★ 2021年8月に読んだ本 ★
豊田有恒『持統四年の諜者』(角川文庫)……「柳々堂書店」で購入した古本。第25代
・武烈天皇を描いた「歌垣の影媛」が強烈。通常の歴史小説のセンスでなく、SFや
ミステリーで育ったぼくが、これだよ、これ!と膝を打つ痛快作。単に過去をなぞるだけ
でなく、センス・オブ・ワンダーであったり、小説ならではの“ジャンプ”が無ければね。
他に、「樟葉の大王」、「常世の虫」、「持統四年の諜者」、「祟りの墓」を所収。
坂口安吾『道鏡・狂人遺書』(角川文庫)……こちらも「柳々堂書店」で入手。
「道鏡」、「梟雄」、「織田信長」、「狂人遺書」、「家康」、「イノチガケ」を収録。
他出版社での文庫本などで慣れ親しんだ作品ばかりとはいえ、今だからこそ、
染みてくる作品なのかもしれません。「道鏡」は良いです。道鏡や孝謙(称徳)天皇の
捉え方が(安吾らしいと言えば、安吾でしかないのだけれども)実に清新。「きれいは
汚い、汚いはきれい」としか言いようがなく、「西大寺」等における道鏡の再評価も、
その辺りを踏まえた上でやっていかないと、子供の喧嘩と言うか、上っ面だけに
留まってしまいます(人間、誰しも良い面があれば、悪い面もあるのは当たり前)。
そういうことではなく、そもそも、“良い”が悪くて、“悪い”が良くもあり得ること――
見方、捉え方の問題ではなく、良い(善い)/悪いの切り分け方自体を問い直そうよ。
皇室の謎研究会編『日本人として知っておきたい天皇と日本の歴史』(彩図社)
福永武彦・訳『現代語訳 古事記』(河出文庫)
鈴木義昭『一度はみたい!厳選名作ピンク映画』(ブレインハウス)
吉田悦之『宣長にまねぶ』(致知出版社)
高森明勅・監修『歴代天皇事典』(PHP文庫)
『第24回文楽素浄瑠璃の会』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
山本博文・監修、かみゆ歴史編集部・編著『天皇〈125代〉の歴史』(西東社)
『「新菜箸本撰」第十一号』(「心斎橋研究」同人)
マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』(光文社古典新訳文庫)
加治将一『幕末 維新の暗号(上)』(祥伝社文庫)
加治将一『討幕の南朝革命 明治天皇すり替え』(祥伝社新書)
……『ヴィジュアル増補版 幕末 維新の暗号』となります。どうも、最近の出版社の
手口なのでしょうが、同じネタを使い回したり、同作家の他作品に露骨に引っ張るのは
感心できないわ。フルベッキ群像写真が素材ですけれど、小説仕立てでないと……。
加治将一『幕末 維新の暗号(下)』(祥伝社文庫)
・武烈天皇を描いた「歌垣の影媛」が強烈。通常の歴史小説のセンスでなく、SFや
ミステリーで育ったぼくが、これだよ、これ!と膝を打つ痛快作。単に過去をなぞるだけ
でなく、センス・オブ・ワンダーであったり、小説ならではの“ジャンプ”が無ければね。
他に、「樟葉の大王」、「常世の虫」、「持統四年の諜者」、「祟りの墓」を所収。
坂口安吾『道鏡・狂人遺書』(角川文庫)……こちらも「柳々堂書店」で入手。
「道鏡」、「梟雄」、「織田信長」、「狂人遺書」、「家康」、「イノチガケ」を収録。
他出版社での文庫本などで慣れ親しんだ作品ばかりとはいえ、今だからこそ、
染みてくる作品なのかもしれません。「道鏡」は良いです。道鏡や孝謙(称徳)天皇の
捉え方が(安吾らしいと言えば、安吾でしかないのだけれども)実に清新。「きれいは
汚い、汚いはきれい」としか言いようがなく、「西大寺」等における道鏡の再評価も、
その辺りを踏まえた上でやっていかないと、子供の喧嘩と言うか、上っ面だけに
留まってしまいます(人間、誰しも良い面があれば、悪い面もあるのは当たり前)。
そういうことではなく、そもそも、“良い”が悪くて、“悪い”が良くもあり得ること――
見方、捉え方の問題ではなく、良い(善い)/悪いの切り分け方自体を問い直そうよ。
皇室の謎研究会編『日本人として知っておきたい天皇と日本の歴史』(彩図社)
福永武彦・訳『現代語訳 古事記』(河出文庫)
鈴木義昭『一度はみたい!厳選名作ピンク映画』(ブレインハウス)
吉田悦之『宣長にまねぶ』(致知出版社)
高森明勅・監修『歴代天皇事典』(PHP文庫)
『第24回文楽素浄瑠璃の会』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
山本博文・監修、かみゆ歴史編集部・編著『天皇〈125代〉の歴史』(西東社)
『「新菜箸本撰」第十一号』(「心斎橋研究」同人)
マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』(光文社古典新訳文庫)
加治将一『幕末 維新の暗号(上)』(祥伝社文庫)
加治将一『討幕の南朝革命 明治天皇すり替え』(祥伝社新書)
……『ヴィジュアル増補版 幕末 維新の暗号』となります。どうも、最近の出版社の
手口なのでしょうが、同じネタを使い回したり、同作家の他作品に露骨に引っ張るのは
感心できないわ。フルベッキ群像写真が素材ですけれど、小説仕立てでないと……。
加治将一『幕末 維新の暗号(下)』(祥伝社文庫)
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ポーラ美術館コレクション展

「あべのハルカス美術館」に赴きました。
まだ、夏休みかな。入場するまでに、しばらく、
行列に並ぶと、「ポーラ美術館コレクション
展」の鑑賞です。“モネ、ルノワールから
ピカソ、シャガールまで”と謳っているように、
印象派以降の(日本人にとっても)非常に
わかりやすい展示内容です。同美術館が
ポピュラーな戦略に振り切っていることに感心
させられます。クロード・モネの「睡蓮」に始まり、1点だけ撮影可能とされていた
ピエール・オーギュスト・ルノワールの「レースの帽子の少女」の前には、俄かカメラ
マンが群がっていましたよ。間違いなく、その絵を観ている人より、スマホの画面に
見入っている人の数の方が多いでしょうね。ピカソも、如何にもピカソらしい作品が
選択されていましたし、ゆっくり、眺めていられる雰囲気ではなかったですねえ。
ただ、数が大きければ、機会が与えられているならば、次代への可能性につながる
ことも期待できましょう。大ぶりな作品では、ピエール・ボナールの「地中海の庭」や
ラウル・デュフィの「パリ」が映えていました。ぼくが好むポール・セザンヌであれば、
「オーヴェール=シュル=オワーズの藁葺きの家」、「4人の水浴の女たち」、
「プロヴァンスの風景」、ジョルジュ・ブラックは「レスタックの家」、「ティー・ローズの
花籠」が展示されていまして、他には、映画の1カットを意識させられざるを得ない
ピエール・ボナールの「浴槽、ブルーのハーモニー」、異様に存在感のあるキース・
ヴァン・ドンゲンの「灰色の服の女」に心を奪われました。記憶のよすがに購った
ポスト・カードの数枚には、“橋”関連として、ポール・シニャック「オーセールの橋」、
フィンセント・ファン・ゴッホ「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」も含まれています。
テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術