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SM納豆

常々、ぼくは日本的なSM観、まったりとした
緩い相互の“共感”に基づいたSMプレイを広めた戦犯は
団鬼六ではないか?と睨んでいたのですが、
その精神性はともかく、縄責めなどのスタイルを創った
張本人は日本画家、伊藤晴雨(1882~1961)と目して良さそうです。
(晴雨をモデルにした鬼六の小説も読んでいるのに、迂闊でした)
そもそも、「SM」と併記できる観念は存せず、この世にはサディズムしか無く、
単に弱いサディストが己を偽り、マゾヒストの仮面を被って隠蔽しているだけ
――というのが、ぼくの自説です。根本的に他者を殺戮し、滅失させる
絶対的な欲望がサディズムであるから、生ぬるい共存共栄など不可能。
晴雨はサディストであり、SMプレイの源流は見かけでしかありませんが。
閑話休題。責め絵を描いていた晴雨が、実際に女性を縛り、
写真に残すようになった契機として、お葉(=鈴木かね代)の名が挙がります。
後に晴雨の下を去り、竹久夢二の愛人になったお葉ですね。
孫引きになりますが、晴雨は彼女について次のように記していました。
       ☆
東京美術学校に通っていたモデルで、五年許り関係を続けた。この女は田端の荒物屋の二階を借りて居て、母は納豆を売り、娘は美校に通って居た。秋田産れの、東北美人系の瓜実顔で、高島田に結わせ、縛って写生するのに絶対いい容貌と体格の所有者で、五年間にこの女を写生した画稿が積んで山を成して居たが、戦火に焼かれて、今は一枚も無くなってしまったのは惜しい気がする。今私の画いている女の顔は彼女の面影である。

参考文献:下川耿史 『日本エロ写真史』(ちくま文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 美術納豆

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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