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Your Girlfriend

「第9回 二人の読書会」では、吉本ばななハチ公の最後の恋人』(中公文庫)を
テクストに取り上げていますが、前回辺りから準備が整っていないことが多く、
芳しからぬ状況です。どうしたものやらと、思いあぐねる昨今……。
それはともかく、作中、語り手との別れを前に落ち込むハチが何回も何回も
聴き込んでいる曲が「If I Was Your Girlfriend」で、殿下の名曲なのでした。
JASRAC に対してどうのこうのという問題は、正直、どうでもよいのですが、
殿下の作品であることは、きちんと明記しておかなければならないよねえ
………出版人として、作家として、表現者として。
単行本で読んだ時にも記載は無かったと記憶しますが、文庫本にも無いです。
そのせいではないと思いますが、訳詞も今ひとつのような気がしてなりません。
ハチ本人は、ちゃんと殿下の歌詞を理解できているような気もするのですが、
(脳内で)訳したと思われる語り手の“私”に対して、ちょっと違うんじゃない?と。
女々しさ、いじらしさ、うらさみしさが圧倒的に欠落しているように感じます。
       ☆
If I was your girlfriend
Would you let me dress you
I mean, help you pick out your clothes
Before we go out
Not that you're helpless
But sometimes, sometimes
Those are the things that bein' in love's about

If I was your one and only friend
Would you run to me if somebody hurt you
Even if that somebody was me?
Sometimes I trip on how happy we could be
Please

Would you let me wash your hair
Could I make you breakfast sometime
Or then, could we just hang out, I mean
Could we go to a movie and cry together
Cuz to me baby that would be so fine

       ☆
僕が君の女友達なら服を着せてあげてもいいの」なんて、フラット過ぎます。
そこは「ぼくが女友達ならば君に服を着せてあげてもいいかな」と、
相手の意向を伺いつつも、じりじりと自分のしたい方向に持っていこうとする
涙ぐましい手練手管、変態チックな愛情表現が欲しいと思うのですね。
ただ、その線で押し進めるとハチ濃度が上がり過ぎて、“私”の世界観が崩れかねず、
小説の構造を保持するため、作者は敢えて平板な訳詞を選択したのかもしれません。
真の主人公は表題どおり、ハチ公ではなく、彼の最後の恋人となる“私”なのですから。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説読書会黒い音

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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