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さくらねこ

2019_09_04_さくらねこ 大阪市・梅田の「お初天神通り商店街」の
 南の端っこ、あのギリシア神殿風の異観で
 よく知られていた「足立宝石店」(2011年
 閉店)の跡地――ぼちぼちと、再開発が
 進められていますが、その工事中の養生幕に
 公共財団法人「どうぶつ基金」の展開する
 「さくらねこ」事業のPRが載っており、日夜
 通勤の際に、否が応でも、目に飛び込んで
 くるのです。猫に不妊手術を施すことにより、
殺処分ゼロを実現しようとの目的。手術済みの目印として、V字形にカットされた耳先
さくら耳を持つ猫が、「さくらねこ」と呼ばれています。動物愛護思想がどうのと
いったことでなく、ぼくが思いを馳せるのは、梶井基次郎の夢の続きですけれども。
       ☆
 猫の耳というものはまことに可笑(おか)しなものである。薄べったくて、冷たくて、竹の子の皮のように、表には絨毛が生えていて、裏はピカピカしている。硬いような、柔らかいような、なんともいえない一種特別の物質である。私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやって見たくて堪(たま)らなかった。これは残酷な空想だろうか? 
 否。全く猫の耳の持っている一種不可思議な示唆力によるものである。私は、家へ来たある謹厳な客が、隣へあがって来た仔猫の耳を、話をしながら、しきりに抓
(つね)っていた光景を忘れることが出来ない。
 (梶井基次郎「愛撫」)

参考文献:彩図社文芸部 編纂『文豪たちが書いた 「猫」の名作短編集』(彩図社)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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