Rings Twice
ちゃんとしたハンバーグを食べようと、ランチはハンバーグ専門店
「BOSTON」中津店(大阪府大阪市北区中津1丁目2−21)に
入りました。中津店は2017年のオープンですが、大阪市阿倍野区の
昭和町本店は1952年の創業。ぼくはスパイシー・サルサをソースに
選び、通常200gのハンバーグを400gに増量して、食したのです。
☆
ところで、4月の「二人の読書会」のテクストは、ジェームズ・M・ケイン
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』。昔、同作を原作とした映画を3本、
観比べたことがあるのですが、「秘密のビデオ会」(第38回?!)でも、
再び取り上げてみることにしました。比較的入手し易い3本を予定して
いたのですが、時間が押していたので、今回は2作品に留めています。
まず、Tay Garnett 監督の1946年作。フランク役はJohn Garfield、
コーラ役はLana Turner。ラナ・ターナーは小綺麗過ぎるなぁ。もう少し、
汚れた感じが欲しい。最初の裁判での遣り取りが簡略化され過ぎて、
日本との法制度、保険制度の違いがあるので、わかり易くはなっている
一方で、サケット検事が間抜けに見えてしまいます(サケットは最初から
最後まで、ストーリーに絡み過ぎている分、余計に)。タイトルの意味を
強引に理由付けするラスト・シーンは蛇足の極み。中途半端なフランクの
転向も宜しくないです。原作に忠実なようでいて、芯を捕らえ損ねた観。
イタリアの Luchino Visconti 監督 『Ossessione』は1942年作。
当初は原作者の許諾を得ていなかったらしく、原題は“妄執”の意です。
フランクに該当するジーノ役はMassimo Girotti、コーラに該当する
ジョヴァンナ役はClara Calamai。米国西海岸ではなく、イタリアのポー河
流域が舞台となり、事故の後、裁判が行われることもなく、ミステリー的な
興味は半減ですが、換骨奪胎した作品としては、(原作を離れて)成功
しているように見えますね。テイ・ガーネット版と比べ、ヴィスコンティ版の
情報量が過剰であるのは、豊穣な映像を展開しているからと、好意的に
受け止めるのです。コーラ(=ジョヴァンナ)の夫を見比べると、ニックには
まだ愛嬌が感じられましたが、ブラガーナの圧力には本当に辟易させられ、
ジョヴァンナの閉塞感がいやが上にも伝わってきます。同じく、(良くも悪くも)
天真爛漫に近い無邪気さを漂わすフランクに対し、ジーノからは結構な屈託、
苦衷を受け取らざるを得ません。時代状況、階級の意識のせいかしら。
ジョヴァンナ、あるいは、(ジーノの浮気相手である)アニータが身を売って
いるような描写にも、息苦しくさせられました。ストーリーを掻い摘まむ程度
ならば、ガーネットの平明さは救いになりますが、原作の射程(行き場の無い
絶望感)を現実に敷衍していくと、例えば、ヴィスコンティの物語のようになる
のでしょう。ジーノをしきりに外の世界へ連れ出そうとするスペイン人の設定、
何の言い訳も用意してあげずに打っちゃる唐突なエンディングは、嫌いじゃ
ないです。それでも、原作に登場する猛獣使いの娘、マッジ・アレンが最高!
あまりに最高故に、映画にそのままの役柄で導入するのは、無茶でしょう。
マッジ・アレンを2で割れば、ヴィスコンティのスペイン人とアニータになるかな。
「BOSTON」中津店(大阪府大阪市北区中津1丁目2−21)に
入りました。中津店は2017年のオープンですが、大阪市阿倍野区の
昭和町本店は1952年の創業。ぼくはスパイシー・サルサをソースに
選び、通常200gのハンバーグを400gに増量して、食したのです。
☆
ところで、4月の「二人の読書会」のテクストは、ジェームズ・M・ケイン
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』。昔、同作を原作とした映画を3本、
観比べたことがあるのですが、「秘密のビデオ会」(第38回?!)でも、
再び取り上げてみることにしました。比較的入手し易い3本を予定して
いたのですが、時間が押していたので、今回は2作品に留めています。
まず、Tay Garnett 監督の1946年作。フランク役はJohn Garfield、
コーラ役はLana Turner。ラナ・ターナーは小綺麗過ぎるなぁ。もう少し、
汚れた感じが欲しい。最初の裁判での遣り取りが簡略化され過ぎて、
日本との法制度、保険制度の違いがあるので、わかり易くはなっている
一方で、サケット検事が間抜けに見えてしまいます(サケットは最初から
最後まで、ストーリーに絡み過ぎている分、余計に)。タイトルの意味を
強引に理由付けするラスト・シーンは蛇足の極み。中途半端なフランクの
転向も宜しくないです。原作に忠実なようでいて、芯を捕らえ損ねた観。
イタリアの Luchino Visconti 監督 『Ossessione』は1942年作。
当初は原作者の許諾を得ていなかったらしく、原題は“妄執”の意です。
フランクに該当するジーノ役はMassimo Girotti、コーラに該当する
ジョヴァンナ役はClara Calamai。米国西海岸ではなく、イタリアのポー河
流域が舞台となり、事故の後、裁判が行われることもなく、ミステリー的な
興味は半減ですが、換骨奪胎した作品としては、(原作を離れて)成功
しているように見えますね。テイ・ガーネット版と比べ、ヴィスコンティ版の
情報量が過剰であるのは、豊穣な映像を展開しているからと、好意的に
受け止めるのです。コーラ(=ジョヴァンナ)の夫を見比べると、ニックには
まだ愛嬌が感じられましたが、ブラガーナの圧力には本当に辟易させられ、
ジョヴァンナの閉塞感がいやが上にも伝わってきます。同じく、(良くも悪くも)
天真爛漫に近い無邪気さを漂わすフランクに対し、ジーノからは結構な屈託、
苦衷を受け取らざるを得ません。時代状況、階級の意識のせいかしら。
ジョヴァンナ、あるいは、(ジーノの浮気相手である)アニータが身を売って
いるような描写にも、息苦しくさせられました。ストーリーを掻い摘まむ程度
ならば、ガーネットの平明さは救いになりますが、原作の射程(行き場の無い
絶望感)を現実に敷衍していくと、例えば、ヴィスコンティの物語のようになる
のでしょう。ジーノをしきりに外の世界へ連れ出そうとするスペイン人の設定、
何の言い訳も用意してあげずに打っちゃる唐突なエンディングは、嫌いじゃ
ないです。それでも、原作に登場する猛獣使いの娘、マッジ・アレンが最高!
あまりに最高故に、映画にそのままの役柄で導入するのは、無茶でしょう。
マッジ・アレンを2で割れば、ヴィスコンティのスペイン人とアニータになるかな。
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