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「怖い絵」展

9月12日(火)、兵庫県立美術館に「怖い絵2017_09_12_「怖い絵」展
展を観に出掛けました。同館の最寄り駅は
阪神・岩屋。特急電車が停まらないので、
大阪からだと神戸三宮まで出て、2駅後戻る
イメージ。うっかりしていると、乗り過ごします。
しかし、中野京子(ドイツ文学者)『怖い絵』
上梓が2007年……もう一昔前なんですねえ。
名画に潜む“恐怖”を様々な角度から掘り起こす
という“読み”が受けてのベストセラーでした。
或る意味、絵を純粋に観るという近代絵画以前に
先祖返りした格好です。近代絵画の理念が発生するまでは、
絵は単純に見る物ではなく、神話なり聖書なり、何らかの物語
読み解かせるための装置として機能していた訳ですから。
美大生か哲学者か何かでなければ、世の多くの人は絵を見る時、
何が描かれているのか? 何を言わんとしているのか? 
そんな答えを性急に欲しがるものです。みんな、“物語”が好きなようでして、
美術館で絵自体よりも解説文に読み耽ってしまう人らは多いですよね。
       ☆
恐怖という原初の感情(?)は探せば、どこにでも見つかるでしょうから、
展覧会としては、雑然としたコレクションになるだろうと予測していました。
中野京子という強固なフィルターを通さなければ、どうにもならないだろう、と。
6章に分けて展示され、神話と聖書/悪魔、地獄、怪物/異界と幻視/
現実/崇高の風景/歴史――の順で観て回りましたが、とにかく、酷い混雑。
企画は良いとしましょう。ただ、会場はとても絵を観るという雰囲気ではなくて。
特にジョン・ウィリアム・ウォーターハウスオデュッセウスに杯を差し出す
キルケー
」の前の行列といったら、何度足を運んでも、辟易とさせられました。
おそらく、ぼくにとって絵を観るという行為は、読書と同じことなのです。
カルト映画を観ることと同義で、非常に私的で、個に沈潜する作業のようで、
同じ見世物であったにしても、同好の士と密やかに愉しみたいものだなあ、と。
メインは、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵のポール・ドラローシュ
レディ・ジェーン・グレイの処刑」。ヘンリー8世の妹の孫で、“9日女王
と呼ばれていますが、実のところ、イングランド史上初の女王でもあります。
他に目を引いたのが、ギュスターヴ=アドルフ・モッサチャールズ・シムズ
ムンクの佳作も数点。フェリシアン・ロップスと再会できたのが収穫かも。
手土産にポスト・カードのほか、中野京子の角川文庫本を3冊買い上げました。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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(自称)。
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