紙屑屋治兵衛

「夏休み文楽特別公演」第2部(名作劇場)を鑑賞。
生では3回目の観劇となる「心中天網島」北新地
河庄の段/天満紙屋内の段/大和屋の段/道行
名残の橋づくし――でした。紙屋治兵衛の駄目男
ぶりを受け容れられるかどうかが、肝でしょうか。
“橋づくし”は、やはり、省略パターンとなりますが、
小春・治兵衛の道行きにおいて大川を渡ったのが
「天満橋」でなく「天神橋」とされていたことで、少々
混乱しています。原文の「北へ歩めば。我が宿を
一目に見るも見返らず 」から、「天神橋」の北に在る
治兵衛の家(お前町=宮前町)とは逆に、天神橋を
南へ渡ったと読み、「聞くも恐し。天満橋 」については、「天満橋」を渡ったのでなく、
南袂を通り過ぎたと受け取る訳か。紀の国屋小春が桐竹勘十郎、紙屋治兵衛が
吉田玉男、女房おさんが吉田和生――と、力の入った人形役割。太夫と三味線も、
河庄の前が豊竹呂勢太夫/鶴澤清治、後が竹本織太夫/鶴澤清志郎、天満
紙屋の切が竹本錣太夫/竹澤宗助、大和屋の切が豊竹咲太夫/鶴澤燕三――
と贅沢な布陣でした。それでも、今回心に残ったのは(治兵衛の屑っぷりを除く)、
吉田玉也の粉屋孫右衛門。孔明の首で演じられていました。なお、新型コロナ
ウイルス感染症の濃厚接触者となったことから、吉田簑一郎(五貫屋善六)の
代わりに吉田簑紫郎、吉田玉翔(河庄亭主)の代わりに吉田和馬が出ています。
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