蹄

2作品目として鑑賞したのが、木村あさぎ・監督の
『蹄』(2017)でした。まさに、インディど真ん中の映画。
花屋の悠は、「私、ウシなの」との言葉を残して消えた
元・恋人、桐華を追って、故郷の南の島(沖縄?)へ
流れていくと、虫屋(=職業としての昆虫採集人)を営む
兄と再会。海中で生息する蛾“キ”の研究に没頭する兄、
明善とは別に、悠は“ウシ”を探し求めます……
が、そのようなストーリーは、おそらく観客にほとんど
伝わっていなかったように思われ、上演後に行われた
質疑応答の時間では、監督の製作意図への厳しい
追及が飛び交い、何故だか、同人誌の外部合評会を
思い起こし、微妙な居心地の悪さを感じてしまいました。
どうしてぼくまで、監督と罪悪感(?)を共有しなければならないのでしょうか。
随所で挿入される映像には、なかなか悪くないものもあるのですけれども、
単発的なイメージの羅列にとどまってしまい、「物語」の屹立には立ち至りません。
物語/ドキュメンタリー、男/女、海/陸……あらゆる二項対立を宙吊りにしよう
との意志はわからないでもないのですが、それをそのまま、観客に突き付けても
やれんなぁ、という印象なのです。それはともかく、悠と桐華が対峙する喫茶店の
レトロ・モダンな雰囲気に何やら心当たりがあるぞ、とセンサーが反応。監督自身が
「King of Kings」(大阪駅前第1ビルB1F)で撮影した、と明かしてくれました。
あの「マヅラ」の姉妹店ですよ。「キングオブキングス」にも行ってみなければ!
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