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★ 2017年9月に読んだ本 ★

青木翼『偽装事故』(評言社)
『第147回=文楽公演 平成29年7・8月 国立文楽劇場』
 (独立行政法人日本芸術文化振興会)
寺山修司『寺山修司全歌集』(講談社学術文庫)
『角川 短歌 8月号 2017』(角川文化振興財団)
青木正次『雨月物語(上)全訳注』(講談社学術文庫)……再読。
青木正次『雨月物語(下)全訳注』(講談社学術文庫)……再読。
石川淳『新釈雨月物語』(角川文庫)……再読。「二人の読書会」テクストでした。
『文楽床本集 国立文楽劇場 平成29年7・8月』
 (独立行政法人日本芸術文化振興会)
岩井志麻子『雨月物語』(光文社文庫)……女性の独り語りによるリメイク。
 着想は悪くないかと一見、思われるのですが、着眼点が活きていたのは、
 「白峯」くらいのような気がします。相模の正体として、待賢門院璋子
 持ち出してきたところで、崇徳院との因縁や西行との絡みから、なるほど!と。
 ただ、『雨月物語』全体の流れで見ると、“女の情念”は後景に抑えて、
 ホモセクシュアルな路線でまとめる方が、整合性は取れるんですよ。
 「仏法僧」だけは同性愛に引き込んでいますが、恰好のシチュエーションだった
 「菊花の契」を母子関係に落とし込まれても、嗚呼、勿体無いという気分。
三島由紀夫『宴のあと』(新潮文庫)……三島の読み直し作業は続いています。
三島由紀夫『音楽』(新潮文庫)
三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫)……マイ・クラシック。
 寺社仏閣など、京都ガイド本としても十分に活用できる内容に、改めて驚愕。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

Can't Help It

テラス・マーティンライヴ、どの曲もジャジーでファンク。
良質のブラック・ミュージックを堪能させていただきましたが、
中でも耳に染み通ったのが「I Can't Help It」。

 動画やアルバム『3CHORDFOLD』
 隠しトラックと異なり、テラス・マーティンの
 ヴォコーダーは抑え、ライヴではワイアン・
 ヴォーンがしっとりと歌い上げていました。
 元はスティーヴィー・ワンダーマイケル・
 ジャクソン
『OFF THE WALL』(1979)に
 提供したメロウ・チューンではありますが、
時代の流れを変えたマスターピースの他曲に、若干埋もれた印象もなくではなく。
21世紀に入ってから、その曲の空気感が嵌まってきたようで、後進のカヴァーが
増えているように見えます。テラス・マーティンもその線で採用したのでしょうか。
 

テーマ : Soul, R&B, Funk
ジャンル : 音楽

tag : 黒い音

Terrace Martin

 9月29日(金)、「ビルボードライブ大阪」に
 押しかけ、テラス・マーティン のライヴを
 楽しみました。18時半開演の1st ステージ。
 昨年に続いて、2回目となりますねえ。
 前回よりリラックスした印象で、バンド全体の
 アンサンブルもこなれた印象を受けました。
 ギターとベースは以前と同じメンバーですが、
ドラマーのトレヴァー・ローレンス・ジュニア(今夏、初リーダー作も発表)が、
なかなか、ぼく好みでして、冷静に見ても、かなり贅沢なバンド編成かと思われます。
メンバーや観客の名前で弄ったり、ヴォコーダーとサックスの二刀流で魅せたりと
余裕のステージングのテラス・マーティン。新プロジェクト、The Pollyseeds 名義で
アルバムもリリースしているので、そちらもチェックしなければいけません。
新作からの一曲「Intentions」も披露され、ぼくのG-ファンク魂を正面突破で直撃!
I like you, I like you, I really really like you ♪
当日のバンド・メンバーは以下のとおり。
       ☆
 Terrace Martin - saxophone, vocoder and keyboards
 Chachi - vocals
 Rose Gold - vocals
 Wyann Vaughn - vocals
 Keifer John Shackelford - keyboards
 Marlon Williams - guitar
 Brandon Eugene Owens - bass
 Trevor Lawrence Jr. - drums

テーマ : Soul, R&B, Funk
ジャンル : 音楽

tag : 黒い音呑む

グランサンクタス淀屋橋

神戸市・みなと元町駅の「旧第一銀行2017_09_26_グランサンクタス淀屋橋
神戸支店
」を目にした時、“辰野式”を別として、
外壁部分の再利用という観点から、真っ先に
思い浮かんだのが大阪市の分譲マンション
グランサンクタス淀屋橋」なのでした。
元は歴史的建築物である「旧大阪農工銀行
ビルで、辰野片岡建築事務所の設計により、
大正7年(1918)竣工。昭和4年(1929)には
建築家、國枝博が改修。オリックス不動産が
歴史的な建築物の外壁保存・再生の意向を示したことから、
鹿島建設が外壁の一部(全長約30m)を原形のまま
新築マンションの外壁として再生利用する“曳家(ひきや)工法”を駆使。
結果、現在の街を歩くぼくらも、正面部分(ファサード)に施された
イスラム風なアラベスク模様のテラコッタや、
コーナーの曲線(=カド丸)を平生から愉しめる仕儀となった訳です。
マンションは2013年に竣工。ところで、旧大阪農工銀行の設計事務所は、
名の表すとおり、辰野金吾の創立……本来は同ビルも赤煉瓦仕様
だったそうですが、國枝が改修時にテラコッタ・タイルを採用。
かくして、“隠れ辰野”ビルが誕生した訳です。
現在の見た目は異なれど、辰野作品の(表と裏の)外壁が
きちんと保存・再生利用されていることは素晴らしいことです。
なお、旧第一銀行神戸支店のファサード保存に、曳家工法は使われていません。

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テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 近代建築

高麗橋

2017_09_26_高麗橋. 大阪市内を流れる東横堀川は、淀川~
 大川から分岐していますが、大坂城築城の
 際に、外堀として改修されたそうです。
 東横堀川に架かるのが葭屋橋今橋
 「高麗橋」……。江戸時代の高麗橋は
 12公儀橋の1つで、西詰には江戸幕府の
 制札場が設けられ、里程元標も建っており、
 「中国街道」の起点ともなっていましたね。
 明治3年(1870)、大阪では初めての鉄橋
くろがね橋」に架け替えたのが、本木昌造。全国では3番目だったようです。
現在の鉄筋コンクリート・アーチ橋に架け替えられたのは昭和4年(1929)。
欄干の擬宝珠や西詰に在った「難波高麗館」(櫓屋敷)を模した柱が目印。
ぼくは橋を渡る人で、橋を見る人という自覚が薄くて、撮影後、
いつもロケーションを誤るなあ、と画像をチェックしては反省ばかり。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 近代建築

月刊 笑福亭たま

笑福亭たまさんの落語をよく聴きに行っています。
いつの間にか、まぁ、行ってみようかという感じで。
例えば、桂佐ん吉さんの場合、聴きに行くぞ!
という意識をもって足を運ぶのとは、対蹠的な気の持ちよう。
今回は9月26日(火)、「天満天神繁昌亭」にて18時45分開演の
月刊 笑福亭たま」(2017年9月号)を観に出掛けました。
この形式だと、「月刊 笑福亭たま 2015」を同年9月30日に鑑賞して依頼。
基本、たまをメインに、若手とゲスト落語家を交えて、
間に余興(?)を挟むといった構成で執り行われている落語会です。
今年の9月号のトーク・コーナーのテーマが「あなたの知らない繁昌亭」。
寄席小屋に関するプチ研究発表会といった観もあり、
高座の高さ、また一番席との間の距離の取り方などについて、
非常に興味深い指摘が多々窺われ、個々の噺の内容以前に、
寄席小屋の空間設定が、盛り上がるかどうかを大きく左右するという
見解には、唸らされるものがありました。たまさんの高座は、結構高め!
当日の演目は、以下のとおりとなります。
       ☆
 笑福亭智丸「天狗さし」
 月亭天使「十枚目」
    トーク・コーナー
 笑福亭たま「兵庫船」「庖丁」
    仲入
 桂三風「目指せ!ちょっと岳」
 笑福亭たま「最後の晩餐」

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語

Got A Brand New Bag

十日ほど前に、商店街でバッグを買った。2017_09_15_denim
ぼくのニュー・バッグ。昼下がりのアーケードの下、
ワゴンに吊るされていたデニム地のバッグ。
どう見たって手作りで、一点物でしかなくて。
そんなアイテムにぼくは、どうにも弱い。
たぶん、女物のパンツの再利用。
ぼくのシャツなり、靴なり、女物が多いから、
コーディネイトは端から気にしていない。
複数のバッグを時と場合によって使い分ける
なんて小器用さは、持ち合わせていないから、
お気に入りのバッグとは、とことん付き合う。
ぼろぼろになるまで。失くしてしまうまで。
大体そういう時期は、ぼく自身の一部が失われている頃合い。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

tag : つぶやき

バリ勝男クン。

03_バリ勝男くん。 だいぶ昔に相方から頂いた静岡土産……
 かつおぶしチップスバリ勝男クン。」です。
 静岡・焼津産、一味醤油味とパッケージ上の
 文字情報だけで、わかったような気分になって
 貰ったまま、冷蔵庫に収納すると、何か月もの間、
 放置した状態でした。もちろん、ぼくは象のように
 忘れることはありません。おもむろに取り出して、
 過日、賞味に至った次第。辛味、旨味を含め、
 もっと濃厚な味覚かと覚悟していたのですが、非常に
 あっさりと、ライトな食感でした。(ポテト)チップス的な
 スナック菓子ではなく、ふりかけに通じる軽やかさは
 何袋でも行けそう(1袋20g)。製造者は「シーラック」。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : おやつ

倫敦塔の Jane Grey

ポール・ドラローシュ(1797~1856)「レディ・ジェーン・グレイの処刑」を観て、
人は清楚な白いドレスの少女に同情を禁じえないでしょう。
ただし、タイトルを見ただけでは、レディ・ジェーンって誰? “9日女王”って何?
と、英国史~世界史に疎い人々は、居心地の悪さを覚えるやもしれません。
Jane Grey(1537~1554)は、イングランド史上初の女王とも目される人物。
ヘンリー8世(1491~1547)の妹の孫に当たり、8世が後継者の男児欲しさから
次々と妃を殺したり、離縁したりする中、王位継承権争いに巻き込まれたのです。
8世の遺言による継承順位は、1位エドワード、2位メアリ、3位エリザベス、
4位がジェーン・グレイ。3人目の妻との間の男児エドワードは、エドワード6世として
即位したのですが、病弱。最初の妻との間の女児メアリ、2人目の妻との間の女児
エリザベスは一時期、庶子として扱われたことがあり、その隙を突いて、舅である
ジョン・ダドリーがジェーンを担ぎ出してクーデター。陰謀は転覆し、メアリ1世
ジェーンをロンドン塔に幽閉。命だけは助かるかと思われたものの、1554年に起きた
ワイアットの乱の首謀者の一人に実父、ヘンリー・グレイがいたことでアウト……。
夏目漱石がロンドン留学中の体験を基にものした小品『倫敦塔』にも登場しています。

参考文献:中野京子『怖い絵 泣く女篇』(角川文庫)
       夏目漱石『倫敦塔』(青空文庫)

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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術小説建築

近世やまと絵の開花

2017_09_22_大阪市立美術館 9月22日(金)、「大阪市立美術館」まで
 特別陳列「近世やまと絵の開花」を観に
 お出掛け。土佐光起(1617~1691)の生誕
 400年
を記念して、“和のエレガンス”を紹介。
 室町時代、やまと絵の制作を主導する絵所預
 を世襲していた大流派ですが、当主(=土佐
 光元)の戦没、狩野派の台頭によって衰微。
 土佐光吉、光則は泉州・堺に拠点を移します。
 しかし、江戸時代を迎え、絵所預への復帰を
果たし、“土佐家中興の祖”と呼ばれたのが土佐光起なのでした。鶉図歌仙図など
趣深い画題も多いのですが、如何せん、「やまと絵」自体に対する距離感……
西欧の近代絵画の方にむしろ馴染んでしまう、伝統との断絶を痛切に感じるところ。
同美術館では、併せて他のコレクション展も開催しており、「源氏絵」「千花百果
―四季をめぐる中国書画―」「長尾雨山が見た中国書画」「中国の彫刻」も鑑賞。
やはり、仏像! 山口コレクションの数々には、身体が反応してしまいました。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術仏像

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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