納豆菌について
納豆菌は枯草菌(Bacillus subtilis)の一種で、単細胞の大きさは2〜3マイクロメートル(1マイクロメートル=1,000分の1ミリメートル)と小さく、肉眼では見えない。通常は空気中を浮遊していて、稲わらや枯れ草・枯れ葉、穀物を住みかにしている。
枯草菌とは、『広辞苑』によると「土壌・枯れ草など自然界に広く分布するグラム陽性・芽包形成性の大型の桿菌」。桿菌は棒状または円筒形の細菌の総称で、納豆菌は桿状(細長型)の姿形をしており、生育適温は35〜45℃。煮豆や蒸煮した穀物を発酵し、粘質物質(2007年4月「粘度と糸引き度」参照)を生成する。
納豆菌は二分裂法によって増殖する。栄養分を取り込んで成長するに従い、細胞の中央に隔壁が形成されて2個に分裂し、個々が単独の細胞となって再び成長、分裂する。このサイクルを繰り返して増殖していく。細胞成長→分裂→細胞成長→分裂…の間隔は、数十分から数時間ごとに繰り返されるため、煮豆に納豆菌がほんの少し付いただけで、3日後には何千万倍、何億倍に増殖する。納豆1粒に10億個、納豆1グラム中には50億個の納豆菌が存在しているといわれ、納豆1立方メートル中に存在する納豆菌の重量は2〜4キログラムにもなる。
納豆菌は極めてありふれた細菌で、自然界には最も多く見られる微生物である。ヒトの生活圏内の空気中はもちろん、植物の葉や枝、樹皮などの表面にも樹液のような有機物が多いので、納豆菌がたくさん集まっている。ある報告では、常緑植物の樹液の多い葉1平方センチメートルには納豆菌を主体とした微生物が1,000万個も生育していたという。ヒトの直接の生活の場である室内にも、空気1立方メートル当たり数百個の納豆菌が存在している。
このように納豆菌が遍在する環境を重要視するならば、糸引き納豆の発祥を中国からの伝来や特定の歴史的人物に求めるのではなく、日本の風土で独自に自然発生的に作られたものだとする説は、極めて説得力に富んでいる。
参考文献:小泉武夫『納豆の快楽』(講談社文庫)
枯草菌とは、『広辞苑』によると「土壌・枯れ草など自然界に広く分布するグラム陽性・芽包形成性の大型の桿菌」。桿菌は棒状または円筒形の細菌の総称で、納豆菌は桿状(細長型)の姿形をしており、生育適温は35〜45℃。煮豆や蒸煮した穀物を発酵し、粘質物質(2007年4月「粘度と糸引き度」参照)を生成する。
納豆菌は二分裂法によって増殖する。栄養分を取り込んで成長するに従い、細胞の中央に隔壁が形成されて2個に分裂し、個々が単独の細胞となって再び成長、分裂する。このサイクルを繰り返して増殖していく。細胞成長→分裂→細胞成長→分裂…の間隔は、数十分から数時間ごとに繰り返されるため、煮豆に納豆菌がほんの少し付いただけで、3日後には何千万倍、何億倍に増殖する。納豆1粒に10億個、納豆1グラム中には50億個の納豆菌が存在しているといわれ、納豆1立方メートル中に存在する納豆菌の重量は2〜4キログラムにもなる。
納豆菌は極めてありふれた細菌で、自然界には最も多く見られる微生物である。ヒトの生活圏内の空気中はもちろん、植物の葉や枝、樹皮などの表面にも樹液のような有機物が多いので、納豆菌がたくさん集まっている。ある報告では、常緑植物の樹液の多い葉1平方センチメートルには納豆菌を主体とした微生物が1,000万個も生育していたという。ヒトの直接の生活の場である室内にも、空気1立方メートル当たり数百個の納豆菌が存在している。
このように納豆菌が遍在する環境を重要視するならば、糸引き納豆の発祥を中国からの伝来や特定の歴史的人物に求めるのではなく、日本の風土で独自に自然発生的に作られたものだとする説は、極めて説得力に富んでいる。
参考文献:小泉武夫『納豆の快楽』(講談社文庫)
- 関連記事
スポンサーサイト