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折々の豆腐(1)

良くも悪くも、短歌の時代なのかなと思います。
時代が“抒情”に流されてしまうのではないかという予兆に
アンビヴァレントな感情、忸怩たる思いを抱き、
詩において「歌と逆に」ではもはや間に合わず、
歌の渦中で「歌と逆に」が試みられるべきではないか?
と、同人小説家の歪んだ夢想が繰り広げられてしまう今日この頃。
――『角川 短歌 1月号 2017』(角川文化振興財団)を読んでいて、
目についた豆腐を詠ったものを拾い上げてみます(敬称略)。
※第477回「角川歌壇」の特選作にもあったのですが、そちらは今回見送り。
       ☆
高野公彦(コスモス)
湯どうふに刻みショウガをのせて食めば冬の寒さを越えむ力湧く
       ☆
東直子(かばん)
崩れつつつぶやいていたお豆腐が星のかけらのようにまだいる
       ☆
高野は俳句ならば季重なりでしょうが、何であろうが、闇雲に明快な歌。
“わかりやすさ”に傾きたい気持ちは、よくわかります(生姜は旨いもの)。
東もまた鍋の描写でしょうか? 「つ」の連なりが文字面と相まって、
豆腐の肩を揺らしながらの朴訥な語りが目に浮かんでくるような気がしました。
それ以上、「つ」が続くようだと、“す”が入ってしまうので、早く引き上げなくては
……欠けてしまった豆腐の破片が、鍋宇宙のあちらこちらに白く瞬いています。
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テーマ : 短歌
ジャンル : 小説・文学

tag : 豆腐短歌

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
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