赤のれん

3月15日、「三津寺仏像群初公開」鑑賞の後、
紆余曲折を経て、ぼくらは京橋に辿り着いた。
どのお店に入っても構わなかった。
懐かしさも手伝って、界隈を久しぶりに散策。
明らかに変わったようで(ある種の業態店舗)、
変わらないタイプの店も、頑として在る。
例えば、大衆居酒屋「赤のれん」……
その昔、足繁く、毎夜のように通い詰めた
あの頃の京橋にも、同じような佇まいで在った。
ぼくらはどこから来て、どこで出会ったのだろう。

どこへ向かっているのか、意識はしゃんとしているかい?
思い出せない曲名があり、ふと口ずさむ歌がある。
ぼくは昔のぼくでなくなったのかもしれないし、
君も今ある君ではなかったのだろう(誰が気にする)。
山形の超辛口吟醸生酒「黒ばくれん」を呑んだのか、
それとも、どの店に行っても顔を出す「豪快」だったか。
ぼくの思考はとめどなく彷徨い始めるけれども、
ぼくの目は、メニューの中に「豆腐」の文字を探す。
リセットする心持ちで、揚げだし豆腐を頼もう。
豆腐の味噌チーズ田楽も摘まもう。
日の高いうちから呑んでいた酔客が管を巻き始めるから、
まだ日は暮れたばかりなのに、半日ほど出遅れた気分。
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