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こんにゃくの地域団体商標

特許庁が商標法の改正の方向性を明らかにした。現行の地域団体商標の登録主体は事業協同組合などに限られているが、「ご当地グルメ」など地域ブランドを便乗商法などから守り、地域経済の活性化につなげるため、商工会、商工会議所、特定非営利活動法人も新たに地域団体商標の登録主体として認める方向だ。この動きに呼応したかのように、山形県こんにゃく協同組合では、「山形名物玉こんにゃく」を地域団体商標として登録したことを公表した。

これは、「山形名物玉こんにゃく」との名称を使用する県外こんにゃく製造業者の製品が見られることに対し、県内で製造する地域食品・玉こんにゃくを保護し、ブランド化を独自に進める必要性から、2009年4月に出願し、今回登録が認められたもの。今後、県外業者が「登録商標 山形名物玉こんにゃく」とうたう製品を製造販売した場合、差し止め請求などを行うことが可能となった。

県内のこんにゃく業者についても、非組合員は「登録商標 山形名物玉こんにゃく」と表示した製品を販売することができず、山形県こんにゃく協同組合への加入を呼びかけていく方向。同県で地域団体商標が登録されたのは、「米沢牛」などに続き今回で9件目だという。

ちなみに地域団体商標とは別個に、通常の商標について、こんにゃくにまつわる呼称を「特許電子図書館」で調べてみた。純粋に「コンニャク」という呼称のみで検索し、必ずしも食品の蒟蒻に限らなければ、19件が「コンニャク」を含む商標に該当する。洋酒の「コニャック」が表記違いから紛れ込んでくるのはご愛嬌。加工食品としてのこんにゃくに限定してみると、藤清蒟蒻「愛す蒟蒻」「蒟蒻愛す」、伊那食品工業「かんにゃく/寒蒻」、メイショウ「こんにゃ君」、オリヒロプランデュ「ぷるるん蒟蒻」、オーシャンズ「コーンにゃくスープ」、三浦由起子「今夜くう」、NAO微人研究所「japanese pure natural fiber/konyac/mannan fLour/蒟蒻粉」、徳川「おこんにゃく焼き」といったところ。

他に化粧品などで「コンニャク」を謳うところは多いが、面白いところで、フランスベッドのクッション類、翻訳機器のプログラムなどにも使われている。こちらは「翻訳コンニャク」で、例のドラえもんの道具は「ほんやくコンニャク」。
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納豆菌+卯の花

豆腐を製造する際の副産物として必然的に毎日生み出されるおからは、産業廃棄物と認定されている(2007年9月 「おから裁判」参照)。大半が産業廃棄物として処理されているおからを、長時間屋外に放置するとその有用な繊維、たんぱく質、脂肪が腐敗して悪臭を放つなど、公害の要因になる。おからは食物繊維が多く、少量ながらもたんぱく質、脂肪を含むことから、食用や飼料としてさらなる消費、また、それ以外での新たな消費形態が望まれているのは周知のところ。今回、紹介するおからの新たな活用法は、おから(卯の花)に納豆菌を着床させて製造する「納豆菌つき卯の花」だ。

この「納豆菌つき卯の花」(特開2012-217374)を熟成させた物を、作陶用の粘土を扱うのと同じ要領で、十分に粘り気が出るまでよくこね、植木鉢の形や小豆球、駒形に加工し、用途に合わせて乾燥、あるいは乾燥して陶器様に焼成した加工品を作ることも併せて提案されている。出願人は山岡健さん(福岡県古賀市)。

おからに納豆菌を付与する目的で、納豆菌を着床させて保温し、発酵させ、さらに時間をかけて熟成させたことを特徴とする「納豆菌つき卯の花」の製造方法では、まず納豆菌の着床を容易にする目的で、卯の花に熱い水蒸気を吹き付ける。柔軟にすると同時に、吹き付ける水蒸気の圧力で卯の花をほぐし、コンテナに薄く広げた後、納豆菌を振りかけて保温し、発酵させ、さらに時間をかけて熟成させる。これだけでも、保水材や水の浄化材の原材料として利用できる。

「納豆菌つき卯の花」の取り扱いをより容易にする目的で、熟成後、粘土様になるまでよくこねて、小豆形、正方形、駒形などに形成し、乾燥させる。形成の際に、播種用の野菜の種、花の種などを内包させて乾燥させたり、植木鉢の形に焼成した加工品に苗を植え付けたりして、育苗や播種などの農作業に利用。種まきや苗の移植を手作業から機械作業に容易に移行できるという。当然、長時間、屋外に放置されると腐敗して悪臭を放つなどの公害の要因は軽減されている。

「納豆菌つき卯の花」自体の利用価値、産業廃棄物として処理されるおからの量の削減だけでなく、植木鉢や育苗ポッドなど「納豆菌つき卯の花」の加工品は、廃棄後も土壌に還元できるので、環境にも優しいとアピール。また、おからに散布する納豆菌の代わりに「納豆菌つき卯の花」も使用でき、リサイクル製造も可能になるようだ。

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京豆腐の地力

イメージ先行で「やっぱり京都の豆腐は凄い」と羨まれることの多い古都・京都だけれど、果たして、その実態は? 統計データを駆使して、その実像に迫ってみた。

統計局の「家計調査」結果から過去10年の豆腐1丁当たりの平均価格を抽出し、一年当たりの平均価格を算出したのが表1である。既に、平均価格の高い順に並べ替えてあり、都道府県庁所在市47市のうち、堂々の3位に位置している。1丁当たり100円を超えているのも、那覇、神戸、京都の3市のみ。磐石のトップを固めるのは那覇だが、島豆腐に代表されるように、豆腐の量目が並外れて大きい地域性を考慮すれば、1丁当たり平均価格が高額であるのも素直にうなずかれよう。2位につけているのは神戸だが、こちらは実際データに当たるまで想定外だった(あくまで推測だが、神戸の豆腐の量目も大きめの部類に入るのかもしれない……)。

ともあれ、京都の平均的な家庭で購入される豆腐の1丁当たりの平均価格は100円オーバーで、全国トップ・クラスであると誇ってよい。不当に安い豆腐は食べないよ、という京都人の矜持の表れとも見えるが、近年、周辺地域から押し寄せてきた価格競争の波に大きく揺れてはいる。実際、2012年だけで見ると、京都は高額7位にランクを下げていた。

「家計調査」を離れ、次は厚生労働省の公表する「衛生行政報告例」を見てみよう。こちらの最新データは2012年3月末現在で、都道府県別以外に、政令指定都市19市、中核市41市の計60市の豆腐製造営業許可施設数も明かされている。政令指定都市に京都も無論含まれ、この60市の施設数を精査してみた。1施設当たりの世帯数、人口を算出し、1施設のカバーしている人口の少ない順に並べ替えたのが表2である。

「衛生行政報告例」が取り上げる施設数とは、保健所に営業許可を求める豆腐製造に携わる者の数、いわゆる「町の豆腐屋」がメイン。その1施設でカバーする人口(ならびに世帯数)が2番目に少ないのが京都に当たる。最低だった郡山市は総施設数(38)そのものが少なく、京都とは比較にならない。京都は都道府県庁所在市に限れば、1施設当たりの人口および世帯数が最も少ない市ということになる。地域に密着した町店が集中していると言える(京都ほどではないが、大阪も同様)。2万人超の人口をカバーする豆腐製造施設を擁する政令指定都市・中核市が大半を占める中、京都の豆腐屋の地元に密着する姿勢には、目を見張るものがある。地域に密着した京都の豆腐の底力である。

豆腐201307_1

豆腐201307_2

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サチユタカA1号

作物研究所の「くろっぷニュース47号」(2013年3月)に、同研究所・畑作物研究領域の羽鹿牧太氏が、サチユタカに難裂莢性を導入した大豆新品種「サチユタカA1号」に関する成果を報告している。サチユタカは、近畿・中国地方を中心に広く栽培され、耐倒伏性・収量性に優れ、たんぱく質含有量が高い豆腐用の優良品種だが、裂莢しやすいという問題点を抱えていた。収穫期に刈り遅れると、立毛中に乾燥して次々と莢が弾ける“自然脱粒”や、コンバイン収穫の際に刈り取り部が触れて脱粒する“頭部損失”が多く、実際の収穫量が低くなってしまう。

そこで、サチユタカの欠点を補う、莢が弾けにくい特性“難裂莢性”を付与せんと、DNAマーカーと戻し交配によってサチユタカに難裂莢性を導入したサチユタカA1号が育成された。具体的には、サチユタカと難裂莢性を持つハヤヒカリを交配した後代から、難裂莢性を持つ個体をDNAマーカーで選抜し、再度、サチユタカに戻し交配することを5回繰り返して育成。サチユタカA1号は、平成24年(2012)8月に品種登録出願も行われている。

サチユタカA1号の特徴として、避莢性が改善されている以外は、戻し交雑親のサチユタカと農業特性・品質特性はほぼ同じ(表参照)。短茎で耐倒伏性が強いところに、難裂莢性が加わったので、刈り遅れても裂莢の心配が少なく、栽培しやすい。たんぱく質含有量が高いので、サチユタカ同様、豆腐加工に向いている。一方で、サチユタカと同じくモザイク病には弱いことから、その媒介虫であるアブラムシ防除を栽培時には徹底する必要がある。栽培適地は関東地方南部以南。耐倒伏性が強いため、密植栽培にも向いているという。

サチユタカとほぼ同じ生育を示すので、サチユタカ普及域では同品種を置き換えるだけで、脱粒が少なくなって実質的な収量増が期待される。今後は、裂莢性のためにサチユタカの導入を見送ってきた他の地域でも導入されるだろう。現在はサチユタカに準じた弱点、モザイク病抵抗性や病虫害抵抗性などに対して、DNAマーカーと戻し交配による強化が図られている。将来的には、サチユタカの欠点をすべて改善した新品種を開発、西日本の大豆生産の安定化に寄与されるだろう。



参考文献:近畿地域大豆研究会ニュース2013年第1号(2013年6月28日)

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