納豆菌の接種

納豆菌は、糸状菌のように固体基質の中にもぐり込んで繁殖することができず、栄養を吸収するには大豆の表面の栄養を溶かす水の介在が絶対必要となる。

納豆菌を繁殖させるためには、浸漬工程で大豆に水を十分吸収させなければならない。また大豆の蒸煮も、たんぱく質粒や脂肪顆粒が破壊され、納豆菌が必要とする炭素源、窒素源、ミネラルなどの栄養物質が表皮に溶出するため重要な工程である。

蒸煮大豆に納豆菌の胞子を均一に付着させる作業を“接種”という。現在、販売されている納豆菌は、納豆にした際に風味が良く、糸引きの強いものを麦わらや土壌中から分離し、純粋培養したものである。納豆菌生産業者は、成瀬発酵化学研究所(東京)、宮城野納豆製造所(仙台市)、高橋祐蔵研究所(山形)の3社がある。各社で納豆菌の性格は多少異なる。

例えば、250立方センチメートルのガラス瓶に入った納豆菌胞子の懸垂液の場合、大豆1俵当たり5立方センチメートルを使用。1瓶で50俵分の大豆を処理することができる。1立方センチメートル中に納豆菌胞子が約1〜2億個入っており、1億個の場合だと蒸煮大豆1グラム当たり4,000個、1粒当たり1,300個以上付着する。1俵当たり5立方センチメートルの原菌を均一に散布する場合は、滅菌水で増量しなければならない。

これには沸騰させた飲料水を約50℃くらいに冷却して、噴霧方式の場合は2俵で1リットルくらい、じょうろで散布する場合は約2.5リットルくらいの滅菌水に溶かして、希釈菌液とする。この希釈菌液は完全に使い切ることが大切。初発の菌量となるから、毎回一定にすることによって同じ発酵パターンを維持することができる。接種時の蒸煮大豆の品温は70〜90℃くらいが良く、あまり降下すると雑菌汚染を受けやすくなる。

参考文献:渡辺杉夫『食品加工シリーズ(5) 納豆 原料大豆の選び方から販売戦略まで』(農山漁村文化協会)
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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