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★ 2018年4月に読んだ本 ★

同人誌の編集作業に追われて、読書がちっとも捗らないの。
というのは、言い訳ですね。それ以前に、プライベートの空き時間が全く無くて。
“お仕事”である以上、どれだけ過酷な職場環境であっても、
業務はきっちりこなす。同人誌も決めた日程内に発行する。愛したものは離さない。
とにかく、4月は以下の6冊しか読み切れませんでした。
       ☆
富岡多惠子『室生犀星』(筑摩書房)……「近代日本詩人選11」シリーズ。
 現在は文庫版の方が入手しやすいでしょう。
『角川 短歌 3月号 2018』(角川文化振興財団)
車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』(文春文庫)……再読。
 4月の「二人の読書会」テクスト。
三島由紀夫『岬にての物語』(新潮文庫)
 ……好悪のみで言わせてもらうと、「頭文字」「牝犬」「月澹荘綺譚」がお薦め。
泉鏡花『高野聖』(集英社文庫)……マイ・クラシック。
室生犀星『或る少女の死まで 他二篇』(岩波文庫)……5月「二人の読書会」テクスト。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

八丁味噌せんべい

春先に帰省していた相方から、4月上旬に頂いた土産物。2018_04_03_静岡土産
別に頂いた「紅ほっぺチョコ」などは明らかに静岡土産
ですが、こちらは文字どおりの愛知県。何故に愛知……?
疑問はさて置き、部屋に籠もって、遅々として進まぬ
同人誌の編集に唸っていると、気がくさくさするので、
冷蔵庫から取り出して、ばりばりと食べ始めるのでした。
八丁味噌風味とはいえ、恐れていたような塩分過多の
印象は薄く、程良い甘さもあって、さくさくとした歯応えも
味わえました。「愛知八丁味噌せんべい」の販売者は
愛知県蒲郡市の「三平本舗」。蒲郡市は東三河地方
と言われても、ぴんと来なかったので、枕元の地図を
広げて見ます。三河湾(~渥美湾)に面した市ですね。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : おやつ

栃尾揚げ

2018_02_12_栃尾揚げ 北陸に行くぞ! いや、北陸に行けるかな?
 なんて、もやもや思っていると、あれ、北陸
 自体、まともに行ったことがないかも……と
 記憶が曖昧模糊。2009年、劇団員として
 巡業していた時代、新潟県の糸魚川市民
 会館での公演に向かって、北陸自動車道を
 走るバスの中で揺られていましたっけ。
 そもそも、「北陸」と言っても、新潟県を
 含んだかなあ?と、あやふやな知識ですし。
金沢はどう見ても北陸ですが。ついでに、栃尾揚げもどう考えても、北陸地方の
郷土食ですけど、具体的に何県?と問われると、即答できないかもしれません。
栃尾は新潟県。以前、栃尾市に昇格(?)していた頃もありましたが、平成18年
(2006)、長岡市に編入されています。画像は、今年の“大阪市内教会巡り”の
際に利用した「炉暖」阿波座店で頂いた栃尾揚げ。普通の焼き鳥店かと思いきや、
日本酒の品揃えが素晴らしく、旬の京野菜が豊富。“手づくり壺プリン”など、
飛び道具的なメニューも楽しませてもらい……随分と昔のような気もしますが。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 呑む豆腐

金沢再読

泉鏡花は昔から大好きでしたが、来る5月27日(日)、
出展だけは先に決めた「第4回 文学フリマ金沢」にかこつけ、
金沢ゆかりの作家などを読み返し始めたところなのです。
鏡花は子守唄のようなもので、さらさらと代表作を復習。
盲点だったのが、室生犀星。詩は読んでいるにもかかわらず、
小説の方は読まず嫌い、というか、小馬鹿にしていたのか、
まともに手に取っていなかった模様。武者小路実篤なども
そうですが、日本文学史上の伏兵、隙間産業のような存在。
下手な小細工を弄さない、愚直な書き物に、息を抜ける人らも
多いでしょう。脇に逸れますが、なかなかにスリリングなのが
富岡多惠子『室生犀星』でした。『釈迢空ノート』同様に、
富岡多惠子の評伝は、やたら滅法、勉強になりますわ。
詩人が小説家になる試(ためし)はあっても、小説家は詩人になれない
……彼女の詩や小説は、きちんと読めていないんですけどねえ。

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説同人

昼呑みの失敗(2)

打たれ強いと自分では思っているのだけれど、
プレッシャーには弱いと思われ。すぐにお酒やら、何やらと
逃げ出したくなってしまうのです。駄目だね、わはは。
残業続きで心身が磨り減っているところに、同人誌の編集。
ちょっとでも隙があると、「編集が…編集が……」と
悪鬼のように呟いて、相方にも呆れられている今日この頃。
たまたま、午後から空いた身体に、美術館や映画館まで足を運ぶ気力は
ゲージ・ゼロ。大阪市北区の地下街「ホワイティうめだ」をそぞろ歩けば、
常に満席状態の「七津屋」に潜り込めそうな好機を逃さず、そのまま入店。
本店は京橋だったか。この店に慣れると、他店に行けなくなる価格設定。
アテの品質も全く問題無いしねぇ。さくさくっと呑んで、さっと帰るのが大人。
ぼくは大人になり切れなかった種族なので、ハイ・ペースで飛ばしまくり。
2軒目に「直福」まで流れて、随分とご機嫌に酔いどれてしまったかなぁ。
地下鉄・御堂筋線に乗車して、気が付けば、中百舌鳥まで来ていましたよ。
中百舌鳥は「文学フリマ大阪」会場の最寄り駅との印象で……ぱみゅぱみゅ。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 呑むおでん

内匠の不在

先日、「四月文楽公演」の鑑賞時、するが焼を頬張りながら、
プログラムをめくっていると、「彦山権現誓助剣須磨浦の段
京極内匠を語る予定だった豊竹始太夫の姿が見えません。
あれ、どうしたんだろう? プログラム後半に、太夫の部として
名前と顔の一覧が載っていますが、そこにも掲載は無くて。
不審に思いながら「文楽ニュース」を読んでいると、訃報を発見。
豊竹始太夫は本年2月10日、満50歳で逝去されていたようです。
合掌……「国立文楽劇場」での最後の出演は、本年1月の
南都二月堂 良弁杉由来桜の宮物狂いの段でしたか。
名鑑のエネルギッシュな風貌より枯れて見えましたが、まさか……
文楽のような古典芸能では、まだまだ若造。悔しかっただろうなぁ。

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽

三島の人間椅子

三島由紀夫ほど、私小説から距離を置こうとする一方で、
如何なる作品においても、自分自身の個人的な趣味嗜好を
随所に、執拗なまでに開陳してやまない作家も珍しく、
興味深いお人柄とは見受けられます。十代に書かれた
初期の短編「祈りの日記」、あるいは「椅子」において、
語り手の設定自体は異なりながらも、同一の嗜癖を
伸びやかに描出しています。何ら、悪びれることも無さそうに。
それが、三島少年が愛してやまなかった“人間椅子”です。
快楽は極めて私的。その人でなければわからない淫靡さを蔵します。
昭和16年(1941)8月21日には、同じ素材で、その物ズバリの
「真白な椅子」も起筆されており、どれだけ、好きだったのか?と。
       ☆
 いよいよ我慢がしかねますときには、わたくしいつも、松本さん、やす子くたびれちゃった、と申しまして、その場にたちどまって催促をいたします。またお椅子? と松本さんはそこがどこであろうとかまわずに、まっ白な看護服のかるいかさかさした音を立ててしゃがんでくれました。わたくしは、赤い散歩靴を空にうかせて、そのまっ白な光ったお椅子に、ちょこなんとこしかけました。
       ☆
「ねえ、お椅子」と私がねだった。
「また? 甘ったれやさん」
 看護婦は路傍に蹲踞した。その膝の上に私は腰を下ろした。
 私は今日まであれだけ心地のよい椅子というものを知らないのである。糊の利いた眩ゆい白さの裾が、座ると腰のまわりにどんな椅子カバアよりも流麗にふっくらとひろがって、彼女の散歩用の下駄の湿った鼻緒を隠す。この椅子はまた暖かみと、しじゅう爪先で安定をとっているための軽い揺動を併せもっている。


  

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説

実写グール

石田スイの漫画~アニメを原作とした萩原健太郎・監督の
実写映画『東京喰種』(2017)をVODで鑑賞しましたよ。
人の姿形をしていながら、人間を喰らう“喰種(グール)”の生態や
その捕食器官=“赫子(かぐね)”がどれだけ生々しく表現されるか?
といったところが、映画版としての見所になりますかねえ。
主人公の半喰種、カネキを演じたのは窪田正孝ですが、
ヒロインのトーカは清水富美加……かなり、難しい役どころなのに、
すんなりとダークな世界観に入り込んでいて、芸達者だなぁと感嘆。
仮面ライダー フォーゼ」での天真爛漫な城島ユウキ・役とは真逆
……しかし、例の「幸福の科学」出家騒動で、現在は千眼美子(法名)
つくづく、惜しい人材を失ってしまったことよ、と悲しくなります。
ちなみに、カネキから返り討ちに遭う喰種、ニシキを演じていたのは
白石隼也……「仮面ライダー ウィザード」なのでした!

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 映画特撮

尼崎小説

車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』を再読していました。
4月の「二人の読書会」のテクストだったものですから。
平成10年(1998)の直木賞受賞作。7年ぶりに読み返し、
主な舞台が三重県名張市の赤目四十八瀧……ではなくて、
アマ”=兵庫県尼崎市であることに、笑ってしまいますが。
小説の眼目からは離れて、やはり、豆腐・蒟蒻の抜粋から。
       ☆
 私は伊賀屋の女主人に連れられて、東難波町から出屋敷へ行った。そこには三和市場ナイス市場新三和市場という一ト続きの大きな市場があった。肉・鳥・魚・野菜・果物・豆腐・塩干物などを、それぞれに山と積み上げた店が、鉄骨普請の大屋根の下に数百軒看板を連ね、えらい景気である。市場中が沸ッ立っていた。
       ☆
 西行はん 西行はん 水無川を渡る時 蒟蒻の背
 骨
で足突いて 豆腐の奴で喉焼いて 何をつけた
 らなおるやろ 海で採った椎茸と 山で採った白
 わかめ 畠にはまぐり 夏降る雪を 火ィで焙っ
 て それやつけたらなおるやろ

       ☆
「こななこと言うのも何やけど、われはわしの命の次に大事なもんや。けど事情があって、それをきみに預かってくれ言うて、男が頼みよんやで。それをきみは蹴る言うのか。」
 これではどこまで行っても蒟蒻問答だった。


参考文献:車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』(文春文庫)

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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説豆腐こんにゃく黒い音

下大和橋

2018_04_20_下大和橋 大阪市の大川から南へ分かれた東横堀川
 阪神高速1号環状線の陰となり、暗い印象。
 川は上大和橋を過ぎた所で、西へ折れて、
 「道頓堀川」と名前を変えることになります。
 ということは、道頓堀川の最上流(?)に
 架かる橋が「下大和橋」ですね――。
 近松門左衛門『生玉心中』(1715)にも、
 「大和橋」の名は見えますが、名前だけ。
 宝暦年間に架かっていた「大和橋」と「中橋」の
うち、大和橋は廃され、中橋が「下大和橋」となったのです。橋も昔の橋ならず。今の
下大和橋は昭和62年(1987)に架け替えられた桁橋。橋長37.2m、幅員14.2m。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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