黒い太陽/地底の太陽
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腕の長さ25m――昭和のウルトラマン
(40m)や大阪城(約55m)よりも高いですね。
「太陽の塔」には表向き3つの顔があります。
未来を表す頂部の“黄金の顔”、現在を表す
腹部の“太陽の顔”、過去を表す背面の
“黒い太陽”です。この“黒い太陽”ですが、
当初の岡本太郎の構想には無かった模様。
万博協会の石坂泰三会長へのプレゼンが
1967年12月22日でして、押し迫る12月
14日、基幹施設プロデューサーの丹下健三
から急遽、リクエストが入ったらしいのです。
「お祭り広場にも顔ほしい」と。決して、
やっつけ仕事ではありませんが、ほとんど
即興に近い仕事ぶりではないでしょうか!
間近で見上げると、はっきりわかりますが、
“黒い太陽”は陶板タイルから成っています。
この陶板3,000枚が信楽焼。しかも、顔の
円形部分こそ黒色ですが、取り囲む炎の
部分は濃緑色でした。印刷物でも見落とされがちですが、単純な黒一色ではなく、
釉薬の深い色味を湛えた顔に、周囲のコロナがイタリア産のガラスモザイクタイル。
☆
もうひとつの画像は、「あべのハルカス美術館」での「太陽の塔」展にて撮影。
「太陽の塔」の内部撮影は禁止されているため、代わりに“地底の太陽”の
原型模型で、「海洋堂」が協力していたようですね……それより、塔外部からは
見えない“第4の顔”があったことを想起すべきでしょう。1970年当時も、
「太陽の塔」を上る前に、入場者が潜らなければならなかった地下展示
「過去:根源の世界」に鎮座していたのが、縦3m×横13mの“地底の太陽”
でした。1993年頃、兵庫県内に在ったという噂を最後に、行方不明のまま。
現在の「太陽の塔」の地下で出迎えてくれるのは、2代目となります。
参考文献:『太陽の塔ガイド』(小学館クリエイティブ)
平野暁臣『「太陽の塔」新発見!』(青春出版社)
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術