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笑福亭米朝

昨年、「六代目笑福亭松鶴生誕百年祭」と銘打って、
一門の落語家の会が「天満天神繁昌亭」や「動楽亭」で、
1週間ばかり、開催されました。直弟子らの集まった夜席の
ハネ太鼓(追い出し)を叩いてくれたのが、たまたま、
ゲストで来場していた桂米團治だったといいます……
上方落語四天王の2人の関係を考えると胸が熱くなります。
その“生誕百年祭実行委員会打ち上げ公演”を聴きに、
2月5日(火)、「繁昌亭」へ出掛けてきました。18時半開演。
その名も「笑福亭が米朝一門の噺をやってみる会」で、
完全に企画の勝利です。めちゃくちゃ、面白かったですよ。
師匠からきちんとネタを教わったことがないと言う笑福亭一門が、
故実に喧しく、端正な芸風と見られている(実はそうでもない
と思うのですが)米朝落語にチャレンジするという試みでして、
米朝のネタは本やYoutube で聞き覚えだけで、他の噺家を通して
きちんと教わった者がほとんどいなかったという恐ろしさ。
       ☆
いきなりの「東の旅」で、笑福亭生喬の張り扇や小拍子の
扱いは、よく頑張っていたと思います。たまは上手く端折って、
つないだ印象。鶴二の端折り方は駄目を出されていましたけれど
(最初に女房に起こされる描写が無い「天狗裁き」では、
単なる夢落ちになってしまう)、エッセンスは捉えていたか、と。
逆に、笑福亭つる吉(鶴笑)や岐代松は、わちゃわちゃして、
落ち着かなかったです。会の趣旨とすれば当然ながら、
今回も招かれていた桂米團治は、6代目・松鶴の得意ネタ
質屋芝居」をたっぷりと演じました。かなり、唸らされました。
小米朝のイメージがずっと強かったのですが、還暦ですものね。
歌舞伎や踊りもしっかり勉強しているなあ、と震えてしまいました。
       ☆
座談会では、米團治の父=故・桂米朝に対する冷静な分析が面白く、
米朝は上方四天王と並び称されながらも、他の3人にコンプレックスを
持っていた、と。近鉄もしくは南海電車沿線に住んでいないと
噺家ではない、と豪語する松鶴を別にしましても、米朝自身は
兵庫県・姫路市生まれの満州育ち。その後も東京へ出たかと思えば、
戻ってきて兵庫県・尼崎市に住んでいましたから。ただ、だからこそ、
東京をはじめとする標準語圏では、上方落語の中で最もわかりやすく、
全国区的に受け容れられたのではないか、との指摘でした。
ぼくは加えて、「書く」ことを挙げておきます。四天王の中でも
(第三者の手になるものを含めても構いませんが)、米朝ほど、
多数の著作物を残した落語家はいないと思われます。
それこそ、話す落語家が、書き物を多く手掛けているという不思議。
書くことと話すことを同等の次元で成立せしめようとする意思こそ、
ローカルな存在を抜け出て、上方以外でも通用する“上方落語家”像を
創出したのではなかろうか、と愚考する訳です。例えて言えば、
おどろおどろしい土着的なミステリーが売れてしまった横溝正史が、
実は都会的なセンスを持った編集者出身だったように……。
       ☆
 笑福亭生喬「東の旅発端」
 福亭たま「宿屋町」
 笑福亭鶴二「天狗裁き」
 笑福亭つる吉(鶴笑)「抜け雀」
 笑福亭岐代松「狸の賽」
 桂米団治「質屋芝居」
  仲入り
 打ち上げ座談会
 笑福亭伯枝「茶漬間男」
 笑福亭竹林「一文笛」
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テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語小説

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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