福田村事件

58分に発生した関東大震災に因んだ記念日ですが、
その5日後(9月6日)、千葉県東葛飾郡福田村で起きた
実話を基に制作された森達也・監督の『福田村事件』。
13時20分、「シネ・リーブル梅田」で鑑賞してきました。
全95席ながらも完売。137分、スクリーンに見入っていた
のです。ドキュメンタリー映画で知られる森監督、初の
劇映画(群像劇)。そのためか、朝鮮から田舎に帰った
澤田智一(井浦新)・静子(田中麗奈)夫妻の挿話が
ありがちなだけに作り物臭く映るとはいえ、そもそも、
全体が重たいテーマなので、観易い“映画”として成立
させるための仕掛けでもあります。香川県から行商に
来た被差別部落民15人が、方言が伝わらなかったことで
朝鮮人として疑われ、幼児や妊婦を含む9人が殺害されたという、何とも遣り切れない
事件だった訳ですけれども、日本人を殺してしまったことが問題でなく、鮮人だったら、
被差別部落民だったら、殺してもよかったのか? という疑義が棚上げされたまま、
(いや、もしかすると、何人であれ、殺されたくないのと同じように、何人であれ、殺したい
と思っているのが、ヒトという生き物やもしれず。共食いをするのは、ヒトに限らないか)
大正天皇死去、治安維持法交付……と、時代は流れていく中で、泣いたりしないけど。
ピエール瀧、水道橋博士、東出昌大と皆が芸達者なのに、それを突出させない監督の
力業が凄いのか、わかり切った史実、メッセージでしょ。高を括っていたくせに、実は
衝撃を受けているのかもしれないなあ。戦争未亡人役のコムアイが、豆腐作りに精を
出していたのは、先月、『高野豆腐店の春』を観たばかりで、妙なシンクロニシティ。
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