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近松門左衛門の仕事

この日は、業務を中抜けして「公開講座フェスタ 2016」を聴講。
水田かや乃氏(園田学園女子大学)の講座を13時半から聴きました。
演題は「近松門左衛門の仕事―『曽根崎心中』を中心に―」。
『曽根崎心中』のクライマックスを迎える“天神の森”を敷地内に所有していた
露天神社」の境内は、ほぼ毎日のように足を踏み入れている場所ですし、
他人事とは思えない物語のような気もします……。
同大学の「近松研究所」は、近松を題材に取り上げたNHKのドラマ「ちかえもん
他に資料提供をしていることもあり、ドラマの演出と史実の違いなど、
非常にわかりやすい切り口から、考証を重ねていきます。
例えば、近松の時代の芝居小屋だと、まだは立っていないだろう、と。
また、座付作者も所詮裏方であり、近松の名が表立って出されることはない、と。
演題どおり、『曽根崎心中』という作品の在り方がメインに論じられてはいますが、
同時に、近松の生涯を通じての仕事ぶりが概観できて、非常に為になりました。
折を見て、近松もまた再読しなければいけないなあ、と痛感させられました。
ひとまず、目を通しておきたい基本文献として、下記3冊をメモ。
 ●松平進『近松に親しむ その時代と人・作品』(和泉書院)
 ●原道生、橋本治『近松門左衛門』(新潮社)
 ●松平進『新注絵入 曽根崎心中』(和泉書院)
       ☆
ところで、ぼく的にはシェークスピア(の祝祭性)が好きで、この頃も
読み返していたりする訳ですが、近松門左衛門=「日本のシェークスピア
といった物言いに、大層な違和感を覚える者でして、『曽根崎心中』に対して
よく『ロミオとジュリエット』が引き合いに出されていたりすると、違う、違う! 
全力で突っ込みを入れたくなってしまいます。決して優劣を競う訳ではなくて、
近松における“義理”と“人情”の義理が、シェークスピアでは全く別物だろう、と。
平野屋の手代・徳兵衛も、親方から渡された持参金の返済の件が無ければ、
自害することまでは考えなかっただろうに(逃げればいい)と愚考する者です。
確かに、井原西鶴のような経済合理性まで行かずとも、近松の心中物の
多くが、ひょっとして“”で解決できるのではないかしら?……と疑うのです。

参考文献:近松門左衛門『曽根崎心中・冥途の飛脚 他五篇』(岩波文庫)
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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

tag : 講座文楽

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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