妄ソーセキ
3月29日(木)19時、大阪市の「あべのハルカス」近鉄本店
ウイング館8階、「近鉄アート館」で開催された
イッセー尾形の「妄ソーセキ劇場+1」を観に行きました。
実は、同館を訪れるのは初めてでして、お芝居と同じくらいに
劇場という場所に心を惹かれるので、ちょっと、どきどき。
大き過ぎず、狭過ぎず、ちょうどぼく好みのキャパでした。
ピンのお笑い芸人として「お笑いスター誕生!!」で名を売った
という意味では、でんでんとも被るかなぁと思うのですが、
怪優(?)路線に転じることなく、飄々とした一人芝居を
そのまま続けてきて、現在に至るといったマイ・ペースぶり。
舞台袖で衣装替え、化粧直しを行う様も、観客に丸見えです。
☆
演題にも掲げられているとおり、夏目漱石の諸作品が元ネタ。
フライヤーに目を遣ると、『坑夫』、『草枕』、『道草』、『門』、『明暗』
……言われてみれば、なるほど、そうか!と納得するのですけれど、
かなり、ぐしゃぐしゃに弄られ、10~20分の場に再構成されているため、
黙って観ている限り、よっぽどの漱石好きでもなければ、
その場では腑に落ちないように思います。面白いのはその崩し方。
噺家の語りから入る『坑夫』、『草枕』にぶち込む「夢十夜」の時間感覚、
『道草』からは島田でなく、島田の先妻・お常を引っ張り出し、
『門』では宗助の弟・小六のニートぶり、そうなれば、『明暗』は吉川夫人。
非常におかしくて笑えるのですが、会場を爆笑の渦に落とし込むのでなく、
くすくすとくすぐるように、訳のわからなさも許容できる空気を作った上で、
芸術味や文学性を匂わせる演出が、ずるいなあとも。名作文学作品から、
脇役の喰えない小市民を抜擢した時点で、お膳立ては出来ているのです。
ウイング館8階、「近鉄アート館」で開催された
イッセー尾形の「妄ソーセキ劇場+1」を観に行きました。
実は、同館を訪れるのは初めてでして、お芝居と同じくらいに
劇場という場所に心を惹かれるので、ちょっと、どきどき。
大き過ぎず、狭過ぎず、ちょうどぼく好みのキャパでした。
ピンのお笑い芸人として「お笑いスター誕生!!」で名を売った
という意味では、でんでんとも被るかなぁと思うのですが、
怪優(?)路線に転じることなく、飄々とした一人芝居を
そのまま続けてきて、現在に至るといったマイ・ペースぶり。
舞台袖で衣装替え、化粧直しを行う様も、観客に丸見えです。
☆
演題にも掲げられているとおり、夏目漱石の諸作品が元ネタ。
フライヤーに目を遣ると、『坑夫』、『草枕』、『道草』、『門』、『明暗』
……言われてみれば、なるほど、そうか!と納得するのですけれど、
かなり、ぐしゃぐしゃに弄られ、10~20分の場に再構成されているため、
黙って観ている限り、よっぽどの漱石好きでもなければ、
その場では腑に落ちないように思います。面白いのはその崩し方。
噺家の語りから入る『坑夫』、『草枕』にぶち込む「夢十夜」の時間感覚、
『道草』からは島田でなく、島田の先妻・お常を引っ張り出し、
『門』では宗助の弟・小六のニートぶり、そうなれば、『明暗』は吉川夫人。
非常におかしくて笑えるのですが、会場を爆笑の渦に落とし込むのでなく、
くすくすとくすぐるように、訳のわからなさも許容できる空気を作った上で、
芸術味や文学性を匂わせる演出が、ずるいなあとも。名作文学作品から、
脇役の喰えない小市民を抜擢した時点で、お膳立ては出来ているのです。
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