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ウイスキー海底

シュルレアリスムの代表的画家、マックス・エルンストはコラージュ小説を
複数、ものにしていますが、コラージュとは単なる芸術上の一技法でなく、
ヒップホップにおけるサンプリング同様、創作行為における立場の表明、
“創造”という物語に対する批評意識に当たるのだろうなあ、と思うのです。
(「小説」というジャンル自体が、旧来の言説のコラージュとも言えますが)
コラージュにおけるシュルレアリスト(by アンドレ・ブルトン)、エルンスト本人が
コラージュについて定義したテクストの表題は「ウイスキー海底への潜行
La mise sous whisky marin)」とされていて、
訳者の巖谷國士が註を付したところが、以下のとおり。
       ☆
「ウイスキー海底への潜行 La mise sous whisky marin」はわかりにくい言葉だが、La mise(=ある状態に置くこと、賭、投資、服装など)に「進水」「通電」の意もあり、エルンストの思考にはもともと「潜水」のイメージがそなわっていることから、あえてこのように意訳しておいた。
       ☆
whisky」の綴りに「e」は含まないのか、アイリッシュではないのかなあ?
などと見当違いの突っ込みはさて措いて、パーラメントのファンク名盤
『MOTOR BOOTY AFFAIR』(1978)の終盤曲「Deep」への流れではないか?
といったよくわからない比喩も避け、「潜行」という動きに力点を置くのでなく、
海溝の奥底に浸り切り、沈潜する状態で、「耽溺」のような訳語を思い浮かべた
ぼくは生来の酔っ払いなのだろうなあ。身の周りにはいつだって“単純な幻覚”。

参考文献:マックス・エルンスト『カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢』(河出文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説美術ウイスキー

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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