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折々の豆腐(11)

佐藤衛『十四歳の兵』
町並みはミニチュアなれど江戸に聞く竿を売る声豆腐売る声
       ☆
同じく、『角川 短歌 10月号 2018』の書評中に見出した豆腐詠。
作者は太平洋戦争末期(1945年3月)に14歳で、海軍少年兵を志願し、
広島県の大竹海兵団に入隊したそうです。粗忽にも、広島の人か、
あるいは在東京の人かと思いましたが、どうも北海道の人のようです。
ミニチュアの江戸の町並みを目に留めたのでしょうか。ぼくとしては
江戸東京博物館」のような施設を思い浮かべたのですけれど、
全国各地に類似の博物館は少なくないでしょうし……ぼくの近所でいうと
大阪くらしの今昔館」がありまして、以前と同じならば、故・桂米朝
師匠のアナウンスが流れているはずです。さて、掲出歌において
豆腐売る声」などが、博物館のような場所で、実際に流れていたのか?
それとも、“心の耳”(記憶)に聞こえてきたのか?で、違った鑑賞法に
なりそうです。実際に音声として提供されていたのならば、ミニチュアの
町とはいえ、リアルな豆腐屋の声に飛び込んできたことに対する驚き――
ただし、その場合、感動は若干平板で、散文的な嫌いがあるのは否めず。
対して、効果音声などは使用されておらず、町並みの模型を眺め入る
うちに、心の奥底から竿竹売りや豆腐屋の声が蘇ってきたというならば、
しみじみと感じ入るものがあります。書いていてはっきりしたのですが、
短歌的には間違いなく後者で、前者のように事実、効果音声を場内で聴いた
などと受け取るのは、足繁く博物館に足を運ぶような者だけかもしれません。
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テーマ : 短歌
ジャンル : 小説・文学

tag : 短歌豆腐

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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