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五味八珍

2020_03_29_「五味八珍」 野田阪神界隈を歩いていると、すわ、近代建築物件か!
 と目を剥き、ひとまずは画像に収めたりしている訳です
 けれども、茫洋として、建築物としての素性はつかめない
 まま。辰野式を連想させる壁面構成(煉瓦はフランドル
 積み
)で、屋上には複数の十字架が立っているし、独自
 宗派の教会堂かと取り違えそうになるも、用途としては
 あまり縁の無さげな建物で、創作串かつ「五味八珍
 (大阪市福島区吉野2-9-8)の店舗だったようです。
 2013年9月30日をもって閉店。「GOMI-FACCHIN
 の重厚な玄関口には、「元祖」の文字も麗々しく、「数々
 くしあげ創案
」、「色々くしかつ専門」と記されており、
 どうやら、串揚げ発祥の名店とされていた あのお店。
 ぼくの記憶も怪しくて、なかなかに思い出せません。
 削除された同店ホームページからデータをサルベージ
 して、「あまから手帖」(2002年04月)から孫引き。
       ☆
躯脂滑婦裸慰羨門」と書いてクシカツフライセンモンと読む。この文字面を考えたのが昭和12年、『五味八珍』開業の年である。創業者・岡田繁雄さんは画家への道を断念、好きが高じて料理の世界に身を投じた。当時串カツといえば大衆的な食べ物の代表選手、女性が一人で食べに行けるイメージは皆無。それなら「女性がひと口で食べられる料理を」ということで食材を徹底的に吟味、それを組み合わせ、下味を付ける、またコースで提供するなど、現在のオリジナル申揚げの原型はすべて、この昭和12年から始まったといえる。
「いまお出ししているメニューはほとんど先代が考えたものばかりです。ソースも3種、スパイスの7種もみんなそうです」と話すのは二代目の岡田滋太郎さん。店内には一切品書き無し、おまかせをひたすら食す。まずは豚ヒレのカツが出る。続くコテレット(鶏肉の包み揚げ)から鯛の子(豚肉で包む)、ピーマン(豚肉ミンチにチーズを混ぜ詰める)、鱧のしそ巻き、三つ葉(白身魚で巻く)、餅(中にエビミンチを詰める)など約20数種食べたのだが、どれも食材そのままというのは数えるほど。パン粉は細かいめをもう一度ミキサーにかけメッシュに振るう。だから口あたりはあくまでソフトで、また揚げ油がヘット100パーセントなので香ばしい。三ツ葉は口に入れた瞬間、白身の甘さが充溢したかと思えば、次に三ツ葉の青々とした香りが一気に弾けると、こちらの予想をはるかに凌駕するしかけで、驚くことしきりである。それが全串にわたり、先代の偉業がいまもなお新鮮さを失わず、「お客さんも三代目」と継承されているのだから、このオリジナル串の嚆矢は充分に現役なのだ。

       ☆
少し気になって、さらに調べてみると、昔、よくお世話になった「串の坊」や
最近、行く先々で目につく「知留久」の名も見えてきて、なるほどねえ、と感嘆。
建築に目を奪われたばかりか、“食”の歴史にも絡め取られて、道は遠いなあ。

参考記事:串の坊 ― 串喝談義
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テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 建築

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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