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★ 2022年6月に読んだ本 ★

中上健次『岬』(文春文庫)
 ……「黄金比の朝」、「火宅」、「浄徳寺ツアー」、「岬」の4編を収録。マイ・クラシック。
 二十歳代の頃は圧倒的に打ちのめされるような感覚に震えた訳ですけれど、年を
 取ったせいかしら、図太くなったせいかしら、今はそこまでの焦燥感を覚えません。
カポーティ『ティファニーで朝食を』(新潮文庫)
 ……「ティファニーで朝食を」、「花盛りの家」、「ダイアモンドのギター」、「クリスマスの
 思い出」の4編を収録。村上春樹・訳。ゴライトリーが映画版と違い過ぎて、もう。
 誰が悪いという問題でなく。ただ、カポーティを引き合いに出し、“小説家”の成長?に
 ついて語る「訳者あとがき」が滅法面白く。悪魔と取引しないと、書けなくなるのだな。
『観音霊場 西国第一番札所 那智山青岸渡寺』(藝林美術出版社)
 ……熊野三山の3分の1にしか行けていないし、第一番札所の秘仏は拝めなかったし、
 「補陀洛山寺」にも足を延ばせなかったし。一番から心残りがいっぱいあるのよねえ。
村上龍『イン ザ・ミソスープ』(読売新聞社)……カポーティ『ティファニーで朝食を』が
 4月「二人の読書会」のテクスト、中上健次『岬』が5月、村上龍が6月なのでした。
『滑稽浪花名所を読み解く』(大阪歴史博物館)……特別展「~浮世絵師たちが描く~
 絶景!滑稽!なにわ百景!
」図録でしょうか。『滑稽浪花名所』に限られますが。
編集/国立文楽劇場営業課『第39回文楽鑑賞教室』
 (独立行政法人日本芸術文化振興会)

正木晃『仏像ミステリー』(講談社)
編集=国立劇場営業部営業課編集企画室『文楽若手会』
 (独立行政法人日本芸術文化振興会)
……正確には「文楽既成者研修発表会」。
関裕二『仏像と古代史 ミステリー案内』(ブックマン社)……関裕二の著作はいろいろ
 読んでいますが、変な衒いも無く、本作が最も素直に感じられ、好感を持てました。
『浪花百景』(大阪市立博物館)……「大阪市立博物館 館蔵資料集18」。モノクロの
 小さい図版ですが、百景全体を概観したり、流れを確認するには非常に便利です。
杉山三記雄『俊徳街道・十三街道』(読書館)……「河内の街道を歩く②」となります
 が、わかりづらい。雑多な情報が詰め込まれ過ぎていて、どこの街道の説明か、
 混乱しそうになります。堅い学術書ではなく、フレンドリーなまち歩きガイドの話として
 受け止めれば、あちらこちらに考えるヒントを忍ばせていると見え、それはそれで有り。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

梅田3丁目計画

コルセットを着用していると、出勤半ばで食事を2022_06_30_梅田3丁目計画
取るのが億劫なのね。だから、食事休憩時は、
リフレッシュ・ルームで資料をまとめるか、散策に
出るか。今週26~27日に撮影できていなかった
物件が気になり、「ハービスENT」の谷山恭子
ハピネス」、「ハービスOSAKA」の松永真
用心棒」までは画像に収めましたけれど、谷山
シバーム」を見落としている模様。右画像は
着々と再開発中の「梅田3丁目計画(仮称)」。
旧「大阪中央郵便局」跡地であり、吉田鉄郎・設計の傑作でした旧庁舎の一部が、
曳家(ひきや)工法”で、新複合ビルのアトリウムに活用されるそうです! 同人誌の
発送等のため、皆で駆け込んだりした思い出の庁舎でした。昭和14年(1939)に竣工。
平成24年(2012)に解体されたのですが、記憶はセピア色。もっと昔だったような錯覚
……JR大阪駅至近で便利だったのに、2008~2009年頃には業務を停止していた訳
で、「梅田スカイビル」の北側まで歩くこともあり、非常に面倒な思いをしました。平成
19年(2007)10月1日、郵政民営化……あの頃のぼくは、業界紙時代(第1期)か。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 建築近代建築

夏の迷宮

大阪市旭区の「しょうぶ大学」OB会を対象とした
北区のガイドを行いました。6月29日(水)10時、
阪急電鉄・大阪梅田駅1階からスタート。コースは
昨年の「北区ぶらぶら」と同じ「うめ地下散策 ―
都会のラビリンスに癒しの空間を探る―
」です。
同じチームのガイドとして組ませていただいた
Yさんが概括および水景、ぼくがパブリック・アート
系という役割分担。籔内佐斗司三井淳平(?)、
流政之と案内を続ける中、三番街から地上に出て、
「動く歩道」(1967年設置)の辺りで、1人の姿が
見えないことに気付き、肝を冷やしました……後に
別グループに移動していたとOB会のスタッフから
知らされましたが、気が気ではなくてねえ。ぼくが
一押しのAntony Gormley の「Mind-Body
Column
」に、皆が食い付いたのが嬉しかったです。
谷山恭子松永真も手堅く紹介。谷山「ツバキ」は
本当に皆の死角に入ります。時間を巻き、「ドージマ
地下センター」を割愛した以外、何とか無事に終了。
北区ガイドの先達諸賢に交じり、「ルクア大阪」地下
2階「KITCHEN & MARKET」にて昼食を取りました。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術建築

香露香露

近畿地方が梅雨明け。気象庁の発表では、
昨年より19日早く、平年差は21日。これから
暑い日々が続くようです……やれんなあ。
翌日のガイドボランティアに備えて、ひたすら
調べ物や資料作成に追われているけれど、
大淀 信州そば中津店に行き、軽く晩酌。
名代コロコロそば”だけでなく、17時からの
営業に際しては、一品料理も一通り提供される
形なので、リーズナブルに呑み喰いできるのが
素敵。蕎麦で一杯という呑んだくれには最高よ。
蕎麦を喰う、と言うより、蕎麦と共にあるお店。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

tag : つぶやき蕎麦呑む

阪急三番街の誕生

その後の日本の経済成長に伴い、(阪急電鉄梅田駅の)利用者は増加の一途をたどり、駅が手狭になってきた。そのため、それまで国鉄の大阪環状線をくぐった南側にあった駅ホームを、北側に移設して大規模化することが計画された。その工事は1966(昭和41)年から1973(昭和48)年にかけての実に7年にわたる大掛かりなものであったが、10面9線という、これも私鉄における日本一という駅ホームが完成したのである。また、ホーム用地の下には(地上1階および地下1・2階の3層)、「阪急三番街」という名の大規模商業施設も完成した。地下2階は「川の流れる地下街」ということでも人気を博した。駅入口側とホームの距離が離れてしまったため、これを結ぶ長い「動く歩道」(ムービングウォーク)にも度肝を抜かれたものである。
 これらに要する莫大な工事
(費)用を捻出のため、駅構内からのテナント収入が期待されるわけだが、このとき阪急に決断させたキーテナントとは、東京の新宿を本店とする、大手書店の紀伊國屋書店であったという。同書店にとっても東京以外では初進出であり、大英断であったと思われるが、それを決断した紀伊國屋の創業家出身の当時の社長、田辺茂一の名も記録(原文ママ)されるべきだろう。
 なお、ホーム跡地には、1973(昭和48)年3月14日に17階建ての阪急ターミナルビル、1977(昭和52)年8月8日には32階建ての阪急グランドビルも完成し、百貨店部分ともつながって、その増築ともなった。さらにはそれぞれに「17番街
(阪急ターミナルビル)、「32番街(阪急グランドビル)という商業施設もつくられ、オフィスも入居した。
(今田保「『大阪の私鉄ターミナル』を考える」)
       ☆
阪急三番街」は北館と南館に分かれており、全館完成
(=第3期工事竣工)は昭和48年(1973)11月23日。
先行する第1期工事を終えた“川が流れる街”自体は、
日本万国博覧会」(1970)に合わせて、昭和44年
(1969)11月30日に開業していました。開業15周年を
機に大改装が行われ、昭和59年(1984)11月30日、
「ホビーステーション」がオープン。平成2年(1990)は
開業20周年、「国際花と緑の博覧会花の万博)」
開催もあったことから、同年5月5日にフレッシュアップ・
オープン。「グランフロント大阪」(2013年4月26日開業)に
対抗してか、北館のてこ入れをメインに、平成29年(2017)
4月27日、リニューアル・オープンしています。その過程で、
かわいい水族館」が閉鎖され、代わりにREGOブロックを
使った「HANKYU BRICK MUSEUM」が誕生したのです。
しかしながら、阪急・大阪梅田駅の大規模再開発が計画
されており、「大阪新阪急ホテル」、「阪急ターミナルビル
と同じく、「阪急三番街」も建て替えらえることが決定している
現状、人よりも建築物(街の一部)の寿命がはかなくて……。

参考文献:「鉄道ピクトリアル 2011・12月号(No.857)」(電気車研究会)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag :

松永2点

休憩時、西梅田の「オオサカガーデンシティ」に2022_06_26_松永真「ほほえみ」「チチンプイプイ」
足を延ばしています。周辺のパブリック・アートを
チェックすることが目的です。「ハービスENT
(2004年竣工)には、谷山恭子(1972~)の
作品が6~7点、「ハービスOSAKA」(1997年
竣工)には松永真が10点在るはずで、ぐるりと
回って画像を撮りました。気が急いていて、全ては
見つけられていませんが……右画像は、松永の
ほほえみ(画像内左)と「チチンプイプイ(同右)
鉄板フリークス”シリーズの2点となり、「壁ぬけ猫」は以前に紹介しましたね。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

June Cried

2022_06_25_「超辛ビーフカレー」 前日は「ぼんくら酒場」天満橋店や信州そば処「そじ坊
 天満橋OMMビル店をはしごしたけれども、深酒した訳で
 なし。ただ、腰の容態を慮って、タクシー出勤。酎ハイや
 ハイボールなんて、お酒ではないのだから、二日酔いなど
 しない。19時頃に退出すると、「阪急三番街」へ足を向け
 ました。鉄道模型の店「ポポンデッタ」で、大阪の私鉄
 ターミナルを特集していた「鉄道ピクトリアル」2011年
 12月号を入手。帰宅前、スーパー「玉出」に立ち寄って、
 「エスビー食品」の「超辛スコーピオン ビーフカレー」を
 購入しました。もっと辛い商品は他にもありますが、この
 サービス価格(188円)であれば、満足できる仕上がり。
 次週のボランティア活動を終えたら、一息つけるかなぁ。
 

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

tag : 呑むつぶやきカレー

とりゐ味噌

6月24日(金)10時から、「北区ぶらぶら 2022 2022_06_24_「とりゐ味噌」
小さな旅に出かけよう!」第4回、「浪花百景の
昨今 ―幕末の錦絵に現在の都市景観を
重ねる―
」を実施しました。必要以上に快晴。
一養斎芳瀧南粋亭芳雪一珠斎國員による
大坂の風景版画の組み物 『浪花百景』を基に、
幕末の大坂の名所と現在の街並みを見比べよう
との企画です。「大阪天満宮」、天満組惣会所跡、
天満興正寺御坊址(滝川公園)、天満青物市場跡
(南天満公園)、淀川三十石船舟唄碑、将棊島粗朶水制跡、「天満橋」、「川崎橋」、
鯰江川跡、「大坂橋」、京橋川魚市場跡、「京橋」、「筋鉄門(すじがねもん)」、大阪・
大手前一丁目プロジェクト
の建設状況などを眺めつつ、八軒屋浜船着場で、無事に
解散しました。右上画像は、大阪・天満の老舗「とりゐ味噌」(大阪市北区天神橋
1丁目13番20号)の看板です。『浪花百景』の「天満天神地車宮入」で描かれては
いますが、現在は無い 表大門の鳥居はどこに建っていたのか? 元禄元年(1688)
創業の「とりゐ味噌」の店舗前に、その鳥居が在ったことから、屋号は採られました。
同店の前がその位置と知れます。ロゴマークにも鳥居が象られていますね。また、
南天満公園の「天満の子守歌」歌碑の前では、伊藤宏美さんが生歌を披露され、
草刈り機の爆音が響くバッド・コンディションの中、丁寧に歌い上げる姿勢にリスペクト。
しかし、ぼくの好きな“橋”について、野放図に語らせていただき、何とも、申し訳なく。

参考記事:とりゐ味噌 ― 歴史とこだわり

テーマ : 史跡
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 史跡

天満天神地車宮入

天満天神地車宮入_(浪花百景) 翌日に迫った大阪市北区まちあるきガイドの下調べで、
 寝食も蔑ろにしている状況。やればやるほど、切りがない
 底無し沼に嵌まっていくのよ。『浪花百景』の「天満天神
 地車宮入
」(一養斎芳瀧)については、表大門の十二支
 方位盤
鳥居の現在地に絞って、話をまとめる予定です。
 方位に触れることで、方位神を祀る「大将軍社」が立ち
 上がってきますし、今でこそ、「大阪天満宮」の摂社と
 されるも、元はと言えば、昌泰の変の結果、菅原道真
 「大将軍社」に立ち寄っていたことが、同天満宮の創建の
 由縁となる訳ですから……一夜にして生えた7本の松が
 梢を光らせたという 天暦3年(949)、何が起きていた? 

※画像は、大阪市立図書館デジタルアーカイブから。

テーマ : 史跡
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術史跡

京橋(浪花百景)

 Whenever I feel like not 2 great at all京橋_(浪花百景)
 Whenever I'm all alone... ♪
二日酔いなんて知らないし、誰がどう思おうと構わない。
『浪花百景』のうち、歌川(南粋亭)芳雪の「京橋」を
調査中。先行する歌川広重『名所江戸百景』第76景、
「京橋竹がし」に範を取ったのか。広重は“月”でしたが、
芳雪だけに、雪景色なのか? 「京橋」は公儀橋なので
擬宝珠を描き入れるのが常道と思われるのに、無視して
梁鼻包板(屋根型の雨覆い)=梁鼻隠をクローズ・アップ。
元々は梁の両端の小口面を雨から守る目的のようです
が、梁鼻包板は「今橋つきぢの風景」(一珠斎國員)
でもフィーチャーされています。大坂の名所云々ではなく、
切り妻屋根、苫舟、梁鼻隠を覆った雪の三角形に画趣を
見出した絵師の感興が強く伝わってくる錦絵ですねえ。

※画像は、大阪市立図書館デジタルアーカイブから。

テーマ : 建築
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tag : 美術建築

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たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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