こんにゃく芋の経営統計(2007年)

農林水産省では、農業経営統計調査の一環として「品目別経営統計」を公表している。「野菜生産出荷安定法」(昭和41年法律第103号)および「果樹農業振興特別措置法」(昭和36年法律第15号)の目的である野菜・果樹の生産および出荷の安定と、それを通して農業の健全な発展と国民の消費生活の安定を図っての施策、野菜および果樹作農家などの経営改善などに必要な資料を提供するためで、営農類型「畑作」内の調査品目として、こんにゃく芋も含む。

最新の確報となる平成19年(2007)「品目別経営統計」から、1戸当たりの農業経営の概況および経営収支をにまとめてみた。農業経営の概況を見ると、こんにゃく芋を栽培している農家は、全国平均で1戸の世帯が3.66人(月平均)から成っている。栃木は4.56人、群馬は3.58人。そのうち、1戸当たりの農業経営関与者は全国平均2.16人、栃木2.28人、群馬2.15人。家族農業就業者も若干それを上回る程度。農業固定資産額は、全国平均413万1,000円、栃木で74万5,000円、群馬で441万8,000円である。経営耕地は全国平均290アール、栃木329アール、群馬286アール。これらについては当然、こんにゃく芋以外の作物も関連している。

こんにゃく芋の栽培面積、収穫面積を見ると、群馬の栽培面積(収穫面積)は208アール(140アール)、栃木は85アール(64アール)。群馬の栽培・収穫面積が経営耕地全体の2分の1から3分の2を占めるのに対して、栃木ではおよそ4分の1から5分の1に過ぎない。栃木のこんにゃく芋農家は群馬より多角的な経営を行っていると言えよう。群馬と栃木の栽培・収穫面積の差は、収穫量や販売量において、それ以上の広がりで表れている。1戸当たりのこんにゃく芋の販売量は全国平均で約51トン、栃木が約13トン、群馬が約54トンだった。

こんにゃく芋を栽培する農家1戸当たりの農業経営収支を大まかに見ると、農業粗収益の半分が農業経営費に当たるようだ。農業経営費の内訳には、雇用労賃、肥料、農業薬剤、諸材料、光熱動力、農用自動車、農機具、農用建物、賃貸料、土地改良および水利費、支払小作料、企画管理費、包装荷造・運搬料金……などの細目が挙げられている。こんにゃく芋について、1戸当たりの全国平均農業所得は386万8,000円。栃木は115万2,000円、群馬は409万9,000円という結果になっている。

こんにゃく201306
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戦中納豆は「豆腐並み」を陳情する

戦時色深まる昭和15年(1940)10月、「大豆及び大豆油等統制規制」により、大豆の統制・配給が始まった。先に「輸出入品等臨時措置法」(昭和12年9月10日)の公布に伴う「雑穀類配給統制規制」で、小豆、菜豆、えん豆、緑豆、蚕豆は既に統制済みだった。各納豆生産県ごとに納豆組合が発足していたとはいえ、全国組織の結成も要請されるところ。同年10月10日に「全国納豆工業組合聯合会」が設立されている。聯合会は原料大豆の配給斡旋を行っていたが、政府が昭和15年に内地産大豆の集荷配給統制を実施したことから、原料大豆の確保のため、「全国納豆工業組合協会」(全納協)の設立に至る。

原料大豆を獲得するために、当時の全納協(三浦二郎会長)は農林省に対して「大豆配給割当について」の陳情を行っている。ちょうど太平洋戦争が勃発して2日後だったという。納豆業界の命運の懸かった陳情の要旨には、「納豆ヲ豆腐ト同等ニ認ムル理」と題打たれている。原料大豆を統制されての苦境に立たされていたのは、豆腐業界も同様であったが、納豆については豆腐よりも深刻な状況に置かれていたため、「せめて豆腐と同等の扱いを!」と求めていたらしい。

その後、納豆がいかに優れた大豆発酵食品であるかを縷々と述べている。曰く「豆腐ノ蛋白質十匁ノ価格十四銭ニシテ納豆ハ九銭八厘ナリ」「大豆ノ全成分ヲ保有シ而カルモソレカ消化ニ易キ状態ニアリ」「納豆ハ保存ニ適シ携帯ニ便ナリ」「納豆ハ食用簡便ニシテ塩ニテ調味食用スルヲ得」「故ニ場合ニヨリテハ頗ル便宜ナル食品ナリ」と誇る。

1匁を3.75グラムと見なし、10匁は37.5グラム。当時の豆腐や納豆と現今のものとで、たんぱく質含有量が同じものと仮定すれば、「五訂日本食品標準成分表」から木綿豆腐(100グラム当たり6.6グラム)、糸引き納豆(同16.5グラム)の数値を代入して、約568グラムの豆腐が14銭、約227グラムの納豆が9銭8厘という概算になる……ちなみに昭和19年(1944)の豆腐は10銭(1丁100匁=375グラム程度)というから、当たらずとも遠からずか?

総務省統計局の「小売価格調査」などにより、100グラム当たり(あるいは45グラム×3個など)の価格での比較は慣れているが、たんぱく質含有量による価格の比較という着眼点はなかなか斬新に思われる。量目を現在の小売価格調査にそろえてみると、当時の豆腐は100グラム当たり約2銭5厘、納豆は135グラム(45グラム×3個)当たり約5銭8厘。他にも納豆の美点を枚挙した上で、全納協の農林省への陳情は「納豆ハ豆腐ニ優ルトモ劣ラサル食物ナルコトヲ信スルモノナリ」と締めくくられている。

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近年の豆腐購入数量

先日、某テレビ局から「京都の豆腐の消費量は減少しているのか?」との問い合わせを受けた。即答を避け、調査のための時間を貰い、統計資料に当たってみるのだが、信頼すべきデータで消費量に関連するものとしては、総務省統計局の「家計調査」しか思い当たらない。豆腐については、毎月〜毎年の1世帯当たり支出金額、購入数量、1丁当たり平均価格、100世帯当たり購入頻度、購入世帯数(1万分比)が公表されている。核家族化の進行により、世帯数が増えているとはいえ、1世帯当たりの購入数量をたどってみれば、消費量の増減について、何らかの推計を用意できるだろうと考えた。

電話を入れてきたテレビ局の担当者としては、食の洋風化などにより、豆腐の消費量は減少しているだろうとあらかじめ想定していたふうだが、ある意味、意外な結果が出た。「家計調査」の結果は、対象とする世帯の種類別に公表されているが、参照したのは2人以上の(全)世帯、勤労者世帯を含むものである。平成12年(2000)から平成24年(2012)までの1世帯当たり購入数量について、全国、近畿地方、京都市の数値を抽出して、にまとめた。わかりやすく、折れ線グラフも作成してみる。

製表した13年間の平均を取ると、1世帯当たりの豆腐の購入数量は、全国で75.30丁、近畿で72.34丁、京都で66.73丁という計算になる。古来、多数の寺社が存し、著名な湯豆腐店もあまたの京都(および近畿)の購入数量が全国平均を下回っているのも意外だが、近年、多少のアップダウンがあるにせよ、これでは減少傾向にあると言い切れまい。何より平均価格(単価)の下落、それに伴う支出金額の減少が、豆腐の購入数量までも減少しているような思い込みを与えているのではないか――と考えさせられる統計データである。



豆腐201306

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第2の大豆、タルウィー

「第2の大豆」として注目されるべき豆が、タルウィー(Lupinus mutabilis)。タルウィーはルーピンの一種。ルーピンは和名で「ノボリフジ(ルピナス)」と呼ばれるように、茎の先端に、藤に似た様々な色の花を上向きにつける。世界中で飼料や緑肥として栽培されているほか、観賞植物としても利用される。タルウィーは鮮やかな青紫色の花を咲かせ、アンデス山中のチチカカ湖のタキレ島には、薔薇色の花を咲かせるタルウィーもあるという。

タルウィーは、南米ベネズエラからチリ北部〜アルゼンチンにかけてのアンデス地域で、食用として利用されている。多いものでは、たんぱく質を50%(平均46%)、脂肪を24%(平均20%)も含むことから、貴重なたんぱく源であると同時に油脂源として、ジャガイモやトウモロコシを主食にするアンデス農民が古くからタルウィーを利用してきた。

たんぱく質のアミノ酸含有量は大豆に近く、脂肪の含有量は落花生に近い。リノレン酸など不飽和脂肪酸も多い。ただし油脂の多いタルウィーはたんぱく質が少なくなる傾向があり、たんぱく質と脂肪の上限を兼ね備えた豆は少ないため、好みと適応性によって農民は自分で植えるタルウィーを選抜している。莢は高く突き出した花茎の先にまとまってつくので、収穫は容易。莢の長さは5〜10センチメートル、幅2センチメートルで平たく、直径0.6〜1.0センチメートルの卵形の種が2〜6個入っている。

熟すると莢が開いて種を落とすルーピンが多い中、タルウィーの莢は登熟しても開かない。栄養に富む豆を確実に収穫できる。現地では大抵、スープやシチューの具として使い(皮が軟らかいので、すぐに煮える)、スナックとして食べる。これほど有用な作物、タルウィーがアンデス以外の地域に広がらなかった理由としては、種が苦く、そのままでは食べられなかったことが挙げられそうだ。しかし、タルウィーの苦味は水溶性アルカロイド。数日流水にさらすことで除去でき、近年は数時間で苦味を取り除く機械も開発され、苦くない種を作る品種も改良されているという。

参考文献:吉田よし子『マメな豆の話』(平凡社新書)

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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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