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重吾メモ(1)

読もう、読もうと思っていても、ベストセラー小説なんて気恥ずかしい。
2~3周回って、ほとぼりが冷めたくらいがちょうど良いと思っていまして、
昭和のベストセラーで、忘れられた頃合いの黒岩重吾(1924~2003)。
ちくま文庫から、作家の原点となる西成を舞台とした短編集が2冊、
復刊されているので、手を出してみました。大阪の地誌的な目線で
読み込んでしまうのですが、引っ掛かった個所をピック・アップ。
       ☆
遣り手ばあさんの兼子はいつもきん子に、
「もうちょっと、頭の手入れして化粧もちゃんとしたら、ミス大阪でも令嬢プールでも大きな顔で勤められるのになあ」
 二つとも大きなアルサロ
である。だがきん子は顔を振る。
「うちはアルサロなんか行きとうない。もし出世できるんやったら、小料理屋でもやりたいなあ」

 ※アルバイトサロンの略。主婦や学生がアルバイトでホステスをするキャバレー。
       ☆
「アルサロ」どころか、キャバレー自体、どういう物だったか、
よくわからなくなってしまった現代ですけれども、ぼくの愛好する
ミス大阪」(「鳥よし」グループ)の前身がアルサロだったのか、
それとも、名を借りただけなのか? なかなか気になるところです。
しかし、何より、「令嬢プール」というネーミングが凄い!
       ☆
 女の視線が高男のグラスに注がれた。
「それじゃこの店で、皆さんが飲むもの、日本の安いウイスキー
 高男はかっとした。顔に血が映える。
「名前をおっしゃって下さい」
 バーテンも少し頭に来たようである。
トリスだ、トリスだ」
 と男が言った。
「僕もトリスだ」
 高男はウイスキーを一息に飲んだ。出よう、と思ったが、傍の女が放つ甘い香水の匂いが、高男をとらえて離さない。

       ☆
これも、ちょっと酷い。たまに呑むと、良いんだけどね。
贔屓にしているつもりはないけど、頑張れ、サントリー!
という気持ちになってしまいます。1人の女友達が昔、
北新地に勤めていて、常連客だった黒岩重吾から
著書を何度も頂いたそうですが、処分してしまったと述懐。

参考文献:黒岩重吾『西成山王ホテル』(ちくま文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説ウイスキー

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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