西山夘三
「グランフロント大阪」南館タワーA12階、
「LIXILギャラリー」大阪会場を訪れました。
今回の巡回企画展は「超絶記録!西山夘三(うぞう)のすまい採集帖」。
前回の武田五一もまずまずの面白さではあったのですが、
西山夘三(1911~1994)の愉しさはそれ以上だったかもしれません。
西山は、小規模住宅改良の第一歩として、
食事の場を寝る場から分離独立させる“食寝分理論”を唱え、
戦後の日本住宅公団(=現・都市基盤整備公団)において実現。
それが、「食う場を一室分とって食堂とするには 全体面積が
あまりに足りないから、台所と合わせて一室とする」苦肉の策を採ること
――極めて日本的な(欧米には無かった)“ダイニング・キッチン”の誕生でした。
※造語自体は、日本住宅公団創設時に設計課長を務めた本城和彦氏によるもの。
(当時の流行りでしょうが)マルクス主義者でもあったし、お堅い人のイメージを
西山に対して持っていたのですが、一時期は漫画家を目指したという稚気が
微笑ましく、若書きの漫画や小説には、こちらまで面映い気分にさせられます。
ただ、このスケッチ能力や観察眼が、後年の徹底的な住み方調査において
その真価を思う存分、活かされることにもなりました。日本各地を行脚しての
住まいのスケッチ、図版、写真などから、藤森照信らの建築探偵、あるいは
「路上観察学会」の先行者にも似た趣を感じないではないのですが、西山には
貧しいプロレタリアートの住宅をより良くしたいというテーマが明確ですから。
しかし、そういった本人の主義・イズムを離れて、おびただしいスケッチ、写真、
日記類を見ていると、偏執的な記録魔ぶりに啞然とさせられ、いやいや、これは
科学的・実証的たらんとしての行為を超えて、(良い意味で)単なる性癖だろう、と。
参考文献:藤森照信『天下無双の建築学入門』(ちくま新書)
「LIXILギャラリー」大阪会場を訪れました。
今回の巡回企画展は「超絶記録!西山夘三(うぞう)のすまい採集帖」。
前回の武田五一もまずまずの面白さではあったのですが、
西山夘三(1911~1994)の愉しさはそれ以上だったかもしれません。
西山は、小規模住宅改良の第一歩として、
食事の場を寝る場から分離独立させる“食寝分理論”を唱え、
戦後の日本住宅公団(=現・都市基盤整備公団)において実現。
それが、「食う場を一室分とって食堂とするには 全体面積が
あまりに足りないから、台所と合わせて一室とする」苦肉の策を採ること
――極めて日本的な(欧米には無かった)“ダイニング・キッチン”の誕生でした。
※造語自体は、日本住宅公団創設時に設計課長を務めた本城和彦氏によるもの。
(当時の流行りでしょうが)マルクス主義者でもあったし、お堅い人のイメージを
西山に対して持っていたのですが、一時期は漫画家を目指したという稚気が
微笑ましく、若書きの漫画や小説には、こちらまで面映い気分にさせられます。
ただ、このスケッチ能力や観察眼が、後年の徹底的な住み方調査において
その真価を思う存分、活かされることにもなりました。日本各地を行脚しての
住まいのスケッチ、図版、写真などから、藤森照信らの建築探偵、あるいは
「路上観察学会」の先行者にも似た趣を感じないではないのですが、西山には
貧しいプロレタリアートの住宅をより良くしたいというテーマが明確ですから。
しかし、そういった本人の主義・イズムを離れて、おびただしいスケッチ、写真、
日記類を見ていると、偏執的な記録魔ぶりに啞然とさせられ、いやいや、これは
科学的・実証的たらんとしての行為を超えて、(良い意味で)単なる性癖だろう、と。
参考文献:藤森照信『天下無双の建築学入門』(ちくま新書)
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tag : 建築