寝て拝む?

脚がぱんぱん。日頃の運動不足でしょうか?
しかし、吉野山へ来る機会もそうそう多くない
でしょうから、上千本~奥千本は諦めても、
南朝勅願寺「如意輪寺」を目指します。
うねうねとくねる山道のアップ&ダウン。
本当に道が合っているのか?
開館時間に間に合うのか? と急ぎ足。
咲き残る桜の花を横目に眺めつつ……。
(本堂からさらに登る後醍醐天皇陵は諦めて)
ようやく辿り着いた如意輪寺の宝物殿ですが、メインは「正行公辞世之扉」。
正平2年(1346)、四条畷の決戦に向かう楠正行(まさつら)が鏃で刻んだ辞世の句。
かゑらじと かねておもえば梓弓 なき数に入る 名をぞとゞむる
「蔵王権現立像」は侮れず、「吉野曼荼羅図」「吉野三絶」も見逃せません。
意表を突かれたのが、“ねおがみの観音”……寝て拝む、と?
如意輪寺の本尊、如意輪観音坐像をモデルに描いた油絵が、宝物殿の天井に!
馬堀喜孝の筆で、如意輪観音の油絵像としては日本最大……その真下に寝台が
あつらえてあったのですが、枕元に「正行公辞世之扉」もあるので、落ち着きません。
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tag : 仏像
日本最大秘仏・蔵王権現

吉野山ロープウェイで、千本口駅から吉野山駅まで。
吉野大峯ケーブル自動車の運営するロープウェイ
(=索道)で、現存する日本最古の索道路線らしい。
乗降時、ぐらぐら揺れる車体を人力で支えるのが素敵。
桜の季節は去りつつありますが、予想以上の賑わい。
てくてくと、下千本(しものせんぼん)の参道を上ります。
目の前に見えて来るのが、「銅(かね)の鳥居」。
別名「発心門」で、名に違わず、銅製です。
間近に、開基・役小角を祀った行者堂もありました。
何しろ、吉野山(=金峯山)で蔵王権現を感得した
という役行者小角ですから、山中に像の数知れず。
さらに、旅館や土産物屋の並ぶ参道を上ると……。
「金峯山寺」の国宝・仁王門が目に飛び込んでくる

はずなのですが、養生シートにくるまれています。
平成31年着工予定“平成の大修理”を控えてのもの。
その「国宝仁王門修理勧進」のために、
2012年から10年間、毎年一定期間のみ、
「金剛蔵王大権現 特別ご開帳」が実施されています。
今回、ぼくの吉野山入りの目的がそれでした!
金峯山寺の本尊、蔵王堂の蔵王権現立像は3体。
“蔵王権現”は日本の修験道独自の神格となり、
本地は左から、弥勒菩薩・釈迦如来・千手観音。
像高は順に5.92メートル・7.28メートル・6.15メートル。
特撮好きのぼくとしては、青色の巨人つながりで、
ウルトラマン アグル、コスモス、ネクサス、ヒカリ
などを一瞬だけ、思い浮かべてしまいましたが……。
山岳信仰の聖地だけあって、蔵王堂の柱には梨など自然木を素に近い状態で使用。
蔵王堂自体が国宝で、東大寺大仏殿に次ぐ木造大建築に当たるようです。
役行者像のほか、旧・安禅寺本尊の蔵王権現立像も拝観できます。
こちらの蔵王権現を見ても顕著なのですが、本地垂迹(ほんじすいじゃく)説から
どれだけ本地が弥勒・釈迦・千手等と説かれても、明王の類にしか見えません。
蔵王堂内の濃ゆい空気に当てられまくって、

表へ出ると、四本桜も葉桜になっていました。
「おや、こんなところにも天神さんがいる」
(⇒「威徳天満宮」)などと思いつつ、
だらだらと続く階段坂を下っていきました。
つい「脳天大神(おおかみ)龍王院」に惹かれて。
首から上の病気に霊験あらたかといわれ、
頭を割られた大蛇(=蔵王大権現)を祀ります。
右の画像は「吉野の脳天さん」へ至る
下り坂の途中にも建つ役行者銅像です。
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