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★ 2023年1月に読んだ本 ★

河音能平『大阪の中世前期』(清文堂出版)
大岡信『詩人・菅原道真 うつしの美学』(岩波書店)
『第169回=文楽公演 令和5年1月 国立文楽劇場』
 (独立行政法人日本芸術文化振興会)
『文楽床本集 国立文楽劇場 令和5年1月』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
眉村卓『ねらわれた学園』(講談社文庫)……1月の「二人の読書会」テクストでした。
丸谷才一『後鳥羽院』(筑摩書房)……菅丞相の漢詩、後鳥羽院の和歌、どちらも基礎
 教養でありまして、読むのは愉しみでしかないけれど、時間をどう工面したものやら。
中井英夫『薔薇への供物』(河出文庫)……マイ・クラシック。中学生時分に読んだ頃は、
 “とらんぷ譚”の焼き直しではないか、と落胆したりもしましたが、今読むと、これは
 これで良いの。デリケートな編集センスがナイス。文庫版では「盲目の薔薇」が加わり、
 結果として計12編の物語が、ヴェラとの約束の帳尻合わせですし。「火星植物園」、
 「薔薇の夜を旅するとき」、「薔薇の獄」、「薔薇の縛め」、「被衣」、「呼び名」、「薔人」、
 「薔薇の戒め」、「盲目の薔薇」、「薔薇の罠」、「重い薔薇」、「薔薇への遺言」を所収。
池田弥三郎×長谷川幸延『味にしひがし』(土屋書店)
長谷川幸延『法善寺横町』(たちばな出版)……織田作以上に大阪的でありながら、
 織田作よりも早く風化しつつある大家。「法善寺横町」、「粕汁」、「最後の伝令」、
 「舞扇」、「三階席の女」、「月の道頓堀」、「海を渡る鳥」、「遺族上京」、「さしみ皿」、
 「兀良哈(ウランカイ)の勇士」と10編を収録。戦時色の濃い作品が過半数なのね。
長谷川幸延『小説 桂春団治』(たちばな出版)……初代・桂春団治(1878~1934)
 です。四天王の一人(3代目)すら聴いたことがないのに、聴きたくなりましたよ。
黒澤はゆま『曽根崎心中』(光文社)……言わずと知れた原作・近松門左衛門
 「小説で読む名作戯曲」シリーズで、ラノベっぽいカバー・イラストに油断していると、
 掛け値無しに名作。一登場人物に耽溺することなく、「大坂」という街全体を俯瞰
 しようとする姿勢がお見事。大坂三十三所観音巡りだけでなく、梅田の牛駆け、
 大坂七墓巡りの場面も創出していますし(梅田橋を北へ渡れば……)、九平治が
 “”であらざるを得なかった理由を きちんと説明していることに感心させられ。
『伊賀越道中双六』(国立劇場営業部)……復刻版懐中稽古本(翻刻)を入手。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

Less Curious

13時から、Rさんと週末のまち歩きの下見を実施。
露天神社」を出発点に、蜆川の跡を辿っていき、
堂島アバンザ」が折り返し地点。「浄祐寺」が
最後のガイド・スポットと思われますが、例によって
時間は押しまくると予測。近松門左衛門や、その
時代に関する最低限度の知識を伝えたくはあるも。
マヅラ」(大阪駅前第1ビル)でケーキ・セットを
頂いた後、相方と合流しますと、天王寺の「あべの
ハルカス美術館
」まで。「アリス」展を鑑賞しました
が、ちっとも“へんてこりん(curiouser)”ではないの。
ルイス・キャロルの原作を何度でも読み返せばよい。
何をやりたいのか見えてこず、単なる羅列に終わって
しまっているようです。ヤン・シュヴァンクマイエル
映画か、ティム・ウォーカーの「ピレリ・カレンダー」
(2018)だけで十分な気が……「森田屋」で痛飲し、
ヤドカリー」(あべのHoop)で締める黄金連携。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術小説呑むカレー

幸延半助(1)

べた過ぎることを理由に、長年敬遠してきた長谷川幸延
(1904~1977)に手を出しています。「法清寺」で、牧村史陽
(1898~1979)と併せて、幸延の「酒の咎 引き受け申しそろ 
かしく
」と記した石碑を目に留めたことが切っ掛けですけれど、
2~3周回って、面白いではないですか(激賞はしませんが)。
上方の噺家が上方落語を演じながら、“半助豆腐”の名を
出さなかったが引っ掛かっているものですから、啓蒙活動。
東の池田弥三郎に対して、西の幸延が“うなぎ”について一席。
       ☆
 東京流は、まず頭を落としてから、背から裂いて焼く。大阪流は妹(いも)(腹)から裂くが、頭はつけたままで焼く。焼き上げてから、頭を落とす。だから、その部分にもおいしい肉がついている。これを半助という。この半助だけを買って来て、焼き豆腐といっしょにたいて食べるのが、半助なべ。大阪独特の、安くて旨くて、栄養になるお惣菜である。
 が、これは、鱧の皮に胡瓜
(きゅうり)のザクが夏のものであるのに対し、冬の味覚なのでこゝには略す。

参考文献:池田弥三郎×長谷川幸延『味にしひがし』(土屋書店)

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説豆腐

中之島発信

1月29日(日)13時から、「大阪中之島美術館」1階ホールで
京阪沿線 ぶらり芸術めぐり 後編」VOL.4、「大阪中之島
美術館からの発信
」を聴きました。講師は菅谷富夫・館長。
開館からほぼ1年経過しての報告が前半、現在の展覧会の
内容紹介が後半という構成です。“アートとデザインのプラット
フォーム
”を目指す同美術館の 新しい機能(アーカイブ公開)、
新しい行動指針(体制・人員削減のための外部連携)、新しい
視点(大阪からの視点による美術史の更新)と順に述べられ、
大体、大阪でのイベント動員数は東京の3分の2程度となるが、
昨夏の「岡本太郎」展は東京に迫る勢いだったと聞き、やはり
と頷き。前回の講座より刺激に欠けたとはいえ、穏やかに耳を
傾けられました。後半の「大阪の日本画」紹介では、スライドも
多用され、より馴染み深く感じられ、後期展への期待を高めて
いるのです。ガイド仲間のM代表やKさんに挨拶をして、会場を
出ますと、西梅田界隈を散策しながら、天満への帰途を辿り。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 講座美術

なかよし

皆で大阪駅前ビル周辺のパブリック・アートを確認2022_06_27_河合隆三「なかよし」
している際、「ディアモール」地上の「1995.8
(仮題)を見て思い出したのですよ。「西梅田公園」
南側に設置されている河合隆三なかよし」です。
類題の別作品もありますが、他彫像との最大の
違いは、“”を抱いているところでしょうかねえ。
“猫”つながりで言えば、「大阪ガーデンシティ
西梅田
」内には、「ハービスENT」の谷山恭子
ミラージュ
や、「ハービスOSAKA」の松永真
壁ぬけ猫
の存在が思い当たります。河合隆三
(1935~)は大阪市住吉区出身。東京芸術大学・
彫刻科での縁から、十代の籔内佐斗司(1953~)
にデッサンのアドバイスをしたとかしないとか……。
奈良市都祁白石町にアトリエを構えている模様。

参考記事:河合隆三さん個展開幕 ― 奈良市都祁白石町にアトリエ構える彫刻家

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

文楽バンビ

前日(26日)に続いて、中止の連絡が入りやしないかと
どきどきしながら、「国立文楽劇場」へ向かいました。
幸いにも、14時から、第30期「文楽研修修了発表会
/第31期「文楽研修発表会」が、2階で開催の運び。
第30期文楽研修生の應武佳之(三味線専攻)、同じく
田村啓暉(太夫専攻)、第31期の古谷諒(人形専攻)を
交えての三番叟で幕開け。古谷は吉田玉翔の主遣いに
対する足遣い(特別に出遣い)。田村が「一谷嫩軍記
熊谷桜の段を語れば、「仮名手本忠臣蔵」裏門の段を
應武が弾いています。15時30分頃の終演となりまして、
タクシーを拾い、出入橋交差点へ急ぎました。まち歩き
ガイドの下見が14~16時の間で行われており、解散
地点でどうにか、ボランティア・ガイドと合流。その後、
有志と西梅田のパブリック・アート等を見物し、「新梅田
食道街」の旬鮮市場Gyoぎょ魚」で呑み会。魚族と
闘っているぼく的に、落ち着かない空間だったせいか、
独りになるや否や、天満を流し始め。「金色バンビ」を
開拓し、「精養軒」で締めたようですが、時間配分的に
もう1軒、どこかを回った可能性が有るも、思い出せず。

テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽史跡呑む

Cold Wave

寒波の再到来の影響を被れば、数日前から
業務が多忙の極み。一つひとつ、片付けて
いくしか手は無いんだけどね。半ドンで上がり、
第8回「文楽特別講座」を受けに出向く準備。
ところが、(メールには当座気付かず)電話
でも連絡が入り、吉田玉男師匠に新型コロナ
ウイルス陽性反応が出たそうで、急遽中止。
先週末にも影響を喰らいましたが、コロナめ。
空いた時間をよいことに、長谷川幸延の古い
小説を繙いたり、第四番札所の記事を書いたり。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

tag : つぶやき小説仏像

足守の馬頭観音

2023_01_20_馬頭観音 第四番札所「槇尾山 施福寺」の立体曼荼羅から「第五
 正覚壇
」に移り、順路を進んで行きますと、本尊の裏側。
 なで仏(釈迦涅槃仏)の他、槇尾大黒天、槇尾弁財天
 等の七福神、槇尾不動尊、弘法大師空海、伝教大師
 最澄、元三大師……諸仏像が所狭しと並び立っていて、
 圧倒され、頭がくらくらしてきます。これが “いずみの
 国のパワースポット
(=感動仏の世界)” だったか。
 とどめには、「第一正覚壇」に控えている “日本唯一
 ここだけ 足守の馬頭観音
”。花山法皇(=第65代・
 花山天皇)も施福寺への山道で難儀されたようですが、
 馬の嘶(いなな)きに助けられ、馬頭観音の加護とされて
 います。“馬”は生命力を意味し、生命力の元は足で
 あるとして、足腰を守る馬頭観音――足の裏を見せて
 いる馬頭観音像
としては、日本で唯一。通常の馬が
 登るには極めて困難な山中、嘶いたのは馬頭観音か。

テーマ : 仏教・佛教
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 仏像

大阪の日本画:前期

大阪中之島美術館」に出掛け、開館1周年記念特別展
大阪の日本画」(前期:1月21日~2月26日)を鑑賞しました。
西洋近代絵画には馴染んでいるのに、日本画、しかも “大阪”
と冠されると、戸惑ってしまうのかもしれません。今夏の岡本
太郎
」展
が嘘のように、ひっそり閑。うっかり、休館日だったか?
不安を覚えるほどの人気の無さで、「SHIPʼS CAT (Muse)
周辺にすら、人影が見えませんでした。冷たい風が、びゅうびゅう
吹きまくっていましたし……となれば、じっくりと絵に向き合えます。
あちらこちらで目にしてきた作品たちとの再会も楽しく、日本画に
親しむには良い機会です。50名超による150点以上の絵が展覧
されていますが、通期展示は半分あるかないか。是非とも、後期
(2月28日~4月2日)にも、足を運ばなければなりません。北野
恒富
は“画壇の悪魔派”時代が好物なのですけれど、「観音」も
嫌いではありません。「風」は当日の天候に合っていましたね。
「紅葉狩」(6曲1双)に、人形浄瑠璃文楽等の演目が思い出され。
恒富門下の小林柯白道頓堀の夜」は以前からのお気に入り。
中村貞以「失題」も面白くてよ。菅楯彦生田花朝については、
純粋に“絵”としてより、風俗画、歴史画として眺めてしまいがち。
どうも苦手意識。花朝はどうしても「天満天神繁昌亭」の緞帳が
思い浮かぶし。とはいえ、楯彦の「浪華三大橋緞帳」や「阪都
四つ橋
」だと、橋好きには見逃せず。矢野橋村那智奉拝」は
第一番札所森琴石の文人画や船場派の画に続々と当てられ、
ぐったりしそうなところで、懐かしや、木谷千種浄瑠璃船」、
島成園祭りのよそおい」にぐっと来る、と。吉岡美枝「ホタル」
も可愛く……前々日(1月22日)に引き続き、「丸喜酒店」を利用。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術仏像文楽

方違大観音

2023_01_20_方違大観音 「槇尾山 施福寺」のグッズ売り場(失礼)には、お守りしか
 置いていないのですよ。質実剛健というか、無骨というか。
 仏像のポスト・カードが無くて、困ったな……となる代わり、
 仰天させられることに、秘仏も常時公開、撮影OKという
 大サービスぶり。いや、近場にあったらば、多少の山道も
 何のその、通いまくるよね。本尊「弥勒如来」を中心とした
 立体曼荼羅から先に進みますと、“日本唯一 ここだけ
 方違大観音
”(左画像)の登場です。方違(かたちがえ)
 ともかく、それが仏像化されているというのは、確かに
 唯一なんでしょうねえ。槇尾山の少し南に在る三国山
 (紀伊/河内/和泉の国の接点)の別名が「一乗ヶ岳」。
 一乗とは一仏乗。方違大観音にお参りすれば、全ての
 衆生が仏の乗り物に乗せられて、良い方向に向かえる
 そうです。「日本唯一 方違大観音」の文字の右に、「第五
 正覚壇」と書き添えられているのは、どういう意味だろう。

テーマ : 仏教・佛教
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 仏像

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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