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★ 2020年1月に読んだ本 ★

『エクセル便利技一覧』(アントレックス)
谷崎潤一郎『蓼喰う虫』(新潮文庫)
 ……マイ・クラシック。1月の「二人の読書会」テクスト。
『角川 短歌 12月号 2019』(角川文化振興財団)
高橋源一郎『動物記』(河出書房新社)
三島由紀夫『豊饒の海(一) 春の海』(新潮文庫)
町山智浩『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか』(太田出版)
根本敬・湯浅学『ドントパスミーバイ』(河出書房新社)……その昔、“特殊漫画家
 根本敬は楽しく読ませてもらったから。また、根本の師匠である湯村輝彦が、
 ソウル・ミュージック好きであることから、時に油断できないネタもあってねぇ。
 「幻の名盤解放」やら、山田花子やら、村崎百郎やら、いろいろ懐かしくなります。
 何故、生き延びたのか、生き延びてしまっているのか? 何をやるのか? 
『第157回=開場35周年記念 文楽公演 令和2年1月 国立文楽劇場』
 (独立行政法人日本芸術文化振興会)
『文楽床本集 国立文楽劇場 令和2年1月』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
『“江川式”擬洋風建築』(LIXIL出版)
『市中に山居をつくる』(中之島香雪美術館)
三島由紀夫『豊饒の海(二) 奔馬』(新潮文庫)
丸谷才一『女ざかり』(文藝春秋)
黒岩重吾『背徳のメス』(新潮文庫)
吉田杉明『イラスト六法 わかりやすい交通事故』(自由国民社)……山川直人・絵。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

勤しむ。

1月末日(金)、大阪市・南森町の「一天」で、軽く腹拵え。
ドリンク2杯とアテ2品で800円のセットがあり、“せんべろ
基準をクリアしています。焼きそばで締め、「ツギハギ荘」へ。
19時からの落語会「しん吉、勤しむ。」を聴きに行ったのです。
桂しん吉は吉朝の弟子の一人。今年に入って2回目の遭遇。
鉄ちゃんばかりの客層ということもないでしょうが、男性客が
多めに感じられました。最初の噺は、ぎりぎり間に合ったか?! 
初天神」。天満人のぼくとしては、何とも、心地良いネタです。
そう言えば、最後に凧揚げをしたのは、いつになるのだろう…
…米朝師匠は、上方落語の伝統を重んじて、凧を「イカ
として演じていたそうですが、現代では「凧(たこ)」でないと
通じませんねえ。続く鉄道新作落語はネタおろしだったか、
演目のタイトルは不明。出張することになった3人が、新幹線の
指定席をめぐって……という設定ですが、サゲの長距離バスに
文鹿さんを思い出してしまいました。中入りを経て、中島らも
創作落語「牛乳時代」。落語より何より、らもの思い出話が
面白くて……そもそも、ぼくの落語の入り口が、小劇場 ⇒
中島らも ⇒ 劇団「笑殺軍団リリパットアーミー」 ⇒ 桂吉朝

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語呑む演劇

女ざかり

山形県鶴岡市出身の丸谷才一(1925~2012)の単行本
『女ざかり』を今頃になって読了。ミステリー・マニアの
ぼくにとって丸谷は、福永武彦中村真一郎との共著
『深夜の散歩』が忘れられない評論集となっており、
推理小説にどっぷり嵌まっていた少年時代のぼくを、
半強制的に文学畑に引き戻してくれた大恩人なのでした。
また、丸谷の翻訳では、ジェイムズ・ジョイスより何より、
K・K・ジェローム『ボートの三人男』が堪らなく好き。
『女ざかり』の奥付を見ると、1993年1月10日第1刷、
1993年2月15日第7刷となっています……その頃は、
S新聞社の編集局校閲部で働いていて、先輩のTさんから
その面白さを盛んに聞かされていた訳ですが、手に取らず。
女主人公は新聞社の論説委員であるし、作中に引用される
コラムも一々痛快で、同業者でなくとも、本を読む愉しみに
純粋に浸れたはず。歴史的仮名遣いも、全く気にならないし! 
ところで、この単行本(装丁・和田誠)自体は、後年勤めていた
業界紙を離れる際、事務所の書棚から頂いた一冊となります。
おそらくは、やはり、S新聞社に在籍していた会長の蔵書。
5、6年も枕元に放置していたのに、紐解けば、するすると読了。
何気ない食事のシーンで、豆腐が頻出しているように感じ……。

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説豆腐

JUNIE THE COMPLETE

Junie(1954~2017)が亡くなった際、
『BREAD ALONE』(1980)のリマスター盤を買っています。
CBSレコードから、Junie は2枚のソロ・アルバムを発表。
それ以前、Ohio Players からの脱退と並行して、
Westbound から3枚のソロ作をリリース。
フィジカル盤(CD)での入手が不可能だったため、
初期3作は編集盤『The Westbound Years』(1994)で
お茶を濁していたのですが、最近になって、『JUNIE
THE COMPLETE WESTBOUND RECORDINGS 1973-1976』

が発売されていたことを知りました。『The Westbound Years』が
1枚・全20曲に絞り込まれていたのに対して、
2枚組で、『WHEN WE DO』(1975)、『FREEZE』(1975)、
『SUZIE SUPER GROUPIE』(1976)の全作、
およびシングル盤などのボーナス・トラックを含め、計34曲を収録。
「Anna」、「You and You」、「Married Him」、
「Freeze」、「Musical Son」、「World of Woe」、
「If You Love Him」、「What Am I Gonna Do」、「Stone Face Joe」
が、『ウェストバウンド・イヤーズ』から漏れていたアルバム内の楽曲。
ラブリーなバラードなどに触れると、殿下の先行形態だと痛感します。
『EVACUATE YOUR SEATS』(1984)や『WHEN THE CITY』(2004)も
どこかで、フィジカル盤を再発してくれないかなあ。

テーマ : Soul, R&B, Funk
ジャンル : 音楽

tag : 黒い音

蓼喰う文楽(4)

要が義父に誘われ、淡路島の洲本まで、人形芝居の
元祖である淡路浄瑠璃を見物に行く場面があります。
       ☆
 大阪下りと云う触れ込みで、番附に大きく名を出している呂太夫の「吃又(どもまた)」が始まったのは十時過ぎだったが、それから間もなく見物席でえらい騒ぎが持ち上った。
       ☆
本場(=大阪)の太夫を客分として、特別に出演してもらうことを
追抱(おいだき)”と言うそうですが、淡路源之丞大芝居に追抱として
呼ばれていたのが、二世・豊竹呂太夫(1857~1930)でした。
一瞬、現・呂太夫(=六代)の祖父、豊竹若太夫(1888~1967)か!
と思いましたが、『蓼喰う虫』の連載が1928~1929年でして、
若太夫(=十代)が呂太夫(=三代)を名乗っていた時期は、
1932~1950年の間となりますから、時代錯誤もよいところ。
「吃又」とは、例の傾城反魂香」土佐将監閑居の段の通称です。

参考文献:谷崎潤一郎『蓼喰う虫』(新潮文庫)

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽小説

「寛子」讃

近場のたこ焼きの名店と言えば、天五
2020_01_27_「寛子」_1
2020_01_27_「寛子」_2

中崎通商店街の「うまい屋」(大阪市
北区浪花町4-21)を挙げておけば、
事足ります。しかしながら、個人的に
お世話になってきたのは、「寛子
(大阪市北区天神橋5-6-3)ですもの。
向かいに、お好み焼き「天満風月」の
在る細い路地で、毎日19時頃まで
開いています。(通常の)サラリーマン
生活と縁を切ってから、昔のように足
繁く通うことは難しくなったのですが、
昼日中から意識朦朧と、泣きたくなる
折には、無性に食べたくなるのです。
生地は豆乳が隠し味。焼き加減はその
時々で異なりますが、優しい舌触り。
20個(450円)注文しても、5~15個
くらいサービスされて、お腹いっぱい。
ドリンクが妙に割高(ラムネで250円)
なのが笑えます。小柄な女将は現在
85歳で、明治から5つの元号を生きてきた
と胸を張ります。母方が東京で、父方が大阪。
もう60年、天満でたこ焼きを焼いてきたと言われ、
ぼくの天満暮らしもどのくらいになったのかしら? 
足を踏み入れた1月27日(月)は、雨模様でした。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : おやつ豆乳

中之島玄庵

2020_01_24_玄庵 24時間業務を行っている東京の事業所が、年に1度の
 法定停電を実施することから、大阪の事業所で夜間
 業務を代替する必要があり、夜業メンバーに名を加え
 られました。事業所内の端末が多数空いているので、
 システム設定等が日中よりも捗ります。休憩時に読み
 耽っていたのが、茶室「中之島玄庵」ガイドブック
 『市中に山居をつくる』でした。数日前訪れたばかりの
 「中之島香雪美術館」内の「中之島玄庵(げんなん)」を
 想起します。この系譜に或る意味、奇妙な感慨を覚える
 のですけれど……「朝日新聞社」創業者、村山龍平
 藪内流の“茶の湯”を習い、明治44年(1911)、神戸市
 東灘区御影の自宅内に茶室「玄庵」を建てます。この
 玄庵を含む旧「村山家住宅」は、国指定重要文化財と
 されています。さて、オリジナル玄庵は藪内流家元の
 茶室「燕南(えんなん)」を写した建物でした。一般的に、
家元の象徴となる茶室の写しを建てることは、相伝を得た者だけにしか許されず、
玄庵は破格の扱いだったそうです。藪内流の祖は藪内剣仲紹智(1536~1627)。
武野紹鴎(1502~1555)に茶の湯を習い、“剣仲”は道号。燕庵は初代・紹智が
義弟とされる古田織部(1543~1615)から譲られたといわれますが、オリジナルの
燕庵は元治元年(1864)の禁門の変にて焼失。摂津有馬郡結馬村(現・神戸市
北区有野町)の門人・武田儀右衛門の屋敷に天保2年(1831)頃に建てられていた
“写し”が、慶応3年(1867)に移築されて、現在の燕庵です。ですから、オリジナル
燕庵⇒写し燕庵⇒(写し)玄庵⇒中之島玄庵という流れになります。原寸大で、本物
(何が本物か、もうよくわからなくなりそうですが……)と同じ材料を用いて再現された
中之島玄庵には良質の特撮マインドを感じ、例えば「大阪くらしの今昔館」で体感
されるような、フィクションだからこそ受け容れられるリアリティについて考えさせられて
しまいます。起源はよくわからなくて、写しの写しの写ししか、ぼくらには伝わらない。

参考文献:『市中に山居をつくる』(中之島香雪美術館)

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 建築建物

元櫻橋南詰

大阪市の“北新地”は元を辿れば、ミナミに対するキタの2020_01_24_元櫻橋南詰
新地という意味ではなく、堂島新地に対して、北側に在る
曽根崎新地を指していたようです。堂島と曽根崎新地を
分かつのが、かつて流れていた「蜆川(=曽根崎川)」
でして、明治42年(1909)の“北の大火”以降、埋め立て
られてしまったことから、架かっていた橋も当然失われて
しまいました。Wikipedia によると、曽根崎川に架かって
いた橋は、上流から順に、「難波小橋」、「蜆橋(御堂筋)
「曽根崎橋」、「桜橋 (四つ橋筋)、「助成橋」、「緑橋」、
「梅田橋」、「浄正橋(なにわ筋)、「汐津橋」、「堂島小橋」
(あみだ池筋)――とされています。画像は1月24日(金)、
四つ橋筋を南下して、「中之島フェスティバルタワー」へ
向かう途上で撮影しました。右手が南、前方が東。つまり、
蜆川の跡=新地本通でなく、新地本通の北側を流れて
いた蜆川の跡にビルが建っているところがポイントです。
近くに、「堂島薬師堂」(in 「堂島アバンザ」)も建っていますよ。

テーマ : 史跡
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 史跡

京都界隈絵師

2020_01_24_中之島フェスティバルタワー 開館(2018年3月21日)当初から、足を運ぼうと企んで
 いた「中之島香雪美術館」(大阪市北区中之島3-2
 -4)をようやく訪ねることが出来ました。神戸市東灘区
 御影に在る「香雪美術館」本館の開館45周年を記念
 し、2館目の美術館としてオープン。本館同様、「朝日
 新聞社」創業者である村山龍平(1850~1933年)の
 コレクションを所蔵しています。ちなみに、四つ橋筋の
 東側に在る「中之島フェスティバルタワー」は2012年
 11月6日に完成、4階に中之島香雪美術館の入った
 「中之島フェスティバルタワー・ウエスト(画像右)
 2017年4月17日に開業していました。現在は「上方
 界隈、絵師済々Ⅰ
」が展示中。「Ⅰ」においても、
 前・後期で作品の総入れ替えが行われるので、要
 注意。前期(~2月2日)では、“京都画壇の立役者
 たち”を特集。円山応挙(1733~1795)と弟子の呉春
(1752~1811)がタッグを組んだ「龍虎図」は見応えがあります。才能有り余る
応挙は作品も多彩で、中にはどうよ?と思う時もあるのですが、応挙の虎は“猫”の
愛らしさを常に隠し切れず、好物なのです。他では、応挙「桜に月図」、曾我蕭白
「鷹図」、原在中「旭日松鶴図」、源琦「西王母図」が目を惹きました。長沢芦雪
懸かっていましたねえ。企画展以外に、村山龍平記念室や茶室「中之島玄庵」だけ
でも非常に興味深く、街中でゆったりとした気分に浸れそう。近いうちに再訪します。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術建築

蓼喰う文楽(3)

国立文楽劇場」での観劇時、Osaka 2020_01_18_谷崎潤一郎文学碑
Metro を利用するとして、7番出口が
最短となります。東に向かうと右側に
(左側にはカルビ丼専門「えびす亭」)
建っているのが、「谷崎潤一郎文学
」なのでした。黒色の御影石製で、
豊竹座/竹本座の紋章の下に、『蓼
喰ふ虫』
の一節が刻まれています。
他に良い文章があるだろう、とも感じ
ますが、大阪情緒をアピールしたいのでしょう。
もっとも、ごみ袋が散乱し、鳩が居並ぶなどして、
足を止めて眺め入るのは、ぼくのような酔狂者。
某元知事を筆頭に、大阪の美質を理解できない輩が
街のクオリティを落とし続けてきたような気がします。
(下記の引用文は文学碑に合わせて旧仮名遣い)
       ☆
紅殻(べにがら)塗りの框(かまち)を見せた二重の上で定規を枕に炬燵に足を入れながら、おさんの口説きをじつと聞き入つてゐる間の治兵衛。―――若い男には誰しもある、黄昏時(たそがれどき)の色町の灯を戀ひしたふそこはかとない心もち。―――太夫の語る文句の中に夕暮の描写はないやうだけれども、要(かなめ)は何がなしに夕暮に違いないような気がして、格子の外の宵闇に蝙蝠の飛ぶ町のありさまを―――昔の大阪の商人町(あきんどまち)を胸にゑがいた。

参考文献:谷崎潤一郎『蓼喰う虫』(新潮文庫)

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 史跡小説文楽

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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