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★ 2021年2月に読んだ本 ★

カミュ/サルトル他『革命か反抗か―カミュ=サルトル論争―』(新潮文庫)
 ……再読。最初に読んだのは、高校生時代。論争は不毛なだけと切なく思う。
開高健『日本三文オペラ』(新潮文庫)
 ……記憶はぼんやりしていたのだけれど、2009年8月11日にも読んでいた模様。
 再読になります。ネタとして面白がるだけで、感銘を受けた訳ではないのかな。
 最初から既視感しかない世界観の展開。2月の「二人の読書会」のテクスト。
半藤一利『歴史と戦争』(幻冬舎新書)……半藤一利は、夏目漱石が義祖父に
 当たるということだけで記憶していたのですが、「文藝春秋」出身のジャーナリスト。
 坂口安吾から探偵趣味を学んだか。昭和5年(1930)生まれで、今年1月12日没。
編・解説 半藤一利『なぜ必敗の戦争を始めたのか』(文春新書)
 ……副題に「陸軍エリート将校反省会議」。旧陸軍軍人から成る「偕行社」の月刊
 機関誌「偕行」に掲載された「大東亜戦争の開戦の経緯」を一冊にまとめた物。
監修・小和田哲男『大人が知らない最新日本史の教科書』(宝島社)
カミュ『転落・追放と王国』(新潮文庫)
 ……「転落」はドストエフスキーの『地下生活者の手記』の影響が色濃いですね。
 「追放と王国」は、「不貞」、「背教者」、「啞者」、「客」、「ヨナ」、「生い出ずる石」の
 6編から成ります。教科書的には、「客」の完成度が推奨されるでしょう。芸術家
 小説として「ヨナ」も良し。ぼくの趣味的には、「背教者」が一推しですけれども。
辻良樹『関西鉄道考古学探見』(JTBパブリッシング)
田辺聖子『大阪弁ちゃらんぽらん』(中公文庫)……3月の「二人の読書会」テクスト。
原武史『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社学術文庫)……副題に「思想としての
 関西私鉄」とありまして、ややこしい関西私鉄の歴史も概観できるので、非常に
 助かります。抽象的な思想・哲学に偏することなく、“物件”にもこだわっていこう。
『端模様夢路門松 木下蔭狭間合戦「竹中砦の段」パンフレット』(ロームシアター京都)
『人形浄瑠璃文楽 床本集』(ロームシアター京都)……上記の演目を所収。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

水路閣

2021_02_27_水路閣_1
2021_02_27_水路閣_2
2021_02_27_水路閣_3
 とことん、貧乏性ではあります。単に、人形
 浄瑠璃
を聴きに京都へ行く。割り切ればよい
 だけのものを、せっかくだからと詰め込む
 スケジュール。JR京都駅に間近い京都市
 下水道局本庁舎
を訪ね、マンホールカード
 を入手。さらに、別デザインのカードを求めて、
 蹴上の「琵琶湖疏水記念館」を目指すの
 でした。岡崎まで近場ではあるし、開演時刻
 まで間もあるし……ところが、蹴上は、橋やら
 近代建築やらの宝庫でもありまして、嬉しい
 悲鳴を上げたくなります。本当に困りました。
 琵琶湖疏水を琵琶湖(大津)から鴨川まで
 踏破したくなって、うずうず。とは言うものの、
 まずは、「南禅寺 水路閣」でしょう。何度
 観ても、惚れ惚れします。明治21年(1888)、
 疏水分線に水を通すために造られた高架
 水道橋。田邉朔郎(1861~1944)の設計で
 全長93.17m、幅4.06m。赤煉瓦のアーチが
 無数のドラマを連想させてくれます。アーチ橋
 というだけでなく、橋脚自体にもアーチ構造を
 採用している点が、物語の増幅作用を高めて
 いるように思われ。橋脚にアーチが穿たれた
 かのようで……「ローマ水道(橋)」のアーチは
 サイズを違えながらも、同一方向にしか眺め
 られなかった記憶がありますしね。因みに、
 水路閣の煉瓦は“イギリス積み”と確認済み。
 上部の疏水の流れも味わい深かったです。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 近代建築

ローム文楽

2021_02_27_ロームシアター京都 2月27日(土)13時から、「ロームシアター京都」にて
 「舞台芸術としての伝統芸能 Vol.3 人形浄瑠璃
 文楽
」を鑑賞しました。演目は「端模様(つめもよう)
 夢路門松」と、「木下蔭(このしたかげ)狭間合戦竹中
 砦の段
――です。「端模様」は、(基本的に)つめ人形
 しか出てこないという吉田簑太郎(現・桐竹勘十郎)作。
 夢落ちは苦手なのですが、趣向が面白かったので、
 良しとします。「竹中砦の段」は、人形浄瑠璃としての
 上演が87年ぶりというレアな演目。勘十郎、鶴澤藤蔵
 を交えてのディスカッションや前説等で活躍していた
 スーパーバイザー、木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎・主宰)の
 目利きぶりが光りました。事前に、元々使用予定だった
サウスホールからメインホールへの変更が為され、会場が広くなった分、両サイドに
空席が出来る格好となり、その本来は座れない席(ぼくの前列)に着席して、出入り
する人がいて、気にはなっていたのですが、木ノ下氏と察知しました。17時前まで、
たっぷりと文楽を愉しめ、大満足。また、人形文化研究者・菊地浩平がパンフレットに
書いていた「遣い手が見えなくなることだけが人形劇の目指すべき理想のように
語られることがしばしばある。不思議でならない
」に深く首肯。舞台裏に生きて
きて、裏方に注意せざるを得ない性分ですから、人形以上に、人形遣いに見入って
しまう ぼくのような者もいる訳。斜に見るでなく、穿ち過ぎるでなく、それが習い性。
       ☆
「舞台芸術としての伝統芸能」はシリーズでして、2021_02_27_ロームシアター京都
「ロームシアター京都」の開館5周年記念事業。
もう5年かと驚きます。平成28年(2016)1月
10日にリニューアル・オープン。ネーミング・
ライツによる現名称ですが、正式名称は「京都
会館
」。前川國男の設計によって、昭和35年
(1960)に開館。すぐ東隣に「京都市美術館
別館
」が在ります。そう言えば、その「京都市
美術館
」も、昨年3月21日から「京都市京セラ
美術館
」として再オープンしていましたねえ。
リニューアル案の設計者は、青木淳西澤徹夫

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽近代建築建築

大阪砲兵工廠跡

2021_02_26_砲兵工廠跡
2021_02_26_荷揚げ門
2021_02_26_化学分析場
 2月の読書会のテクストは、開高健『日本
 三文オペラ』
――小松左京や梁石日も自作に
 取り上げた大阪砲兵工廠跡地が舞台の小説
 です。普段、何気なく目の端に入っているとは
 いえ、良い機会なので、小雨のそぼ降る中、
 大阪城公園を散策してきましたよ。JR大阪
 環状線の駅で下りますと、河合隆三の「石の
 詩
」や蒸気機関車(形式8620)の動輪を眺め
 つつ、第二寝屋川(平野川)に沿って、大阪城
 ホールの方へ歩み、東外堀へ寄るうち、「砲兵
 工廠跡
」と記された石碑が見つかります。
 (句読点や助詞を若干加えて、説明文を転記)
        ☆
 大阪砲兵工廠跡は大砲生産を中心とした
 近代日本最大級の軍事工場で、明治3年
 (1870)、この付近に設置された造兵司
 発祥とする。民需品も手がけるなどして
 大阪における近代工業化の推進役を担い、
 敷地はここを中心に大阪ビジネスパーク
 一帯、森ノ宮方面、さらに大阪環状線の
 東まで広がった。昭和20年(1950)の
 空襲によって壊滅し、残っていた元本館の
 建物は大阪市により昭和56年に撤去
 され、跡地に大阪城ホールが建てられた。
 江戸時代、この付近一帯は「御蔵曲輪

 (おくらくるわ)」と呼ばれ、年貢米などを備蓄
 する幕府の蔵が立ち並んでいた。

        ☆
昨秋、アクアライナーに乗船時、「大阪城新橋」と「新鴫野橋」の間に
謎めいた水門を見かけていたのですが、大阪砲兵工廠・荷揚げ門
(中画像)と調べがつきました。明治4年(1871)に建設されたアーチ門。
北外堀を反時計回りに進んで行くと、赤煉瓦造りの「化学分析場」に
遭遇します。前に位置する関連施設(倉庫?!)同様、崩落が激しくて、
立ち入っての見学は出来ませんが、雰囲気が思わせぶりで、飽き
させません。建築は大正8年(1919)。良い形で、保存できないかしら。
左右の石組みだけが残る砲兵工廠の正門、「筋鉄門(すじがねもん)」を
堪能した後、大阪城公園を離れました。第二寝屋川に架かる橋を
画像に収めながら、天満橋に移動。「北新地鳥屋」天満橋店で呑み
喰いすると、「京阪シティモール」地下1階の「靖一郎豆乳」に立ち寄り、
ドーナツを購入。8Fの「Shuhari」へ上がって、デザートまで食した次第。

参考文献:開高健『日本三文オペラ』(新潮文庫)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 史跡近代建築呑む豆乳読書会

サッチェズカリー

2月25日(木)午前中、ようやく、荷物(ガチャクリップや2021_02_25_「サッチェズカリー」
もっちりジェル)の引き取りを終え、「男流」梅田店まで
髪を切りに出掛けて、再び、天満に戻ってくる帰途。
扇町公園の近くで、2015年のオープン以来、入店の
機会を窺っていた「サッチェズカリー」(大阪市北区
神山町14-23)がまだ開いていました。ランチ・タイム
(11時30分~15時)ぎりぎりでした。いそいそと訪れ、
3種盛り(キーマと週替わり2種)に、ラム・チャイを所望。
滋味深いカリーを玄米と共に味わいながら、ほっこりと
(くつろ)いでしまいました。近所過ぎて逆に、なかなか
足を運ぶチャンスが無いのがつらいなあ。BGMに、
Bootsy CollinsI'd Rather Be With You」が
流れてきた時点で、もう、何も申すことはございません。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : カレー黒い音

上昭和橋

2021_02_23_上昭和橋 ちょっとした言葉の掛け違いで、益体も無い諍いに
 落ち込んでしまったりすると、やれんなぁ……と、
 天を仰いでみたりして。ぼくらに残された時間は、
 後、どれだけあるのだろう。ぼくらは皆、各人の終末
 時計を抱え込んでいる。兵庫県・西宮北口の西側を
 流れる津門(つと)川に架かっている「上昭和橋」は
 「甲風橋」の上流側、すぐ近くに在ります。「昭和
 二十六年十二月架
」と記されていました。西詰の
 袂(たもと)には兵庫県西宮警察署・北口西交番が
 在り、人捜しに際してはお世話になるやもしれず。
 空模様のせいか、川面には魚影が見えません。
 (上旬に、魚の死骸が大量に浮いていたとのニュース)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag :

春風亭昇太

大阪梅田から、兵庫県西宮市に向かう前、
カンテ・グランデ富国生命ビル店
1月末日をもって閉店したことを知りました。
(道理で、割引券をばら撒いていたのだな)
阪急電車に乗って、西宮北口まで移動。
昼食は「そじ坊」西宮アクタ店で頂きました。
14時から「兵庫県立芸術文化センター」阪急・
中ホールにて、「春風亭昇太 独演会」を鑑賞。
笑福亭鶴瓶に続いて、メジャーのホール落語を
確かめてみようというのが一点。久しぶりに、
江戸落語(?)も聴いてみるかというのが、もう
一点の理由です。前座に出た春風亭昇りんは、
山形県の林檎農家出身。「たらちね」は「寿限無」
パターンのサゲになっています。カジュアルな服装で
登場した春風亭昇太は、前説で痛風に悩まされて
いる話や、「笑点」ネタを披瀝し、手堅く笑いを取りに
来ていました。「胴斬り」については、上方落語だと、
下半身が職人として勤める先が麩屋であるところ、
こんにゃく屋の職人となる 東西の違いが興味深く。
そのまま、ステージ上で着替えると、(季節感が
崩れてしまうのはともかく)前座噺の「時そば」を
銭の取れる完成度で沸かせます。「時うどん」でも
採用されている ホラー風味のアレンジは、昇太の
発明でしたか。中入りの後、「御神酒徳利」で締め。

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語蕎麦こんにゃく

阪急天六ビル

2021_02_22_京阪電車・天神橋駅跡 いつだったかな。大阪市北区の天神橋筋商店
 街
のアーケードの北限、横断歩道を渡っての
 北東角、「大阪市立住まい情報センター」の
 真向かい辺りに、44階建てのタワー・マンション
 「GEO TOWER TENROKU」が出来上がって
 いました。Osaka Metro とほぼ直結しており、
 1階には「阪急オアシス」が入居。不動産サイト
 等で調べてみると、2013年8月の建設でした。
 「阪急天六ビル」の跡地に建っていまして、
さらに、その前身は新京阪電車天神橋」駅となるのです。新京阪の天神橋駅は、
大正14年(1925)に設けられた大阪側のターミナルで、隣が長柄駅でした。「新京阪
ビルディング
」の2階にプラットフォームがあり、阪急天六ビルの裏手に回ると、その
遺構を彷彿できました。2010年に解体されるまでは、変な格好の駐車場だなぁ……
くらいにしか思っていなかった訳ですけれども、鈍過ぎますね。無くなってから初めて、
気付かされてしまうことが多いです。自分で撮った阪急天六ビルの画像は無かったか。

参考文献:辻良樹『関西鉄道考古学探見』(JTBパブリッシング)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag :

梅新の西

退職した派遣社員に一応、餞別を贈っていたところ、
人づてに返礼品が渡されてきて、そういうのが趣味で
ないから、「虚礼廃止」なんて呟きたくなる訳で、まぁ、
お互い様なのだろうけど、気持ちがあれば、それで
十分なのだから、逆に言えば、それほど、気持ちも
籠もってないのかもしれませんね。陰口を叩きまくった
ご婦人連が、掌を返して、愛惜の措辞を振り回すのに
辟易させられつつ、開封すれば、図書カードでした。
       ☆
 そんなものに目くじらをたてるくせに、映画の看板のえげつないのを黙認するのはどういうつもりだろうか。まあ、大阪は梅田新道西側歩道橋に立ってみなさい。視界いっぱい大空に、男女の痴態がくりひろげられていて、あられもない閨(ねや)のすがた、歩道は上も下も天下の公道ですぞ。そんなことしていいのか。
       ☆
手元にある「ニューエストS 大阪府都市地図」(昭文社、
1990年7月発行)を参照すると、曽根崎新地の北東角に、
確かに「東映会館」の所在は確認できます。調べてみます
と、「梅田東映」、「梅田東映パラス」、「梅田東映パラス2」
の3館が、2002年4月28日をもって閉館したようです。
跡地に建つのが(いろいろあった)「御堂筋フロントタワー」。
ぼくの興味は、梅田新道の西側に在ったという歩道橋の
存在です。国道2号の梅新西(?)に架かっていたかしら。

参考文献:田辺聖子『大阪弁ちゃらんぽらん』(中公文庫)

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

tag : つぶやき建築

フェニックスタワー

2021_02_20_フェニックスタワー 早朝出勤の日だったから、通常のランチ・タイムが
 設定されていて、昼過ぎは西天満に渡ろうか、と
 考えながら(結局は辛口飯屋「森元」に落ち着き
 ましたが……)、見上げる頭上に「あいおいニッセイ
 同和損保フェニックスタワー
」(大阪市北区西天満
 4丁目15番10号)。前身である「同和ビルヂング
 跡地に、平成7年(1995)1月竣工。先から引き継いだ
 レリーフやファサードの現代アートなど、見所は複数
 ありますが、後日、取り上げることもあるでしょうか。
 地上29階(+塔屋)で、高さ145.45m。画像の右手前
 に写っているのが、「梅田新道歩道橋」。南に歩けば
 “梅新南交差点”ですけれども、西に足を向けると……。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 建築

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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