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1952年の帝国ホテル

三島由紀夫は日本文学において、稀有な“建築文学者”ではあります
が、“建築文学”として分析するのではなく、例えば 『暁の寺 ―
豊饒の海・第3巻―』
から、即物的に「建築」に関する描写を引用
しておきましょう。ル・コルビュジエミース・ファン・デル・ローエと並び、
近代建築の三大巨匠」と呼ばれたフランク・ロイド・ライト(1867~1959)
設計した「帝国ホテル本館」が複数回、登場するシーンがあるのでした。
       ☆
 その晩二人が夕食をした帝国ホテルは荒廃していた。占領軍はライトの芸術にはわかったふりをしたけれども、庭の石灯籠には平然と白ペンキを塗ったのである。大食堂のゴシックまがいの天井は、昔にまさって陰々滅々として、並べたテーブルの卓布の白ばかりが、ものものしく眩(まば)ゆかった。
       ☆
第2部の時代設定は第二次世界大戦後、昭和27年(1952)とされます。
       ☆
 ――孔雀明王経の話のあいだ、克己は退屈そうにあらぬ方を見ていた。帝国ホテルのロビーは墓地の入口のようで、むきだしの大谷石が中二階の堺を低く区切り、又、ロビーの片隅の売店には、アメリカの雑誌や袖珍本のけばけばしい表紙の色が、そこだけ墓地の枯れた献花のようにしどけなく咲いていた。

参考文献:三島由紀夫『豊饒の海(三) 暁の寺』(新潮文庫)

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説近代建築

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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