由良助を待ちながら

公演」第1部を鑑賞しました。第154回文楽公演は、開場
35周年記念でして、一年かけて『仮名手本忠臣蔵』の
“通し公演”を行うという趣向。10時半に開場、11時から
上演ですが、さすがの人気演目で場内はびっしり満席。
私事ながら、4月3日来、職場で眼鏡を紛失しており、
人形遣いの細かい所作を観察できないのが、ちょっと
残念とはいえ、一生懸命に目を凝らします。珍しく、
「幕開き三番叟」にも間に合いました。4月公演では、
「仮名手本忠臣蔵」大序から四段目までを愉しめます。
鶴が丘兜改めの段/恋歌の段と来て、二段目。
☆
桃井館力弥使者の段(=通称「梅と桜」)は、国立文楽劇場で初上演とのこと。
「ぢつと見交はす顔と顔、互ひの胸に恋人とものも得言はぬ赤面は、梅と桜の
花相撲に、枕の行事なかりけり」と初々しい恋人たちの姿が、一服の清涼剤。
大星力弥は吉田玉翔。本蔵松切の段の後、25分休憩。大急ぎで劇場を抜けて、
千日前通を渡り、「マイティ・ルゥ」のカウンターでチキン・カレーを頂きました。
三段目、四段目になると、「文楽鑑賞教室」で見覚えた場面もあり、馴染みます。
下馬先進物の段/腰元おかる文使いの段/殿中刃傷の段/裏門の段……高師直
=桐竹勘十郎に「鮒侍」と罵られる塩谷判官が吉田和生。ただ、ぼく個人のイメージ
ですが、吉田和生の飄々とした雰囲気が濃く、高師直のヒールぶりが突出し過ぎて
しまう印象。四段目の花籠の段は、桜が籠に活けられており、今の季節にぴったり。
塩谷判官切腹の段(=「通さん場」)/城明渡しの段まで。さて、塩谷判官の待つ、
そして、ぼくら観客の待つ大星由良助は誰が遣うかと言えば、吉田玉男。抜群の
安心感を覚えます。外へ出れば、16時近く……一日での通し公演は無理よねえ。
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