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夫婦善哉

織田作・脚本の映画『あのひと』2016_04_15(夫婦善哉)を観に行った際、
今時、実際、どのくらいの人が
織田作之助を読んでいるのだろう?と素朴な疑問。
どうも、織田作といえば、大阪ローカルな郷土作家
的に、偏った色付けがされてしまったような気がして、
それは織田作にとっても、日本文学史にとっても、
幸だったのか、不幸だったのか? いろいろ思います。
ちょうど、織田作の代表作と目されてしまう
『夫婦善哉』ラストに登場するぜんざいのように、
イメージだけが独り歩きして、本来の姿が
どこかに見失われてしまったような……。
       ☆
柳吉は「どや、なんぞ、う、う、うまいもん食いに行こか」と蝶子を誘った。法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに 古びた阿多福(おたふく)人形が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い大提灯がぶら下っているのを見ると、しみじみと夫婦で行く店らしかった。おまけに、ぜんざいを註文すると、女夫(めおと)の意味で一人に二杯ずつ持って来た。碁盤の目の敷畳に腰をかけ、スウスウと高い音を立てて啜りながら柳吉は言った。「こ、こ、ここの善哉はなんで、二、二、二杯ずつ持って来よるか知ってるか、知らんやろ。こら昔何とか大夫ちう浄瑠璃のお師匠はんがひらいた店でな、一杯山盛にするより、ちょっとずつ二杯にする方が沢山はいってるように見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」 蝶子は「一人より女夫の方がええいうことでっしゃろ」 ぽんと襟を突き上げると肩が大きく揺れた。蝶子はめっきり肥えて、そこの座蒲団が尻にかくれるくらいであった。

参考文献:織田作之助『夫婦善哉』(青空文庫)

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
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