業経営の安定と国内生産力の確保を図ると同時に、麦・大豆などへの作付け転換を促すため、直接交付金が準備されている。平成25年度は大豆の場合、数量払いとして60キログラム当たり1万1,310円。品質に応じて増減する品質加算もある。面積払いでは前年度の生産面積に基づき、10アール当たり2万円が交付される。これも加算措置として再生利用交付金や直接支払推進事業などが用意される。

常に販売価格を上回ってしまう大豆の生産費を具体的な数字で追ってみよう。農林水産省が実施している「農業経営統計調査」から、直近になる平成23年産(2011)大豆の生産に要した費用(全算入生産費)を見ると、10アール当たり6万2,097円、大豆1俵当たり2万867円となっている。2011年産大豆の平均落札価格は8, 299円(60キログラム)――例年より大幅に上昇していたが、それでも1万3,000円弱の交付金(数量払い)を得られなければ、計算上は生産費すら回収できない内訳になる。

「農業経営統計調査」の中でも「農産物生産費統計」は、コメや小麦、大豆を含む工芸農作物などの生産費の実態を明らかにし、農政(農業者戸別所得補償制度、生産対策、経営改善対策等)の資料を整備することが目的。原料用大豆の生産費について、10アール当たりおよび60キログラム当たりの生産費を2007年から2011年(最新の公表値)まで製表した。農産物生産費統計で、「生産費」とは農産物の一定単位量の生産に消費した経済費用の合計を指す。さらに生産費は下表の(1)〜(3)、3種類に分けられる。

(1)生産費(副産物価額差引)=調査作物の生産に要した費用合計から副産物価額を控除したもの(2)支払利子・地代算入生産費=(1)に支払利子および支払地代を加えたもの(3)資本利子・地代全額算入生産費=(2)に自己資本利子および自作地地代を擬制的に計算して算入した全算入生産費――。

なお2007年産以降の調査結果は、小規模農家の集落営農組織への参加などによる生産構造の変化が反映されている。

大豆201305

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ぽか

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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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