納豆菌ファージ
食品製造において安全性が強く求められている昨今、微生物の制御や異物混入防止の対策が欠かせない。特に納豆の製造にあっては、発酵工程における納豆菌の繁殖の適温が食中毒菌や有害菌と同程度の温度であるため、各工程の衛生管理が疎かになると有害菌などが増殖し、食中毒や異常発酵の発生する可能性が高まる。
納豆の製造上、問題になる微生物には、(1)納豆菌ファージⅠ〜Ⅳ型などのウイルス(2)好気性芽胞形成菌(3)クロストリジム属(Clostridium)や乳酸桿菌(Lactobacillus plantarum)などの嫌気性芽胞形成菌(4)リゾープス属(Rhizopus)やペニシリウム属(Penicillium)などの糸状菌——が挙げられる。ウイルスの加熱死滅温度は65℃で10分以上、好気性芽胞形成菌および嫌気性芽胞形成菌が121℃で15分以上、糸状菌が80℃で10分以上とされている。
いずれの微生物も納豆の品質に悪影響を及ぼすが、中でも注意を要するのが納豆菌に寄生する納豆菌ファージ(バクテリオファージ)である。この納豆菌の天敵は土壌中に生息するほか、空中に単独で、またほこりなどに付着して多少浮遊している。工場内においては、排水溝、床、壁、天井などの湿った場所に生息している。
納豆菌ファージに寄生された納豆の状態は、正常品の外観と同様。ただし、納豆をかき回した時、糸切れが発生する。また納豆菌ファージによる汚染が著しい場合、納豆菌の生育そのものが阻害されてしまう。さらに納豆菌ファージが活動を終えた後に、他の雑菌が繁殖してしまうこともある。
納豆菌ファージはアルコール、次亜塩素酸ソーダ、逆性石けんなどで殺菌が可能なため、日頃の清掃、衛生管理が十分であれば心配はない。一般に、雑菌の混入を防止するための措置が十分であれば、納豆菌ファージが混入する機会も極めて制限され得るはずである。しかし、製造に失敗した納豆や返品された納豆などを焼却せずに放置した場合、納豆菌ファージの好餌となり、大量発生して生産に壊滅的打撃を与えることにもなりかねないので、最大限の注意を要する。
参考文献:渡辺杉夫『食品加工シリーズ(5) 納豆 原料大豆の選び方から販売戦略まで』(農山漁村文化協会)
納豆の製造上、問題になる微生物には、(1)納豆菌ファージⅠ〜Ⅳ型などのウイルス(2)好気性芽胞形成菌(3)クロストリジム属(Clostridium)や乳酸桿菌(Lactobacillus plantarum)などの嫌気性芽胞形成菌(4)リゾープス属(Rhizopus)やペニシリウム属(Penicillium)などの糸状菌——が挙げられる。ウイルスの加熱死滅温度は65℃で10分以上、好気性芽胞形成菌および嫌気性芽胞形成菌が121℃で15分以上、糸状菌が80℃で10分以上とされている。
いずれの微生物も納豆の品質に悪影響を及ぼすが、中でも注意を要するのが納豆菌に寄生する納豆菌ファージ(バクテリオファージ)である。この納豆菌の天敵は土壌中に生息するほか、空中に単独で、またほこりなどに付着して多少浮遊している。工場内においては、排水溝、床、壁、天井などの湿った場所に生息している。
納豆菌ファージに寄生された納豆の状態は、正常品の外観と同様。ただし、納豆をかき回した時、糸切れが発生する。また納豆菌ファージによる汚染が著しい場合、納豆菌の生育そのものが阻害されてしまう。さらに納豆菌ファージが活動を終えた後に、他の雑菌が繁殖してしまうこともある。
納豆菌ファージはアルコール、次亜塩素酸ソーダ、逆性石けんなどで殺菌が可能なため、日頃の清掃、衛生管理が十分であれば心配はない。一般に、雑菌の混入を防止するための措置が十分であれば、納豆菌ファージが混入する機会も極めて制限され得るはずである。しかし、製造に失敗した納豆や返品された納豆などを焼却せずに放置した場合、納豆菌ファージの好餌となり、大量発生して生産に壊滅的打撃を与えることにもなりかねないので、最大限の注意を要する。
参考文献:渡辺杉夫『食品加工シリーズ(5) 納豆 原料大豆の選び方から販売戦略まで』(農山漁村文化協会)
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