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★ 2018年5月に読んだ本 ★

同人誌のデータ入稿が押していて、読書が捗らなかったのは前月同様。
最新号が発行できて、現在は達成感よりも虚脱感の中にいます。
       ☆
『第150回=文楽公演 平成30年4月 国立文楽劇場』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
『文楽床本集 国立文楽劇場 平成30年4月』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
室生犀星『杏っ子』(新潮文庫)
『角川 短歌 4月号 2018』(角川文化振興財団)
吉田健一『金沢・酒宴』(講談社文芸文庫)……マイ・クラシック。
岡本太郎『美の世界旅行』(新潮文庫)
田中優子『春画のからくり』(ちくま文庫)
 ……春画の隆盛と錦絵の発展は江戸文化の裏表でしょ。
ヒノモトテルヲ『バイバイひつじ』(Studio planets)
 ……「第4回 文学フリマ金沢」で入手した絵本。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

犀川大橋

2018_05_28_犀川大橋 金沢入りする前に、敬愛する吉田健一
 『金沢』を読み返していて、本当に良い小説
 なのですが、作中度々、犀川に架かる鉄橋に
 ついて触れられており、これは是非とも、目に
 入れておきたいものだと考えていたのですよ。
 金沢市内を流れる犀川男川浅野川
 “女川”として比され、また、犀川は室生犀星
 浅野川は泉鏡花と関連付けられることが多々
 あります。断然、ぼくは泉鏡花をリスペクトして
いますけれども、犀星も毛嫌いしてはいないし、実際に渡った「犀川大橋」も好みです。
年譜で知られる吉田健一の金沢初探訪は、昭和32年(1957)。国道157号に架かり、
大正13年(1924)施工の橋ですから、吉田の見た鉄橋は現在の橋と基本的に同じか
と思われます。ただし、5回ほど、塗り替え工事が行われており、現在は青灰色系5色
グラデーションとなります。設計は関場茂樹。橋長62.3m、全幅員21.7~23.7m。
形式は一径間鋼・曲弦ワーレントラス橋で、国の登録有形文化財(第17-0040号)。
       ☆
 併し金沢では犀川の向うの家がこっちの家に話し掛けていた。それは家だけだっただろうか。内山はその家がある丘から広い道を通って金沢の賑かな部分に降りて行く所に犀川に掛っている鉄橋を初めは不恰好なものに思っていたが、それを何度か歩いて渡ったり車で過ぎたりしているうちにその橋が金沢に住むものには金沢の一部である為にそれが事実そうであることに気が付いた。これは放送用の塔を立てた川向うの建物と同じでその橋に雪が降っている時と橋が春の日差しを受けている時と違うのはそれがその橋であることに変りはないからだった。その橋を何代の人間が渡ったかに就て心配することはないのはその歴史を調べれば解った。今は冬でもその時刻の日光を浴びて鉄橋の肌が温っている筈だった。それは現にそこにいるのと同じ感じで内山は鉄橋のことから丘の上の家にいる自分に戻った。この推移は自然であって鉄橋と内山がいる部屋を繋いで金沢という町の空間を拡げた。犀川の川原まで降りて行けばその鉄橋が見える筈だった。

参考文献:吉田健一『金沢・酒宴』(講談社文芸文庫)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 小説近代建築

金沢おでん(2)

文学フリマ」翌日は、北鉄バス1日フリー2018_05_28_「能加万菜市場屋」
乗車券を使って、浅野川から犀川まで
周遊していたのですけれども、昼時分には
再び、近江町市場へ立ち寄りましたよ。
今回は能加万菜市場屋」を利用しました。
蟹の看板が仰々しいですが、大阪人には
脚が動いていないだけで、減点材料です(嘘)
海鮮・寿司がメインとはいえ、金沢おでんも
供されて、「おでんプログラム(13)」に編入。
赤巻きばい貝車麩が無いと、“金沢おでん”ということを忘れそうになります。
相方は特選でかネタ寿司(10貫)、ぼくは能登牛炙り寿司も注文しましたねえ。
冷酒に「竹葉」と「加賀鳶」を選び、チェイサーには「金沢砂丘サイダー すいか姫」。
器に九谷焼を使うなど、それなりのおもてなしも、精算すれば、観光客向け価格かな。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : おでん呑む陶磁器

金沢おでん(1)

2018_05_27_「いっぷくや」 石川県金沢市まで来て、まさかの「おでん
 プログラム(12)」が発動しましたよ。いえ、
 “金沢おでん”の存在は、ちゃんと聞き覚えて
 いたはずですが、「文学フリマ」にばかり気を
 取られていたことから、現地に足を運ぶまで
 すっかり記憶から抜け落ちていた格好でした。
 失敗、失敗。フリマの当日、昼時に“おみちょ
 (=近江町市場)に足を運び、あらかじめ、
 目をつけていた「いっぷく横丁」に入りました。
酒、海鮮(寿司)、おでん、浜焼きの複数店舗から成るフード・コートのような造りです。
       ☆
混雑していたので、相方やT木さんに断った上で、立ち呑みスタイル。
のど黒寿司や焼き牡蠣なども注文していましたが、
ぼくの目当ては当然、“金沢おでん”の「いっぷくや」です。
ぐつぐつと煮えるおでん鍋を覗いてみると、ぱっと見は普通のおでん。
新井由己(人は人、テクストはテクスト)の著作などを思い起こしつつ、
独特のおでん種を賞味。ばい貝は串で身を抜いて食します。
赤巻きは何のこと?と思っていたらば、要は蒲鉾でして、他にも
練り物の数は多く、金沢も海の幸が豊かな漁港だったと再認識。
「いっぷくや」オリジナルの種としては、蟹の甲羅にのど黒の身を詰めた
のど黒面”などを頼みました。愉快な気分にさせてくれたのは、
「いっぷく横丁」に入っていた北陸の酒蔵「六角」で、
行きずりの旅人風情に親切に応対していただき、ちょっぴり感動。
手取川」を1本空けてしまい、「加賀の月」に切り替えたのでした。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : おでん呑む

枯木橋

2018_05_28_枯木橋 第二次世界大戦で空襲を免れた金沢市には、有数の
 近代建築等が存在し、出掛ける前から下調べは行って
 いたのですが、2日足らずでは到底、押さえられる訳も
 ございません。それでも、当初の企図には無かった
 掘り出し物に出会えると本当にうれしいもので、例えば
 「枯木橋」。名近代建築「金沢文芸館」(旧「高岡銀行」
 橋場支店)
を正面に見て、右手に架かっている小ぶりの
 橋です。コンパクトで、街の風景に溶け込んでいるような
 佇まいが素敵です。城の最も外側に巡らした土や石の
 囲いは“惣構(そうがまえ)”と呼ばれていまして、その堀が
 “惣構堀”。第2代藩主・前田利長が慶長4年(1599)に
 築いた2つの堀の一方、東内惣構堀に架かっています。
「枯木橋」の名の由来にはいくつかあるようで、元亀・天正の乱(1570年代)によって
焼き払われた「久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎのみや)」境内の枯れた林に因むという
説、正保年間(1644~1647)頃までは丸木を並べた橋で、その傍らに在った1本の
枯れ木に因むという『越登加三州志』説、『亀の尾の記』でも、元は丸木を縦に
並べた物で、橋の脇に立っていた榎が後に枯れるも、そのまま残っていたという記述。
……約400年以上の由縁がどうあれ、現在の橋自体も明治25年(1892)4月の竣工。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 近代建築

第4回 文学フリマ金沢

5月27日(日)、「第4回 文学フリマ金沢」が2018_05_27_ITビジネスプラザ武蔵
開催されました。前乗りした他の同人らは、
先にブース設営を始めており、開場11時に
入る予定が、ついつい、近江町市場の探索に
かまけて、遅刻してしまいましたわ。大体の
場所は前夜、押さえていたつもりでしたが、
会場の「ITビジネスプラザ武蔵」が意外と
探しづらく、同施設の入った「金沢スカイビル
一部が「MEITETSU m'ZA」に組み込まれて
いるので、最初から(旧)名鉄丸越と併記していればよいのに、と。
6階にエレベーターで上がり、顔を合わせた同人らに挨拶。
出店は約90ブースで、大阪や京都の4~5分の1程度かな。
10分もあれば会場を一巡でき、目ぼしい同人誌を入手しました。
エムザの向かいが近江町市場。昼呑みに出掛けると、
手土産を持って会場に戻りました。大阪や京都でも出店していた
作家のKさんは金沢にも出張ってきていて、本当に頭が下がります。
文庫本を1冊購入するとともに、国産・泥鰌の蒲焼きを差し入れ。
市場の「新力水産」で購入した物で、酒肴にぴったりの濃厚なたれ。
当日企画の一つが、14時半から5階研修室1において催され、
その「朗読・リーディングセッション in 文フリ金沢」に飛び入り参加。
司会は黒瀬珂瀾。景品(?)にモロゾフのフルーツ・ゼリーを頂きましたよ。
金沢でも他会場同様に、16時の撤収。今回の収穫は以下のとおり。
       ☆
『トーキングヘッズ叢書(TH Series)No.74』(アトリエサード)
木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』(文春文庫)
木下昌輝『衆刊戦春 ショートショート集 iXA-Spring vol.1』
木下昌輝『三国志のライバル学 その壱』
『真砂集』(1975年生まれ短歌アンソロジーの会)
ヒノモトテルヲ『バイバイひつじ』(Studio planets)
沙世子『見神』(第七の封印)
沙世子『針葉樹林の怪獣』(第七の封印)

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説同人呑む

夜の尾山神社

2018_05_26_尾山神社 翌日の「第4回 文学フリマ金沢」に備えて、
 大阪発18時12分のサンダーバード39号に
 乗り込みました。金沢着20時56分でした。
 金沢駅から武蔵辻(近江町市場)まで進み、
 香林坊の方角へ歩を進めました。その夜の
 宿泊先の所在地を確認したところで、まだ
 チェック・インまで時間が空いていたことから、
 「尾山神社」を詣でました。見た瞬間、嘆声!
 金沢の夜の宝石箱のようでした。綺麗過ぎ。
神社の神門なのに、和漢洋折衷の何でもありスタイル。ギヤマン・ガラスの嵌まった
最上階の部屋は22時まで明かりが灯っていました。大昔は灯台代わりだったとか。
初代加賀藩主・前田利家と正室・おまつの方を祀り、神門の竣工が文明開化の
真っ只中となる明治8年(1875)。手掛けたのは大工~発明家の津田吉之助

参考文献:藤森照信『建築探偵 神出鬼没』(朝日文庫)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 近代建築

小磯良平と吉原治良

会期(3月24日~5月27日)もぎりぎりに押し迫った2018_05_25_「小磯良平と吉原治良」
5月25日(金)、「兵庫県立美術館」へと急ぎました。
阪神電車で、岩屋駅から歩きます。「小磯良平と
吉原治良
」展の鑑賞です。小磯良平(1903~1988)
吉原治良(1905~1972)の画風・作風は、全く
異なるように見えますが、ほぼ同時代に、阪神間を
主な拠点として活動した2人の作品を並置することで
対照性と類似性を浮き上がらせ、阪神間モダニスト
としての両者の画業を振り返る――という企図です。
共に馴染みのある画家ですが、ゆったりと、落ち着いた
心持ちで2人の作品を観直せ、秀逸な展示会でしたよ。
吉原が戦後に描いた「子供たち」、「小さな噴水」、
涙を流す顔」は柄にもないタッチで、泣けてきましたし。
展覧会とは関係無いのですが、退館の際に老嬢らが囁き交わす
「安藤(忠雄)さんの建物は寒いねん」を小耳に、思わず苦笑。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術建築

下城見橋

201_05_18_下城見橋 大阪市・森ノ宮で呑んだ夜、食後の散歩を実行。
 団地や車輌工場を左手に眺めながら、ずんずんと
 北上していくと、平野川もとい第二寝屋川
 架かる「下城見橋(しもしろみばし)」に出喰わします。
 名前から想像できるとおり、上流に「上城見橋」、
 「下城見橋」と「上城見橋」の間には「新城見橋」も
 在り。新城見橋と下城見橋の間で、西流してきた
 第二寝屋川に、北流してきた平野川が合流します。
 下城見橋から西方を眺めれば、当然の如く、大阪城
 天守閣、JR環状線、「弁天橋」、OBPの明かりが、
 目に映るのです。ちょっとした距離なのに、人里離れた
 感じが強く、人恋しくなるかも……京橋は目と鼻の先。
 

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag :

じらいや

2018_05_23_じらいや 彼との出会いを記しておこう。彼を最初に
 「露天神社」で見かけたのが、5月14日の
 正午過ぎ。お初天神の境内には、干支の
 オブジェなど、年々、数多くの彫刻類が
 増殖しているので、特に驚かないにせよ、
 一体、何者かが気には掛かりました。
 蛙(蝦蟇)に乗っていることから自雷也
 (=児雷也)か、寺社に設けられたことから
 吉野山の狛蛙の係累なのか? もやもやと
した気分になりましたが、数日後に説明板が設置されて、疑問は氷解しましたよ。
「大阪御堂筋アート 2018」(5月16日~6月14日)に出展された作品の一つ、
加藤勝久氏の「じらいや」でした。一見ブロンズ風ですが、素材はFRP。
撮影した23日は雨。「水を得た魚」ならぬ「水を得た蛙」のように瑞々しくて。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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