頭に咲く青い花

5月31日(火)、「第5回 二人の読書会」を開催。
毎月1回のペースで運営中ですね。
今回のテクストは、江國香織つめたいよるに』(新潮文庫)。
文庫本では一冊となっていますが、
元々はデビュー作「桃子」を含む『つめたいよるに』と、
料理をモチーフにした『温かなお皿』の合本です。
合計21編が収録されているところ、諸般の都合から
短編数を絞った上で、読書会に臨んでみましたが……。
「デューク」「桃子」「草之丞の話」「いつか、ずっと昔」「スイート・ラバーズ」
「冬の日、防衛庁にて」の6編です。特に、ぼくの趣味で選んだ訳でなく、
輪廻を含めてのメタモルフォーゼ(=変容、変身譚)、
生と死のあわいを無化する作者独特のやわらかい語り口に
焦点を当てたかったのかもしれません。
デューク」はクリスマス・ストーリーとしても秀逸。
桃子」「草之丞の話」には、漱石『夢十夜』を彷彿とさせる夢幻味があります。
いつか、ずっと昔」は個人、生物としての種までも超える“愛”の形が素敵。
(同作では、擬態語の用法がもろに萩原朔太郎で、笑ってしまいますけれど)
スイート・ラバーズ」では種でなく、世代を超えて、愛が伝播していきます。
……そこに一編、「冬の日、防衛庁にて」を加えたのは、何故だったかしら? 

参考文献:江國香織『つめたいよるに』(新潮文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説 読書会

OTPカード

IT……Information Technology……情報技術。
ぼくらはウェブの中で自由を手に入れ、
既成の固着した事物から解き放たれる腹づもりでいました。
1~2バイトの文字の組み合わせから成るデータさえ
“自分”の頭の中に押さえておけば、何者にも囚われない
……はずだった。例えば、銀行口座。銀行通帳、印鑑……要らないでしょ? 
ぼくは昔から、キャッシュ・カードやら印鑑やら何やら、
盗難に遭い続けてきたので、電子取引万々歳という姿勢。
インターネット・バンキングは、いつでも、どこでもPCさえあれば、OK!
ところが、先頃まで使用していた確認番号表(乱数表)を基本廃止。
「三菱東京UFJ銀行」の場合、6月12日以降、使用不可。
以降時期は異なるが、「三井住友銀行」も同様のシステム変更を行う模様。
代わりに、今後は「ワンタイムパスワードカード」を利用するようにと押し付け。
フィジカルなカードを使用しない場合、iPhoneアプリか Androidアプリを使えと言う。
 乱数表を記憶するのは無理だから、1枚のカードを所有するより、
 PDAのメモリーに乱数表のデータを独力でコピー保存しています。
 それは個人の作業だから良いけど、スマホのアプリとは……。

物は持ちたくないし、スマホの所持も強要されたくないのです。
OTPワードカードも、まず何が問題かというと、バッテリー。
自分で電池も換えられないし、充電も出来ない。
バッテリーが切れかけたら、カード交換の申請手続きが必要って……。
個人の自由=“世界”をこじ開けるための技術に対して、
個人を“守る”ふりして、個々を管理せんがために、
窮屈な“物”=OTPワードカードで制限を加えようとしていないかな?
ネット銀行でOTPカード(アプリ)を用意するようでは、
銀行窓口で印鑑と通帳を用意していた時代と、何も変わってないような
むしろ技術の利用という観点では、逆行しているようにすら感じてしまいます。
物からデータへ……そのデータ保持のために、また物を要してしまう在り方が。

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

tag : つぶやき

第9回「一食即発」(2)

バルコメ 2日間連続で 食べ歩き「一食即発」に参戦しました。
 この28日は、タクシーで大阪・梅田から扇町公園へ。
 シフト上がりのMさんを交えて計4人に膨らみました。
 燻製好きの彼に合わせ、1軒目は「バルコメ天満店
 程良いスモーク加減で、チーズと枝豆が供されます。
 参加者に渡されるリストバンドは色分けされていて、
 黄色バンドの意味合いは「気軽に声をかけてね」……
 黄色のTさん、早速隣の男性客に話しかけています。
 色に意味なんかありません。元々のキャラですね。
 (左画像は「バルコメ」天満店内の奥から撮影)
        ☆
 次の偵察に向かったバー「SUN SET」は連日満席。
 マスターの顔も見ず撤収。続けて「月光」も空席無し。
       ☆
まだ空も明るいうちから、バーのカウンターにINUKI
空き席が無い……そういう時の会員制! 
何とも、秘密めかした会員制 Bar
INUKI」へ潜り込むこととしました。
多くは語れませんが、ウイスキー好きのぼくや
Mさんには垂涎の的の逸品がごろごろ……。
廃版オールド・ウイスキー11種から、お好みで
2種を吞み比べられるというメニュー。
気になる会員資格について訊いてみたところ、
薀蓄厳禁”とあったので、饒舌スイッチが
オンに入ることもある ぼくにはとても難しいなあ、と思いました。
奥の小部屋に隠されているブツとやらに、非常にそそられている訳ですが。

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テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 呑む ウイスキー

第9回「一食即発」(1)

前日(5月27日)、なんばで映画を見て、地元の大阪・天満へ帰還。
この日から、天満~天神橋筋商店街をメインとした食べ歩きイベントが開催です。
※プレ・イベントは5月26日(木)から。
関西最大級を謳う「一食即発」は、今回で9回目を数えます。
28店舗が新規に参戦して、計120店舗の参加。
29日(日)までの3日間で回り切れる訳もないので、自然と絞り込むことになります。
元々、ぼくはご近所なので、知っている飲食店が大半ですから、
新規開拓も図りつつ、挨拶回りが必要な場合も出来します……。
       ☆
17時開始に合わせて、「TSUTAYA」天六店で、参加キットを購入。
1人1セットで、1,000円。参加バッジ+パンフレット+リストバンドを貰います。
パンフを眺めながら、どの店に行くかを思い定め、ぷらぷらと歩き、
参加店舗の特別メニューを1コイン(500円)で賞味する――という流れ。
第6、7回と利用させていただき、好印象だった「中家(あたりや)」へ、まず。
が、17時になったばかりのせいか、暖簾を掲げていない。出端を挫かれました。
       ☆
気を取り直して、少し離れた所に在る アジア屋台酒場「スワーハ」に入店。
生ビールで一息つき、ガイヤーンと どて焼き(国産牛スジ)を摘まみます。
ビールの品揃えが豊富なのと、目を引くエスニックな鉄板メニューの数々は、
大勢で盛り上がりたい時の1軒目に、使い勝手が良さそうです。
続いて、ダイニング・バル「うちわ」を訪問しました。
(同じ棟に入っているホルモン串焼き「丸高」の行列に押されそうでしたが)
能天気なBGM とアジアンな調度に囲まれ、エスカルゴや
うずら卵のバルサミコ酢漬けなどをアテに、パクチー酎ハイを頂きました。
この酎ハイの清涼感は最高! 脂っぽい物が続いた際の口直しに最適です。
       ☆
次に、昔から大将のお世話になってきた「鶏魂鳥福3号店を覗きます。
アルバイトの女子店員2人に相手してもらいましたが、
大将は厨房の奥(3号店と別館の共有スペース)で忙しそう。
ラム肉と玉葱炒めを口に運び、ハイボールで流し込みます。
さて、肉バルが続いたので、和食が宜しいか、と中崎町へ向かいました。
       ☆
路地裏の居酒屋「まめ福」の特別メニューはまめ福
居酒屋というよりも、割烹仕様でしょうか。
季節の八寸(8種盛り合わせ)は――
ししゃもと淡路産新玉葱のエスカベッシュ、
和牛赤ワイン煮込みのブルスケッタ、
ホタルイカの白味噌チーズ焼き、
うすい豆腐の生姜あん、
ワラビとキノコのアンチョビ・ガーリック炒め、
タケノコのフリット(バジル・ソース)、
フノリと淡路産地魚の酢の物、カメノテ浜茹で。
うすい豆腐に、新緑の季節を思い起こされ、ぼぅっとしたところで
異形のカメノテの磯の香りに、はっと胸を衝かれました。日本酒がいよいよ美味しくて。

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テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 呑む 豆腐

あのひと

5月27日(金)、大阪の「なんばパークスシネマ」で映画を観ました。
(同シネマでは前回、ちょっと、不穏な事態に陥りかけたので、妙に警戒)
鑑賞した作品は、山本一郎・監督の『あのひと』(2014年)です。
大阪生まれの作家、織田作之助が昭和19年(1944)に書いたとされる脚本で、
一言一句、弄ることなく、そのまま映画化したそうです。
モノクロ/スタンダード・サイズの映像に、郷愁を誘われます。

戦死した部隊長の遺児、「小隊長」を育てる4人の帰還軍人らと、
彼らが勤め人として暮らす京都の下町に住まう4人の妙齢の女の子たち。
戦局が悪化したため、青年4人は軍需工場に働きに出ることを決め、
代わりに4人の女の子らが小隊長の面倒を見ることになります。
正確には、4人の男女に加えて、元・板前の鶴吉、トラばあさんもいますが。

劇団「とっても便利」の団員らが丁寧な芝居を見せてくれ、
映像作品というより、まさに“劇映画”と呼ぶべき空間において、
時代のエア・ポケットにはまったような、風変わりな 共同生活が描き出されます。
4人(+1人)が それぞれの“あのひと”の帰りを待ちわびながら……。
劇団員の好演も光る中、ぼくの好きな神戸浩(=鶴吉)の不器用な役柄が素敵。
その鶴吉を慕うトラばあさんは、老け役でもないのに、田畑智子が演じていたことで、
全体を貫く手堅いリアリズム描写に対して、「ばあさん」……「ばあさん?」と
心地良い一点のファンタジーを生み出していたように思います。

大阪の“オダサク”、幻の脚本ということから、大阪市交通局がタイアップ。
しかし、オダサクゆかりの地を紹介した「オダサク・マップ」などに、目新しさは皆無。
甘味処「夫婦善哉」や生國魂神社口縄坂など、今更感が強くて……。
織田作之助が古くなったのでなく、オダサク観がアップデートされてないんですね。
古典は常に新しい“読み”が出来るのに、古い読みに固執してしまっているようです。
そのせいでもないでしょうが、ぼくの観た回は、ぼくを含めて観客は計4人。
声高に語る大作ではありませんが、心の中で、ひっそりと愛でたい好編でした。

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 映画 小説 演劇

曽根崎道祖神

先々週末くらいに、大阪の「露天神社」境内に、新しい彫刻作品が設置されています。作家は桜屋中川浩之)で、作品名が「曽根崎道祖神―Ohatu & Tokubei―」となっています。
※右画像は、5月15日(日)夜の撮影分。
以下に、説明書きを転記しておきましょう(原文ママ)

 〈制作意図〉

 その昔、人が暮らす集落の入口街道筋にその地に暮らす人々と道を行く人々の安全と平和を祈念して“道の神様”道祖神石仏が祭られていました。この作品は都会の真ん中で行き交う人々の心のなごみになる事を願い制作しました。

 〈作家略歴〉曽根崎道祖神

1970 豊能町生まれ。
1993 京都精華大学美術学部立体造形専攻卒業
1995~2004 個展(大阪、京都、神戸)
2000 「明日をになう西宮の作家展選出」
2004 池田市平和記念モニュメント制作
2005~ 桜屋彫刻ファクトリー主宰
2014 花折街道(大阪)モニュメント一式制作
2015 高山右近(大阪・豊能町)夫婦石像制作。
1級造園施工・管理技能士

テーマ : 神社仏閣
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 史跡 美術

豆仁

豆仁_チーズパンプキン 10日ほど前に頂いたのが
 「豆仁」のチーズパンプキン
 同社の本社は兵庫県西宮に在る
 カシュー・ナッツ専門店のようです。
 今回の頂き物はカボチャの種でしたが、
 絶妙の塩加減に、思わず一気食い……
 これだから、食いしん坊は駄目です(反省)。
 ただ、豆仁さんは、食材からこだわっている
 と思われるので、ちょっとだけ安心。
 大豆に限らず、ナッツ~種も良いものです。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : おやつ

ワンダー正光の孤独

5月24日(火)、大阪・アメリカ村へ出掛けると、少女椿
「心斎橋ビッグステップ」4Fまで。
シネマート心斎橋」にて映画鑑賞です。
TORICO 監督の『少女椿』(2016年)を観ました。
丸尾末広による同名の漫画が原作なのです。

1992年には、絵津久秋(=原田浩)監督のアニメ映画
地下幻燈劇画 少女椿』も公開されています。
海外の一部で上映禁止されたこともあるそうですが、
かつて存在した小劇場「扇町ミュージアムスクエア」で
ぼくは鑑賞……もろに、アングラな雰囲気でしたねぇ。

そういった経緯を考慮すると、
「禁断の原作がついに映画化!」などと煽られても、今作の
キッチュな映像表現はポップで、玩具箱を引っ繰り返したような楽しさ。
主演の中村里砂は、中村雅俊&五十嵐淳子夫妻の娘ですし。
半面、何かしら、強烈な毒気を薄められてしまったような一抹のさみしさもあり……。

やはり、作品の鍵となるワンダー正光を演じた
風間俊介が好青年過ぎるのか?と、しみじみ考えさせられました。
みどりに歪んだ偏執的な愛情を抱くとともに、
特殊能力によって世間から「化け物」呼ばわりされた途端に発狂してしまう
……確かに、難しい役どころではあります。

原作やアニメ映画と比較してしまうこともあってか、
ワンダーが超能力(?)を駆使することにより、老化のスピードが速まるとか、
みどりの映画女優になりたいという夢が叶うとか、終盤の展開が蛇足のようでもあり。
みどりを通して、“少女”という生き物のしたたかさ、身勝手さ、生命力は
嫌でも目に焼き付けられたのですが、なまじっか、中途半端に触れさせられた
ワンダー正光の過去のせいで、その痛々しい生の在り方が未消化気分を残します。

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 映画

落語を守るソガ隊員

ものごっつい下世話な三題噺――落語・自殺・特撮。
2016年2月、上方落語協会会長の六代目・桂文枝(=桂三枝)が
元・愛人・演歌歌手の紫艶に20年前からの不倫を暴露され、
「人間国宝」も目と鼻の先のところで、わややなぁ、という大失態。
ぼく個人は、作者と作品は別物として見る癖が付いている上に、
桂三枝の落語は(創作も含めて)タイプでなく、割とどうでもよかったのですが。

しかし、何故、15年ほど前に清算済みといわれる“愛人関係”をネタにしてまで、
紫艶は売名行為に走らねばならなかったのでしょうか? 
デビューは1997年、1999年に上京。仕事が順調であれば、愛人手当は必要無し。
ところが、彼女の所属していた芸能事務所「アクターズプロモーション」は
2007年5月、破産申請の憂き目に。社長であった阿知波信介は同年5月4日、
鹿児島県霧島市の犬飼滝で、自殺死体として発見されています……。

紫艶は現在、口止め条件付きで移籍先の芸能事務所が見つかり、活動再開
なんてこともどうでもよくて、阿知波さんの死からもう10年近いのか……という感慨。
昭和の特撮好きにとって、阿知波さんは「ウルトラセブン」のソガ隊員なのです! 
※アクターズプロモーションには、黒部進(=「ウルトラマン」ハヤタ隊員)も所属していました。
紫艶の事務所が倒産さえしていなければ……もしかすると、見えないところで、
昭和のヒーローの一人が、上方落語を守ってくれていたのかもしれないという不思議。

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語 特撮

軽く、速く、正確に

夕方17時で契約仕事を上がり、大阪・中之島公会堂へ向かう。
18時半だったか、19時だったか、同人の合評会が開かれるため。
開催時刻のアバウトさが、ノンシャランな主宰を物語っていますが、気にしません。
(皆が集まるまで、来月の「秘密の読書会」のテクストを再読していました)
この日(5月22日)は詩2編、短編1編、小文1本を批評したのかな? 
同人の中でも、最もオープンにして、融通無碍な場を目指してきたつもり
だけれども、“文学”という括りのせいか、妙な辛気臭さはたまに覚えます。
真面目ぶったり、深刻ぶったりしたがるのは、ただの文学趣味、ポーズです。
重いものを軽く、暗いものを明るくできなくて、どうするの?
言葉のマジックを信じられない人に、深さ/浅さ、広さ/狭さが本当にわかる? 
イタロ・カルヴィーノの講演を読み直しましょうか? 何遍でも。
軽さ」「速さ」「正確さ」「視覚性」「多様性」「一貫性」……。

 いいは悪いで 悪いはいい、濁った霧空 飛んでいこう。

参考文献:ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』(白水)

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

tag : 同人

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ぽか

Author:ぽか
通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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