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『ナジャ』再読―労働について―

私は労働の観念を物質的必要として受けいれざるをえないし、この点では労働のもっともよい配分、もっとも公正な配分にはだれよりも好意的である。いまわしい生活上の義務から労働を強いられるのならまあいい。だが、労働を信じろだの、自分の労働や他人の労働を敬えだのと要求されるのはごめんである。かさねていうが、私は自分が昼ひなかを歩く人間だと信じるよりも、夜のなかを歩いているほうが好きだ。働いているあいだは生きていたってしかたがない。だれしも自分自身の生活の意味の啓示を権利として期待できる出来事、私はまだそれを見つけていないかもしれないが、それをめざす途中で自分をさがしている出来事、そういう出来事は、労働とひきかえに与えられるものではない。
       ☆
ブルトン小説(描写批判)と並び、この労働批判もぼくを刺激し続けたものです。
“批判”するには、「描写」と「労働」の中に深く沈潜し、考える必要が出てきます。
執拗に描写を重ねることもあるし、がむしゃらに働き倒すこともあるかもしれません。
しかし、それは「描写」や「労働」を信じることとは、全く関係ございませんので。
ただ、 “自由”のために。小説が何者にも囚われず、自由に生きていくために。

参考文献:アンドレ・ブルトン『ナジャ』(岩波文庫)
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ジャンル : 小説・文学

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
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