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★ 2017年11月に読んだ本 ★

中野京子『怖い絵』(角川文庫)
中野京子『怖い絵 死と乙女篇』(角川文庫)
 ……元々がドイツ文学者なので、欧米文学に関する言及でにやりとさせられ。
 それとは別に、面白げな映画作品を紹介してくれているのが、うれしかったり。
中野京子『怖い絵 泣く女篇』(角川文庫)
『アルフォンス・ミュシャの世界』(堺市立文化館)
三島由紀夫『夏子の冒険』(角川文庫)
木村重信『はじめにイメージありき』(岩波新書)
 ……具体的なイメージが、思想・哲学に先立つこと。当然と言えば、当然。
 ただし、イメージを形象化する能力は動物に無いでしょ。履き違え不可。
 哲学~言葉が不要というのでなく、イメージを棄却した言葉が無力ということ。
 また、建築が何故、美的であることを要求されるのか? あるいは、建築が
 何故、芸術に含まれるのか?という設問にも、間接的な解答が得られます。
 「建築には、居住のための住居や穀物の保存のための倉庫などのもつ
 実際的な機能のほかに、象徴的な機能が本来的に附随している

『角川 短歌 10月号 2017』(角川文化振興財団)
森見登美彦『太陽の塔』(新潮文庫)……再読。
森見登美彦『きつねのはなし』(新潮文庫)
森見登美彦『新釈 走れメロス 他四篇』(角川文庫)
 ……11月の「二人の読書会」テクスト。昔、祥伝社の単行本で既読。
カズオ・イシグロ『夜想曲集』(ハヤカワepi文庫)……作者初の短編集。
 音楽がテーマですが、表題作「夜想曲」が非常に愉しく、良いです。
三島由紀夫『潮騒』(新潮文庫)……マイ・クラシック。
三島由紀夫『永すぎた春』(新潮文庫)……三島にしては、不用意な文章が
 散見され、肩の力を抜いて書き流した印象。“春”は嫌いなんだろうなあ。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

生身の釈迦

五台山 清凉寺」(=嵯峨釈迦堂)本堂の「釈迦如来立像」が
生身の釈迦”と呼ばれる所以は、釈尊37歳の生身の姿を伝える
霊像であることから……だったのですが、昭和28年(1953)、
釈迦如来像の体内から、奝然(ちょうねん)が封入した五臓六腑
願文、経巻などが発見されています。絹製の五臓模型ではあれ、
釈迦を正にリアルな“身体”として把握しようとする態度に驚かされます。
本尊同様に、体内封籠品も国宝指定を受けており、5色の絹で
表現された心臓、肺、肝臓、腎臓などは、世界最古の内臓模型
この像高160.0cm檀像は、他にも、鼻や耳の穴が抜けており、
額には銀製の一仏、目に黒水晶、耳に水晶が入れてあるなど、仏像を
生かそうとする執念が、隅々に至るまで詰まりまくった産物と言えそう。
生きている者を写した後、生きた物を造ろうとの強い意志が在ります。

テーマ : 仏教・佛教
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 仏像

嵯峨豆腐 森嘉

嵯峨嵐山駅から「清凉寺」を目指しての道すがら、2017_11_28_嵯峨豆腐森嘉
沿道に在る「湯どうふ 竹むら」でランチを取る予定。
嵯峨豆腐 森嘉」の豆腐を使った湯豆腐のコースを
狙っていたのですけれど……現地に正午前に入ろうと
計画どおりではあったのですが、誰もが考えることは
同じか、昼時分は沿道のどの店も行列が出来ていて、
待たねばならない状況。ランチ・タイムはずらそうかな
と逡巡しつつ、ひとまず、「清凉寺」へ到着しますと、
門前に「嵯峨豆腐 森嘉」の店舗自体が在ります。
出来たてのすし揚げ(1枚65円)、ひろうす(1個
205円)を買い求め、はふはふと軒先で頬張っている
と、その姿が呼び水になったのでしょうか、こちらでも
観光客らが列を作り、群れを成し始めていて……逃げろ! 

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 豆腐

清凉寺マナー

2017_11_28_本堂 11月28日(金)、JR山陰本線(嵯峨野線)に
 乗って、嵯峨嵐山駅で下車。いや、秋の京都を
 舐めていました。紅葉シーズンとは言いながら、
 外国人観光客でごった返していましたよ。
 風情も、侘び寂びもあったものではないな、と
 ぼやきつつ、ぼくの目的地は「清凉寺」一択。
 「国宝」展にて邂逅の成らなかった「釈迦如来
 立像
」とようやく相見えることになりました。
 同寺の通称“嵯峨釈迦堂”に表されるような
単なる本尊としてだけでなく、古代インドの優填(うでん)が釈迦37歳時の姿を写した
霊像の模刻(985)といわれ、東大寺の僧、奝然(ちょうねん)が中国(宋)から請来した
とされます。インド~中国~日本と伝来したので“三国伝来の釈迦像”、生前の釈迦に
生き写しであることから“生身の釈迦”等の異名もあります。この釈迦如来立像の
凄さは、由来にもあるのですが、(それ自体が模刻であったにも関わらず)同様の
スタイルのさらなる模像が、全国的に流行して造られたと経緯があります。いわゆる
清凉寺様式」で、例えば、「西大寺」の釈迦如来立像も同タイプでしたね。
特徴はガンダーラ様式の頭髪、両肩から張り付くように密着するインドグプタ様式の
衣、木目にも似た彫り“流水文”、3段に重なった裾――などでしょうか。一度見たら
忘れられなくて、あちらこちらのお寺で、あ、清凉寺様式だ!と、うれしくなります。
本堂で正面から、左右に行ったり来たりして斜めから、枯山水庭園を眺めた後も
再度、じっくりと鑑賞させていただきました。個人的にタイプではなかったはずが、
人気の程も十分に納得させられざるを得ない実力に感服させられた仏像でした。
「清凉寺」には他にも国宝の彫刻がありまして、源融絡みの話は後日また……。

テーマ : 仏教・佛教
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 仏像

上方落語四天王

ブラック・ミュージック好きならば、すぐに了解できる
ニュー・ソウル四天王の面々は――
 Curtis Mayfield (1942~1999)
 Donny Hathaway (1945~1979)
 Marvin Gaye (1939~1984)
 Stevie Wonder (1950~)
手元に持っているアルバムの枚数を数えてみたらば、
マーヴィン・ゲイが最多で、やっぱり、ぼくはマーヴィンが好きなんだなあ。
シルキー・ボイスは当然、生き様から(牧師の父に銃殺される)死に様まで好み。
ダニーは自殺、カーティスは事故で半身不随……と、いろいろ多難な面子の中、
今なお現役のワンダーは凄いなあ、と作品を別としても、その生命力に感嘆。
       ☆
さて、上方落語にも四天王が存在しました。
戦後、相次いで大看板が亡くなり、上方落語は滅亡したと言われる中、
復興の礎を築いたとされる4人は以下のとおり。
 6代目 笑福亭松鶴(1918~1986)
 3代目 桂米朝(1925~2015)
 3代目 桂春團治(1930~2016)
 5代目 桂文枝(1930-2005)
6代目・桂文枝は2012年、桂三枝が襲名していますが、
桂春之輔が近々、4代目・桂春團治を襲名する件について、
笑福亭たま過日の落語会でネタにしていました。
若干、会場の反応が薄いように感じたのは、上方四天王という
“大名跡”襲名が世間にはそれほど届いていないのかな? 
また、常より落語界を斜から見る視点に長けていると思われた
たまさんも、落語界の住人には違いないと実感してしまいました。

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 黒い音落語

行けないミュシャ

アール・ヌーヴォーを代表する画家、
アルフォンス・ミュシャ(1860~1939)の展覧会、
ミュシャ展~運命の女たち~」が11月26日(日)まで
美術館『えき』KYOTO」において開催されていたのですが、
結局、足を運べないままに終わってしまいました。
堺 アルフォンス・ミュシャ館」での企画展
あこがれ アルフォンス・ミュシャに魅せられた人々」を
観た流れで鑑賞するつもりだったのですが、とにかく時間不足。
(期間中、2回は訪れたかった「国宝」展も1度きりでしたし)
読書して、音楽を聴いて、物思いに耽る。ただ、それだけなのに
…… Call me, call me a dreamer too ♪

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

Free 2 Go

 殿下への追悼曲「Girl Meets Boy」を含む
 トリビュート・アルバムを制作中と報じられて
 いた Sheila E. が、政治色濃厚な新作
 『iconic』を発表。政治的なメッセージを
 どうのこうの言おうと、黒人(音楽)の歴史を
 振り返れば、切っても切れない関係であって、
 ほとんどがカバー曲で占められた今回の
アルバム楽曲の一つひとつを聴きつつ、思い起こしてみれば、いつか来た道……
逆に言えば、忘れてはいけないし、闘い続けて、守り続けていかなければ、無価値。
少なくとも、シーラ・E 姐御はお怒りの様子。歴史的名曲の数々で立て続けに連打。
ゲストにリンゴ・スターを招いてのザ・ビートルズ「Come Together」「Revolution」、
スライと思いきや、フレディー・ストーン客演「Everyday People」、マーヴィン・ゲイ
「Inner City Blues」「Trouble Man」、ワンダーは渋めの「Jesus Children Of
America」、ブーツィーのベースに歓喜するJBメドレー、まだまだ達者なジョージ・
クリントン
参加の「One Nation Under a Groove」「Mothership Connection」、
カーティス・メイフィールド「Pusherman」(……所謂 “ニュー・ソウル四天王”の中では
ダニー・ハザウェイが漏れてしまいました)
、ステイプル・シンガーズ「Respect Yourself」、
リー・ドーシー「Yes We Can」、ディオンヌ・ワーウィック「What The World Needs
Now Is Love」と、狙い過ぎてないか? 満腹感にうなされそうですけれど、やはり
殿下の「America」にKOされてしまいます。Candy Dulfer のサックスも激熱。
昨秋の殿下追悼ライヴでも、一瞬にして脳内が灼き尽くされるかの如く、
くらくらとさせられましたが。途中、「Free」のサビも交えられると、もう……ね。
 Be glad that U r free
 Free 2 change your mind
 Free 2 go most anywhere, anytime ♪

テーマ : Soul, R&B, Funk
ジャンル : 音楽

tag : 黒い音

勤労感謝落語会(再掲含む)

実際の「勤労感謝の日」は11月23日でしたが、翌24日(金)
18時30分開演の「勤労感謝落語会」を聴きに出掛けました。
会場はいつもの「天満天神繁昌亭」(大阪市・南森町)です。
労働者特集”と題した番組は“、「~屋」と付く演目で固める趣向。
爆笑派の笑福亭福笑が中心となった企画のようですね。
若手の笑福亭大智は仁智の弟子ですが、桂ざこば等に通じる
やんちゃ系(?)の匂いがします。唯一の弟子となる笑福亭たまも、
師匠の怪気炎を受けてか、常にも増して、わちゃわちゃとした雰囲気。
それはそれで楽しいのですが、全体的にハイ・スパート・レスリングじみた
落語会で終わりそうなところ、中入り前を締めてくれた林家小染さんが
まったりとした気分に落とし込んでくれ、ほっと一息つける安堵感でした。
福笑の「便利屋」、たまの「洗濯屋」は新作落語ですが、
「便利屋」みたいなネタを平然とやってのける福笑師匠、気が若い! 
一方、トリで(ほぼ)古典落語「代書屋」もしっかりと聴かせるという……
「代書屋」は元々、故・桂米朝の師匠であった4代目・桂米團治の創作。
伝統より爆笑”と強気で鳴らす福笑が、「代書屋」を取り上げるのが憎い。
演目は以下のとおり。
       ☆
 笑福亭大智「煮売屋」
 笑福亭福笑「便利屋」
 林家小染「上燗屋」
 中入り
 笑福亭たま「洗濯屋」
 笑福亭福笑「代書屋」

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テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語

THAI-YA-TAI

大阪市では御堂筋だけでなく、中之島のライト・アップも始まっていました。
月例の同人の合評会が中之島公会堂(=大阪市中央公会堂)で開催。
散会して、公会堂を飛び出せば、煌々と照るイルミネーションに
めっきり、冬の到来を感じ入らせていただきました。
(……まだ、リアルな紅葉も観に行けていないのに)
夕刻まで勤務していた曽根崎に舞い戻ると、久しぶりに「THAI-YA-TAI」へ。
チープな丸テーブルやビニール・シートで警戒する人もいますが、
或る意味、タイらしさを満喫できる空間とも言えます。
わらわらと出て来るタイ人の従業員も、片言でどきどきさせられます。
以前はお昼のランチや、祭りの出店でよく利用していましたが、
最近はさっぱり足が遠のいていました。まずは、ほろ酔いセットかな。
タイ風揚げ春巻、ヘルシー・ピリ辛春雨サラダとビールの組み合わせ。
パクチー・サラダ、豚肉のバジル炒め、ガイサテ(タイ風焼き鳥)を摘まみ、
カオクリアップ(タイ風おかき)、ゲーンキョワーン(グリーン・カレー)を
タイ米でしっかりと食して、デザートにタピオカ入りココナツ・ミルク、
もち米を使ったタイ風ぜんざい等。タイはタイでも、バンコクの如き大都市でなく、
一地方(イサーン)の現地の雰囲気の一端を味わえるように思います。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 同人呑むカレー

Love Suicide

18_心中宵庚申
19_紅葉狩
 11月文楽公演の第1部終演が15時20分頃。
 第2部から合流する相方と、文楽劇場前で落ち合い、
 お昼はするが焼を摘まんだだけだったこともあり、
 「たこ焼きえびす」で文楽セットを頂きました。
 第2部は16時開演。そうはのんびりしていられず。
        ☆
 まず、「心中宵庚申」。近松門左衛門世話物
 しては最後の作品らしいです。近松の心中物に対して
 ぼくは常に、どうして心中しなければならなかったのか?
 と不信を覚えてしまいます。それは劇作上のロジックに
 対する疑問。近松からすれば、実際に起きた心中事件
 であり、事実に対して迫ればよいのであって(それで
 観客が集まるのだから)、無から“心中事件”という
 有を創造する内的必然性は求められてもいない
 とすれば、ぼくの問いかけ自体も無効でしょうか? 
 近松の仕組んだ心中へ至る筋立て、理由付け自体は
 齟齬がありまくりにせよ、いずれにしろ、本当に心中が
 あったのだから、何かいろいろとあったんだろう、と
 観客は流せたのでしょうか? 純粋に、テクスト読みの
 ぼくとしては、近松の考えるような“心中”など無かった。
 現場に男女の死体が転がっていただけだ、と言いたく
 なります。ともあれ、上田村の段、八百屋の段、道行
 思ひの段を鑑賞。夫婦が心中するという(ぼく的には)
 難解な話で、近松の“義理”は重た過ぎると感じます。
       ☆
享保7年(1722)、竹本座にて「心中宵庚申」が初演。
同年、江戸幕府は心中を禁止するだけでなく、「心中」という言葉自体も禁じ、
相対死」に置き換えられるようになります。何かあれば、死刑というのも嫌ですけど、
どうあっても無理やり生かされるというのも、それはそれで息苦しくて嫌いです。
最後は「紅葉狩」で締め。この季節に観ると、感興が深まります。
非常に、晴れやかな気分で劇場を出ました。ぼくも狩らねばなるまいと思います。
 

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽呑む

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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